「OOPARTS」第5弾が開幕。鈴井貴之「20・30代の頃の“恐ろしい目”を取り戻します」! TEAM NACSメンバーへ“宣戦布告”も!?

「OOPARTS」第5弾が開幕。鈴井貴之「20・30代の頃の“恐ろしい目”を取り戻します」! TEAM NACSメンバーへ“宣戦布告”も!?

「水曜どうでしょう」(HTB)の“ミスター”としてもおなじみの鈴井貴之が作・演出を手掛けるプロジェクト「OOPARTS」。その第5弾となる舞台「リ・リ・リストラ~仁義ある戦い・ハンバーガー代理戦争」が、8月23日の東京・サンシャイン劇場での公演からスタートする。

2010年から始動した「OOPARTS」プロジェクトではこれまでも、はやらないお化け屋敷が舞台となったり(16年「HAUNTED HOUSE」)、孤独死の現場を清掃する“特殊清掃員”を題材にしたり(17年「天国への階段」)と、ユニークな切り口で作品を生み出してきた。今回の「リ・リ・リストラ~」は、リストラされたヤクザがハンバーガーショップでアルバイトを始めるが、その店を舞台に元ヤクザ同士の抗争が勃発する…という、設定を聞いただけで「見てみたい!」と思わされてしまうストーリーだ。今回、そんな舞台の見どころから、演出を手掛ける上でのこだわりまで、鈴井貴之にロングインタビューを敢行。TEAM NACSメンバーへの“宣戦布告”も飛び出して…!?

──今回、“ヤクザがハンバーガーショップでアルバイトをする”という設定で舞台を作ろうと思われたいきさつは?

「このお話は10年以上前、映画用に作った物語だったんです。さまざまな事情で映画化が実現できなくなってしまい、一度お蔵入りになったのですが、数年前に脚本が発掘されて『この物語を舞台にしよう』ということになりました。実は、今回の舞台化についても、紆余曲折がありまして…難産でしたね。複雑な運命を背負っている作品なんです(笑)」

──個性豊かなキャストの皆さんがご出演されますが、それぞれどのような役柄を演じられるのでしょうか?

「男性キャストはヤクザ、女性キャストはその彼女たちを演じていただきます。僕がリストラされてハンバーガーショップで働く元ヤクザの役で、八木将康くんはその弟分。上地春奈さん演じるホステスと付き合っているヒモのような男です。藤村(忠寿)は、かつての組長を演じます。佐藤めぐみさんは組長の嫁。組長がとにかく巨乳好きなので、佐藤さん演じる嫁は『私は巨乳よ!』とずっと言い張っている、という設定です(笑)。そして、われわれと敵対する元ヤクザを演じるのが、竹井亮介くん。彼の舎弟がハンバーガーを食べにくるのですが、クーポンの期限が切れていたことに因縁をつけてきて、そこから元ヤクザたちの抗争が始まる…という、くだらない話になっています(笑)」

──「水曜どうでしょう」のディレクターである藤村さんは、「OOPARTS」へ4度目の参加となりますが、俳優としての藤村さんについて、変化を感じることはありますか?

「変化は分からないですが…うらやましいな、とは思いますね。彼は『演劇をやりたい』と志してやり始めてからまだ数年なので、演劇に希望を持っているし、演じることをすごく楽しんでいる。ただ、役者を続けていくと、だんだん仕事として演じることへのプレッシャーが感じるようになって、苦しむ時期が訪れるんです。例えば大泉洋なんかも、そういう瞬間があると思うんですよ。それがもうちょっと先に進むと、僕みたいに『楽しければいいや~』という気持ちになれるんですけどね(笑)」

──今回の作品では、作・演出に加えて鈴井さんが主演も務められます。「役者としての勝負かな?」とおっしゃっているコメントも拝見しましたが…。

「そうですね。ただ、元ヤクザの役ということで、これはもう“素”でできますから(笑)。20代、30代の頃を思い出せば、すぐに誰よりも恐ろしい目をすることができると思います(笑)。『見てろよ、安田顕!』と言いたいですね」

──安田さん、ご指名ですか(笑)。

「安田顕は、僕のことを『芝居を教えてくれたのはこの人です』と言ってくれたりして、師匠だと思ってくれているんですよ。もともと、1990年代に劇団として活動していた『OOPARTS』に安田も参加していたので、『(10年から始まったプロジェクトの)OOPARTSに出てよ』と言っているんですが、彼は『僕にはまだ早いです。まだOOPARTSに戻れるほどの役者にはなっていません』みたいなことを言って、逃げているんです(笑)。だから今回は、“打倒、安田顕!”という気持ちで挑みたいですね。安田顕、かかってこいや!(笑)」

──安田さんは今頃、震え上がっているかもしれませんね…(笑)。これから稽古の日々になると思いますが、楽しみにされていることなどはございますか?(※取材時は稽古前)

