これが本当のドラフト“大当たり” 育成指名から活躍した選手とその軌跡

育成指名から飛躍を遂げたソフトバンク・千賀滉大(左)、甲斐拓也【写真:荒川祐史】

2018年は育成21人、支配下登録の狭き門くぐり

 10月17日に都内のホテルで行われる「プロ野球ドラフト会議 supported by リポビタンD」。多くの人の注目は1位指名に注がれているが、プロ野球界で活躍する選手の中にはドラフト指名時は光が当たらなかった人も少なくない。今回は育成指名から支配下登録という狭き門を抜け、1軍で活躍した主な選手たちを振り返る。

○ソフトバンク:千賀滉大投手
 2010年の育成4巡でソフトバンクに入団した千賀は、初年度こそ3軍スタートとなったが、シーズン終了後、宮崎フェニックスリーグで2軍入り。そのまま翌年の春季キャンプでは終盤から1軍に合流し、同年4月に支配下登録となった。2013年には救援として51試合に登板し、防御率2.40と早くも1軍に定着した。その後は当時育成出身選手最多だった通算勝利数記録52を更新(現在も更新中)、今年は9月6日に育成出身初のノーヒットノーランを達成するなど記録を打ち立てている。

○ソフトバンク:甲斐拓也捕手
 千賀と共に2010年の育成6位で入団したが、一歩遅れて2013年に支配下登録された。初めてスタメンマスクを被ったのは7年目の2017年と遅咲きだったが、その年から今季まで正捕手として活躍。今年千賀がノーヒットノーランを達成した際にもスタメン出場しており、史上初めての育成出身バッテリーでの記録達成となった。

○阪神:島本浩也投手
 2010年の育成2巡で福知山成美高から阪神入りした島本は、最初の3年で支配下登録をつかめず、2013年オフに自由契約から再契約となった経験を持つ。2014年オフも自由契約選手の公示があったものの、チーム事情などを考慮して支配下登録された。その後も2軍暮らしが長く、昨年は1軍登板わずか1試合にとどまったが、今季は中継ぎ左腕としてブレーク。61試合に登板し、10ホールド防御率1.73。プロ初セーブも挙げた。

○ロッテ:西野勇士投手
 2008年の育成5巡で新湊高から入団し、4年目の11月に支配下登録。2013年は開幕を1軍で迎え、24試合に登板。今季は7月まで救援として登板、8月からは6試合で先発し、2勝3敗、5ホールド2セーブ、防御率2.96と場所を問わず安定した活躍を見せている。

○DeNA:砂田毅樹投手
 2013年の育成1巡で明桜高から入団した砂田は、初年度にイースタン・リーグで7試合で登板し2勝1敗、防御率2.79。翌年6月7日に支配下登録されると、同月14日には初登板で初先発初勝利。2016年には先発ローテで回ったが、クライマックス・シリーズでは中継ぎ登板を果たした。以降、2シーズンは救援として1軍戦で登板している。

今注目の育成→支配下選手は? 他球団へ移籍して支配下の選手も

○オリックス:張奕(ちょう・やく)投手
 台湾出身の張は2016年に育成1巡で指名を受けてオリックス入り。当時は外野手として入団しており、入団初年度はウエスタン・リーグで59試合で6安打、打率.091と厳しい数字を出したが、昨年6月からは投手に転向。しかし、いきなりウエスタン5試合で5回を投げ、防御率1.80と好成績を残す。すると今年5月に支配下登録され、同月15日に初昇格。8月からは先発で6試合を投げた。2勝4敗、防御率5.93で現在は2軍調整中だが、その期待は大きい。

○中日:亀澤恭平内野手
 2011年にソフトバンクから育成2巡で指名を受けた亀澤は、2014年オフに自由契約選手に。再契約ではなく中日からのオファーを受けて秋季キャンプに参加し、そのまま支配下登録選手として契約を交わした。中日1年目の2015年にはさっそく107試合に出場し、12打点打率.269。今季は47試合の出場にとどまっているが、昨年は110試合で打率.286をマークしていた。

○巨人:山下航汰外野手
 健大高崎高から2018年に育成1位で巨人入りした山下。ルーキーイヤーの今季はイースタンで活躍し、7月5日には支配下登録。高卒1年目の育成からの支配下登録は球団初だった。さらに8月2日に初の1軍昇格を果たし、9月4日の中日戦でプロ初安打。今後に期待がかかる注目選手だ。

 また現役を引退した元育成出身選手らも。昨季引退した元巨人の山口鉄也氏も育成出身。ダイヤモンドバックス傘下オスプレイから巨人の入団テストを経て、2005年に育成1巡で入団。2009年のWBC代表にも選ばれ、リーグ優勝、日本一、世界一を経験した。同じく昨季引退の元ロッテ、岡田幸文氏は2008年の育成6巡。支配下2年目の2011年には育成出身で初めて全試合に出場した。(Full-Count編集部)

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