阪神の勝利呼んだ「ドリスの頑張り」 専門家が分析、DeNAラミレス監督の継投策は…

DeNAのアレックス・ラミレス監督(左)と阪神・矢野燿大監督【写真:荒川祐史】

阪神がCSファイナル進出「こういう試合で決着をつけるのはホームランかミス」

 阪神は7日、DeNAとのクライマックスシリーズ(CS)ファーストステージ第3戦に2-1で勝利し、2勝1敗として5年ぶりにCSファイナルステージ進出を決めた。

 雨の中での“最終決戦”はロースコアの重い展開に。6回に阪神がDeNA国吉の暴投で先制すると、7回にはDeNAが1死満塁の好機を作り、伊藤光の三ゴロを阪神北條がファンブル。守備の乱れで同点に追いついた。しかし、8回に阪神が高山の死球、代走・植田の二盗、DeNAエスコバーの暴投でチャンスを作り、梅野の犠飛で決勝点を奪った。

 1点差ゲームの勝敗を分けたものはいったい何だったのか。ヤクルト、日本ハム、阪神、横浜の4球団で捕手としてプレーし、昨季まで2年間はヤクルトでバッテリーコーチを務めた野球解説者の野口寿浩氏は、「こういう重たい試合に決着をつけるのは、ミスかホームランです。この試合はミスでした」と指摘。「バッテリエラーが2つとも失点に絡んだDeNAと、今年最大のウィークポイントだった守備の乱れで失点した阪神。ミスが1個だったのか2個だったかの違いですかね」と振り返った。

 さらに、6回の失点の場面ではDeNAの守備で1つポイントもあったと分析する。国吉が先頭・高山に二塁打を打たれ、梅野が犠打を決めて1死三塁のチャンスを作った場面。梅野の三塁方向へのバントを処理した国吉は一瞬、三塁方向を見たものの、宮崎が出てきていたため一塁に投げた。宮崎が三塁に戻っていれば、タイミングは微妙だった。

「このプレーも試合の結果に影響したと言えるかもしれません。普通のプレーに見えますが、宮崎が我慢してベースに入ることさえできれば、アウトだっただけに。ああいう場面での連携と打球判断が難しい部分ではありますが。打球はサードの定位置方向までいっているわけではなく、ピッチャーの範囲内に転がった少し強めの打球なので」

「強いて言えば、ポイントはあそこでドリスがよく頑張ったということ」

 ただ、当然ながら勝利を引き寄せた阪神の踏ん張りもあった。最大のポイントとなったのは、同点に追いつかれた7回の守備だ。疲労の見える岩崎が2イニング目に入り、ソトのヒット、ロペスへの四球、宮崎のヒットで1死満塁として、三塁・北條の失策で1点を失った。なおも1死満塁という大ピンチでドリスがマウンドへ。柴田には粘られたもののスプリットで空振り三振に仕留めると、佐野をスプリットで中飛に仕留めて勝ち越し点を許さなかった。

 野口氏は「本来なら宮崎のところからドリスに代えてもよかったかなと思いました。満塁となって、普通に考えたらドリスを使いにくいところではあった。でも、そこでドリスが期待に応えた。阪神の決勝点はノーヒットで入りましたが、かといってエスコバーは責められない。なので、強いて言えば、ポイントはあそこでドリスがよく頑張ったということだと思います。あとは、DeNAのバッター陣が少し硬かったですね」と振り返った。

 1、2戦目と“疑問符”をつけていたアレックス・ラミレス監督の投手起用についても「この試合の継投には疑問はありませんでした。4回2死一、二塁で第1戦に先発した石田が出てきたときにはビックリしましたが、ベンチ入りメンバーを見たら石田しかない場面でした」と分析。「どっちにどう転んでもおかしくなかった。ナイスゲームでした」と総括した。

 巨人への“挑戦権”を手にした阪神。野口氏は「投手陣に疲れはあると思いますが、阪神に勢いがついているのも事実です。勢いが出るのか、ピッチャー陣の疲労の影響が出るのか、でしょうね」と話す。ファイナルステージも激戦となるだろうか。(Full-Count編集部)

© 株式会社Creative2