日産 新型セレナe-POWERハイウェイスター 実燃費レポート│オラオラ顔に進化した人気ミニバンの実燃費は!?

日産 新型セレナ e-POWERハイウェイスターV

燃費テスト概要

今回は、モデル途中で追加されて高い評価を得ているe-POWERを搭載した「セレナe-POWER ハイウェイスターV」を持ち出して燃費テストを行った。今回のマイナーチェンジではパワートレインへの変更はアナウンスされておらず、カタログ燃費の数値も従来型と変わっていない。しかし、マイナーチェンジでは公にならないポイントを小改良することも少なくない。またe-POWER系に新たに16インチアルミホイールが設定され(テスト車は装着済)この辺りの違いが出る可能性もあるため、再度燃費テストを行ったというわけだ。

なお、今回の燃費測定は9月19日に行い、天候は晴れ、最高気温は30度近くと、残暑の厳しい中でのテストとなった。朝10時ごろに青山にあるMOTA編集部を出発し、高速、郊外路、市街地・街乗りの順で走行し、16時ごろに再びMOTA編集部へ戻るルートを選択した。燃費の数値は区間燃費については車両に備わる燃費計を使用し、トータルはそこから計算したものを掲載した。エアコンは24度設定のフルオート、全行程をDレンジで走行し、走行モードは「ECO」、プロパイロット(クルーズコントロール)は未使用としている。

新型セレナe-POWERハイウェイスターの実燃費は19.04km/L

今回のテストではトータルで162.0kmを走行し、全行程を走り切ったトータルの燃費は19.4km/Lとなった。セレナのカタログ燃費はWLTCモード燃費ではなく、JC08モード燃費のみとなるが、そのカタログ燃費26.2km/Lと比較するとやや物足りない感もあるが、2018年4月にマイナーチェンジ前のセレナe-POWERで計測した際の燃費は18.5km/L(ECOモード)となっており、理由は後述するが、わずかに燃費性能もアップしている印象となった。

それではここからは走行シーンごとの燃費や走りっぷりなどをお伝えしていこう。

日産 新型セレナ e-POWERハイウェイスターV

新型セレナe-POWERハイウェイスター 実燃費レポート|市街地・街乗り編

新型セレナe-POWERハイウェイスター 市街地での実燃費:18.4km/L

新型セレナe-POWERハイウェイスター 市街地での実燃費

恐らくミニバンというキャラクターからしてもリアルユーザーも一番走行することが多いと思われる市街地走行。どんなシチュエーションでもモーターの力だけで走るe-POWERにとって、エンジンは発電用途にしか使われておらず、ドライブトレインには直接接続されていない。そのため、ステアリングに伝わるエンジンの振動などが一般的な内燃機関モデルやハイブリッドに比べて格段に抑えられているという点は美点と言える。

その一方で、アクセル開度や速度に関係なく発電用としてエンジンが始動するため、時にエンジン音が耳障りに感じることがあるというのもまた事実だ(なるべく走行中にエンジンが始動するように設定されているが)。

そんなことを感じながら走行した市街地では、53.7kmを走行して18.4km/Lという燃費をマークした。平均速度が20km/hという、そこそこな渋滞の中での数値と考えれば十分及第点と言えるだろう。なお、マイナーチェンジ前のテストでは17.6km/Lという数値となっていた。

新型セレナe-POWERハイウェイスター 実燃費レポート|郊外路編

新型セレナe-POWERハイウェイスター 市街地での実燃費

新型セレナe-POWERハイウェイスター 郊外路での実燃費:24.9km/L

新型セレナe-POWERハイウェイスター 郊外路での実燃費

郊外路は走行車両も信号も少ないため、一定のペースで走行できるシーン。トルクフルなモーター駆動ということもあり、ストレスなく走行できるルートであった。新採用となった16インチホイールも、気になる足元のドタバタ感が15インチモデルと比べても悪化した感覚はなく、これなら見た目にこだわりたいユーザーも安心といったところだろう。

この郊外路での燃費は29.3kmを走行し、なんと24.9km/Lを記録。マイナーチェンジ前でも郊外路の燃費が一番よかったが、それでも19.3km/Lだったことを考えると、なにかしらの改良がなされた可能性もゼロではないのかもしれない。

新型セレナe-POWERハイウェイスター 市街地での実燃費

新型セレナe-POWERハイウェイスター 実燃費レポート|高速道路編

新型セレナe-POWERハイウェイスター 高速道路での実燃費:17.9km/L

新型セレナe-POWERハイウェイスター 高速道路での実燃費

最後は高速道路を通るルートを振り返る。今回は芝公園出入り口から首都高に乗り、東京湾アクアラインを経由して圏央道の茂原長南インターで下りるルートを走行し、走行距離は79.0km。ただし、今回は川崎航路トンネルで緊急工事が行われており、湾岸線が大渋滞。そのため、平均速度も郊外路をも下回る31km/hと、高速道路とは思えないものになってしまった。

そのため、79.0km走行した燃費は17.9km/Lと今回の測定の中で最悪となってしまった。マイナーチェンジ前の数値では18.8km/Lをマークしていただけに、この渋滞がなければ平均実燃費は確実にもっと伸びていたと思われる。ちなみにe-POWERの特性上、電力を使う一方のハイペースな高速走行は苦手であり、それなりに流れているようなシチュエーション(今回でいうと郊外路)の燃費が一番伸びる傾向にあるようだ。

新型セレナe-POWERハイウェイスター 実燃費レポート|総合実燃費編

日産 新型セレナ e-POWERハイウェイスターV

今回のセレナe-POWERの燃費テストは、街乗り・郊外路・高速道路と合わせて162.0kmを走り、総合実燃費は19.04km/Lであった。カタログのJC08モード燃費である26.2km/Lには及ばない数値となっているが、3列シートミニバンでリッター20kmほど走ってくれるのであれば、十分及第点と言えるだろう。

昨年は年間で10万台弱を販売し、販売台数ミニバンナンバーワンとなったセレナ。しかしライバルのノア3兄弟すべてを合計すると19万台弱と、ランキングのマジックに助けられている感もある。e-POWERはライバルにはない大きなアドバンテージと言えるが、これからもお互い切磋琢磨しながら、よりよいミニバンづくりに邁進していただきたいところ。ミニバンで育った子供たちがクルマの楽しさを感じ取れるようになってもらえば最高だろう。

[筆者:小鮒 康一/撮影:MOTA編集部・小鮒 康一]

日産 新型セレナ e-POWERハイウェイスターV

試乗ルート

ルート1「市街地」

燃費レポート<市街地・街乗り編の主なコース>

千葉県市原市の国道16号線から国道357号線、途中から片側1車線になる国道14号線、都県境から蔵前橋通りを経由し、MOTA編集部に戻るルート。スムースに流れることは少なく、渋滞路が多くを占める区間だ。 平均時速は15~20キロ程度と遅い。道のりは約55km。

ルート2「郊外路」

燃費レポート<郊外路編の主なコース>

茂原長南インターを降り、国道409号線を西に進み、交差する国道297号線を北上し、東京湾に近い千葉県市原市内の国道16号線まで向かうルート。 道路にアップダウンは少なく信号があまりない上に走行中の流れも良く、好燃費が期待できる区間と言える。道のりは約30km。

ルート3「高速道路」

燃費レポート<高速道路編の主なコース>

首都高速都心環状線芝公園ランプから首都高湾岸線を経由し、東京湾アクアラインから最近開通した圏央道の茂原長南インターに向かうというルート。 道路にアップダウンは少なく、流れは区間全体を通しおおよそ80km/h程度。道のりは約70km。

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