諫干即時開門訴訟 来年3月10日判決 長崎地裁

 国営諫早湾干拓事業の潮受け堤防排水門の開門調査を巡り、諫早、雲仙両市の漁業者33人が国に即時開門を求めた訴訟の口頭弁論が24日、長崎地裁(武田瑞佳裁判長)であった。原告、国側が意見陳述し、結審した。判決は来年3月10日。
 雲仙市瑞穂町でノリ養殖を営む原告の室田和昭さん(76)は「昨年のノリは色落ちし、売り物にならなかった。開門して海の流れを取り戻してほしい」と即時開門を求めた。原告代理人は「湾閉め切りと漁場環境悪化の因果関係は明らか」とした上で、防災や営農に影響を及ぼさない部分的開門の必要性を主張した。
 これに対し、国は▽原告が所属する各漁協への漁業補償▽営農者らによる開門差し止め長崎地裁判決の確定▽有明海全体の漁業資源回復の取り組みなどを挙げ、請求棄却を求めた。
 開門差し止め長崎地裁判決への独立当事者参加に関する上告を棄却された諫早、雲仙両市の漁業者6人の開門請求訴訟の第1回口頭弁論も24日、長崎地裁であり、武田裁判長は即時開門訴訟と併合せず、単独で審理する考えを示した。
 一方、有明海漁民・市民ネットワーク(松藤文豪代表、約700人)は同日、国が漁業者に開門を強制しないよう求めた13日の請求異議訴訟上告審判決を受け、開門を含め、農漁共存に向けた協議の場を求める声明を発表した。

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