あす甲子園開幕 海星 5年ぶり夏舞台 強力打線 厚み増す 加藤監督「最低でも8強」

攻守でチームを引っ張る主将の坂本=長崎市、県営ビッグNスタジアム

 第101回全国高校野球選手権は6日、兵庫県西宮市の阪神甲子園球場に49校が参加して開幕する。5年ぶり18度目の出場となる長崎県代表の海星は、第7日の2回戦第2試合(12日10時30分)で聖光学院(福島)との対戦が決定。憧れの舞台に立つチームの横顔を紹介する。

 今季は県内主要大会で苦戦が続いた。昨秋から“夏の前哨戦”のNHK杯までに3度サヨナラ負け。すべて1点差の接戦だったが、8強以上は1回だけで、夏はノーシードからの挑戦だった。その本番も初戦から楽な展開はなかったが、大会の中で成長を重ね、3回戦以降はシード3校を連破。ノーシード同士となった決勝で鎮西学院を退けて、55チーム(57校)の頂点に駆け上がった。

 ■鍵は投手陣

 長崎大会のチーム打率は3割3厘とやや物足りない印象だが、攻撃力は長崎県内随一。スタメン9人中6人が左打者で、そのうちパンチ力のある大串を2番、太田を8番に据えたことで厚みが増した。機動力も高く、6試合計14盗塁を記録。この数字自体に満足していないが、ボールが動いている間は常に隙をうかがい、塁上でも細かな動きで相手に重圧をかけ続けた。
 右打者も坂本が準決勝でタイブレークの殊勲打を含めて4安打の大当たり。高谷は状況に応じて広角にはじき返した。投手を除く野手全員がまんべんなく打点を記録。19犠打の手堅さも備えており、どの打順からでも得点が期待できる。まずは加藤監督がキーマンの一人に挙げる松尾悠から始まる初回がポイントになってきそうだ。
 投手陣は柴田、江越、丸嶌が登板。準決勝までは全試合継投だったが、決勝はエースナンバーを背負う柴田が完投した。最速146キロの本格派の江越は、準決勝の三回途中から10回2/3を無失点と好投。2年生の長身右腕丸嶌、山崎を含めて、起用のタイミングが重要な鍵になる。
 バックはサヨナラ負けの悔しさも踏まえ、九回裏の守りを想定したノックなど、常に緊張感を保って練習してきた。計7失策の数字ほどの不安定さは感じられず、加藤監督は打撃と同様に、10段階中「8」と高く評価する。

 ■低迷打破へ

 夏の長崎大会でノーシード校が優勝したのは2007年以来。その12年前は長崎日大が準決勝で佐賀北に敗れるまで、甲子園で快進撃を続けた。だが、昨年まで過去10年間の県勢の夏の全国戦績はわずか3勝と低迷しており、伝統校の海星も2002年の1勝が最後。今回それを打破して、2015年の創成館以来、夏の勝利をつかみにいく。
 加藤監督は「最低でも8強。4強以上を狙う。ここから良くなる部分と悪くなる部分があるが、とにかくぶれずにやれるかどうか」、主将の坂本は「出場することが目標じゃなくて、勝つためにやってきた。県民に勇気や元気を持ってもらえるような試合をしたい」と意気込んでいる。

◎学校沿革
 
 長崎県長崎市のカトリックマリア会系ミッションスクール。学校創立は1892(明治25)年。2006年度から男女共学に移行した。校訓は「神愛・人間愛」。生徒数は1054人(女子359人)。武川眞一郎校長。
 野球部は1915(大正4)年創部で、現部員数は72人。今回は春夏合わせて県内最多となる23度目(春5、夏18)の甲子園出場。
 主なOBは1976年夏の甲子園4強の原動力となった酒井圭一投手(元ヤクルト)をはじめ、平田勝男内野手(元阪神)、堀幸一内野手(元ロッテ)、江越大賀外野手(阪神)、永江恭平内野手(西武)。スポーツはテニス、サッカー、ラグビー、弓道なども盛ん。

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