「いい意味でも、悪い意味でも、やはり稽古は最初、探り合いから始まるんです。誰かが先導して、全体の雰囲気を作っていかなければならないのですが、今回は僕が主演なので、僕が率先して皆さんが演じやすい空気にしていかないといけないな、と思っていて…。これまでの『OOPARTS』では、作・演出が中心で出演シーンは多くなかったので、2週間くらい演技はしていなかったんですよ。今回は初めから芝居の中心になっていかないといけないので、たぶん、最初はカッコ悪いくらい緊張するんじゃないかなと思っています(笑)。本当は、こういったインタビューでも『今回は僕が主演で頑張ります! 面白いですよ~!』と、森崎(博之)みたいなトーンで言いたいところなのですが…(笑)。少し前まではそういった不安もあって、まだ僕自身がこの作品に対して煮え切っていない部分があったんですよ。でも、数日前に、今回出演してくれる上地さんから『台本読みました。すてきな話で、読み切って思わず泣いてしまいました』といううれしいメールをいただいて。事務所のホームページのCUE DIARYでは、戸次(重幸)くんが『OOPARTS楽しみです!』『がんばってください!』と書いてくれて…この2人の言葉があって、僕もやっと『腹をくくらなきゃ!』と思えました。2人に感謝しないといけないですね(笑)」

──「OOPARTS」では、稽古のなかで俳優さんから出た意見を、演出に取り入れていくことも多いそうですね。

「そうですね。昔は人の言うことなんて一切聞かなかったですが、今は人から意見を頂戴して、それを融合させて構築していく、という作り方をしています。舞台だけではなく、映像の監督をやる時も同じです。『何かあったら言ってね』と伝えると、役者さんもスタッフさんも、台本には書いていない面白いアイデアを持ってきてくれるんですよ。ただ、もちろんすべてをそのまま受け入れるというわけではなく、『面白いですね、それやりましょう。でも、さらにこうしてください』というように、意見を受け止めたうえでさらによくなるよう“リターン”することが、演出をするうえで大切だと思っています」

──「水曜どうでしょう」をはじめ、鈴井さんが手掛ける作品を拝見していると、鈴井さんは演者さん自身の“素のリアクション”や“生々しい感覚”を大切にされているように感じます。

「それは確かにありますね。僕は、“演技”というものが嫌いだったんですよ。見るのも、やるのも。“演技をしている”“お芝居をしている”と意識した時点で、つまらなくなってしまうじゃないですか。以前、小林賢太郎くんが、野間口徹くんのことを『野間口くんは、芝居をしているんだか、していないんだか分からないくらい、芝居が上手な人です』と言っていて、うまいことを言うなぁと感心したことがあるのですが、素なのか芝居なのか…その境界線が分からない人って、すごい役者さんだと思うんです。そういうものを求めているから、その人が持っている資質とか、素の表情…例えば驚いた『は!?』という顔を、僕は欲しがるのかもしれません。そういった“資質”という意味では、今回、僕の資質が存分に生かされる元ヤクザという役どころですからね(笑)。僕のは、演技じゃなくて“素”なので、たぶん、弊社の現社長である別れた嫁からは『私、プライベートであの感じ、たくさん見てきたわ。あのにらみつける目…最悪!』なんて言われそうな気がします(笑)。お客さんはみんな、コメディーとして見て笑っているなか、1人だけ笑えない女性がいるかもしれないですね(笑)」

【プロフィール】


鈴井貴之(すずい たかゆき)
1962年5月6日生まれ。北海道赤平市出身。タレント・構成作家として、「水曜どうでしょう」(HTB)など、さまざまな番組の企画・演出に携わる。映画監督としても活躍し、2015年にはドラマ24「不便な便利屋」(テレビ東京系)で、自身初の連続ドラマ脚本・監督を務めた。10月4~6日までban.K さっぽろばんけいスキー場で開催される「水曜どうでしょう祭 FESTIVAL in SAPPORO 2019」に出演。

【公演情報】


Takayuki Suzui Project Vol.5 OOPARTS「リ・リ・リストラ~仁義ある戦い・ハンバーガー代理戦争」
8月23日~9月1日 東京公演・サンシャイン劇場
9月13~15日 札幌公演・道新ホール
9月21~23日 大阪公演・COOL JAPAN PARK OSAKA TTホール

作・演出/鈴井貴之 出演/八木将康(劇団EXILE) 竹井亮介 阿部丈二 上地春奈 佐藤めぐみ 赤谷翔次郎 島太星(NORD)藤村忠寿(北海道テレビ) 佐田正樹(バッドボーイズ)/是近敦之(※ダブルキャスト) 鈴井貴之

公式サイト/http://ooparts-hokkaido.net/

取材・文/週刊TVガイド編集部 撮影/尾崎篤志
スタイリスト/鍛冶古翔三(Yolken) ヘアメーク/横山雷志郎(Yolken)

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