20代で都内1LDKマンションを思い切って購入した独身女性の苦悩

読者のみなさんからいただいた家計や保険、ローンなど、お金の悩みにプロのファイナンシャルプランナーが答えるFPの家計相談シリーズ。

今回の相談者は、27歳の時に思い切ってマンションを購入したという30代の未婚女性。住宅ローンの返済が苦しく、貯金ができないといいます。家計再生コンサルタントの横山光昭氏が運営する『マイエフピー』のFPがお答えします。

田舎から出てきて東京で一人暮らしを始めましたが、家賃が高く、購入しても支払う金額が変わらないのではないかと思い、27歳の時に思い切って23区内の1LDKマンションを購入しました。借入額は2300万円です。今、返済を始めて5年ほど経っているのですが、住宅ローンの返済でいっぱいいっぱいで貯蓄がまったくといっていいほどできていません。ボーナスでの返済はしていないのですが、毎月いろいろ我慢しているので、つい、パーッと使ってしまい残りません。

購入時は「結婚するときに売ってしまえばいいか」と考えていましたが、30歳を超えた今も結婚する予定はなく、このまま住み続けるのかなと思っています。婚活もしているのですが、なかなか良い出会いがありません。

この先ずっと住宅ローンの返済で苦しみ、お金を自由に使えない思いをするのはイヤだと思い、今は金利が低いようなので、借り換えなどを考えてもいいのかなと思っています。上手くやりくりでき、貯蓄ができるようになる策を教えていただきたいです。

〈相談者プロフィール〉

・女性、32歳、未婚

・職業:会社員

・毎月の手取り金額:20.6万円

・年間の手取りボーナス額:70万円

・貯蓄:ほぼ0円

・借入額:約2060万円(住宅ローン)

【支出の内訳(20.5万円)】

・住居費:8.2万円(うち1.1万円が管理費・修繕積立金)

・食費:6万円(外食代含む)

・水道光熱費:0.8万円

・交通費:0.5万円

・通信費:0.2万円

・交際費:1万円

・被服・美容費:2.3万円

・習い事:1万円

・その他:0.5万円


FP:ご相談ありがとうございます。マイエフピーのファイナンシャルプランナーの関口です。

住宅ローンの返済額が収入の4割ほどを占めているので、これでは生活が圧迫されても無理がないかもしれません。今、何ができるのか、一緒に考えてみましょう。

借り換えをした方がいい人の条件

ここ数年、住宅ローン金利は非常に低い状況になっています。そのため今よりも高い金利で住宅ローンを組んだ人の中には借り換えの検討をする人もいます。

では、住宅ローンの借り換えをして効果がある条件とは、どのようなものでしょうか。一般的には、以下のように言われています。

・借り入れ期間が10年以上残っている
・借入残高が1000万円以上残っている
・借り換え後の金利差が1%以上ある

この3つです。最近は各銀行が借り換えに伴う手数料を下げていることもあり、金利差が0.5%程であっても、借り換えで効果が出るというケースも多くなっています。

相談者さんの場合、返済額から推測すると、住宅ローン金利は1.5%程かと思います。それでも当時は安い金利だったのでしょうが、今ではもう少し安い金利のものがありそうです。

では、実際に金利の安い住宅ローンに借り換えたとしてみましょう。

もし、金利が安く設定されている全期間変動金利のローンで考えた場合、ネット銀行などの金利では0.5%強ほどと、安いケースがあります。

仮に、今の住宅ローン残高2060万円ほどを借り換えたとすると、0.53%程の金利で借りた場合、今よりも返済額が月1万円ほど減額できる見込みです。借り換えに伴う手数料は50~60万円かかる見込みで、これを返済額に含められるのか、一括で支払うのかにより異なってくると思いますが、返済総額でみると250万円以上の支出削減になりそうです。

インターネットのシミュレーションサイトで、実際にご自分の条件を当てはめ、借り換え後の条件を入れたものと比較してみると、その効果が具体的にわかると思います。効果があると納得できたら、銀行で相談してみましょう。

住宅ローンの金利は固定か、それとも変動か?

住宅ローンのことを考えると、固定金利がいいのか、変動金利がいいのか、迷ってしまいますよね。

固定金利の住宅ローンには、借り入れた時からあらかじめ決められた期間を固定金利にするタイプ、全期間固定金利とするタイプの2つのタイプがあります。

期間を決める場合は固定金利とする期間を3年、5年、10年など選択でき、その期間は世の中の金利の水準が上がっても、金利はそのままです。固定金利の期間が終わると、次も固定金利にするのか、変動金利にするのか、金利タイプを選ぶことができます。

全期間固定金利の場合、ローンの返済が終わるまで金利が変わりません。つまり、世の中の金利の水準が上がっても返済額は変わらないのですが、逆に考えると金利の水準が下がり、より低金利となった場合は、変動金利を選んだ場合よりも返済額が多くなってしまいます。

変動金利は、返済期間中に定期的に金利が見直されるタイプのローンです。金利は半年ごとに見直され、金利が下がれば返済額は減りますし、上がれば返済額が増えます。金利が上がることによって返済額が多くなるというリスクはありますが、固定金利よりも金利が低い点が魅力です。

今は金利が低いので、変動型を選ぶ人が多いようです。今後、金利の水準が上がりそうだという動きに世の中がなってきたら、借り換えを検討するというやり方でも、ある程度対応はできるのではないかと思います。

また、金利が安い今、全期間を固定にして今後の金利上昇時も影響を受けないようにするという考え方もあります。

どちらが正解かは結果論となってしまうので、ご自分で良いと思ったほうを選ぶといいでしょう。

ボーナスの一部に「パーッと使う」予算をつくる

住居費ばかりに目を向けていてもお金は貯まらないでしょう。都心では当たり前のように家賃8万円、またはそれ以上かかったりもします。それ以外の支出も、無駄がないか振り返りたいところです。

ざっと見ると、食費が外食費含めて6万円は少々支出が多すぎといってよいかもしれません。食費のかけ方を見直してみると良いですね。

また、被服・美容費も少しかけすぎかもしれません。洋服代などは、ボーナスから予算をつけて、計画的に買うようにしてもよいと思います。一度支出全体を把握したうえで見直しをし、無駄を省いていきましょう。

また、ボーナスは「パーッと使う」よりも、普段買えないものを購入できるように計画をある程度立てて使うとよいと思いますよ。その一部に「パーッと(無計画に)使う」予算も作ってみると、よいでしょう。そして、使わない部分は貯めておきます。

無駄を省き、欲しいものや必要なものはきちんと購入すると、お金が足りないとか、苦しいと思うことも少なくなるでしょう。支出にメリハリがつけば、お金も貯めやすくなると思います。

まずは行動しないと変わりません。がんばってみてください。

© 株式会社マネーフォワード