ルノー社CEOがF1活動計画の再検討を示唆。撤退の懸念浮上も、チームボスは継続を主張

 ルノー社の暫定CEOに就任したクロチルド・デルボが、同社の将来のプランを大幅に見直すと発表、F1活動への影響が懸念されている。しかしルノーF1のマネージングディレクターであるシリル・アビテブールは、2021年以降もF1に残る可能性が高いという見解を示した。

 カルロス・ゴーン前会長の退任に伴い、ルノー社は上層部の体制を変更、10月には暫定CEOにデルボ氏が指名された。デルボCEOは、ゴーンが打ち出した2017年から2022年の『ドライブ・ザ・フューチャー』プランについて再検討を行うと発言、そのなかにはF1活動も含まれていると示唆した。

 メキシコGP直前に行われた投資家に対する記者会見において、デルボCEOは、プラン見直しのなかにF1活動も含まれるのかという質問を受け、「活動を特定するつもりはありません。これは通常のプロセスに従ったものですが、小規模な見直しではありません」と答えた。

「『ドライブ・ザ・フューチャー』プランについて詳細にわたって再検討を行う作業を開始しています。すべての問題が検討対象になる可能性があります。わが社の戦略とプランを深く掘り下げて再検討する取り組みなのです」

 各コンストラクターズとFIAおよびFOMとの現コンコルド協定は2020年末で期限が切れる。ルノーはワークス活動を再開して今年が4年目だが、いまだに満足いく結果を出しておらず、2019年は昨年のランキング4位を下回る見通しだ。さらに、マクラーレンとのカスタマー契約が2020年末で終了するため、現時点では2021年以降はルノーのパワーユニット(PU/エンジン)を使用するのは自身のワークスチームのみとなる。

 こういった状況から、ルノーが2020年末でF1から撤退するのではないかという推測が生じている。

 しかしアビテブールはこれを否定し、ルノーF1チームの将来についてポジティブな見解を示した。

「(新たなコンコルド協定の)契約書原案は先週末、ストラテジーグループ会合の後に受け取ったばかりだ」とアビテブールはメキシコGPの週末にコメントした。

「今は契約について検討するプロセスにある。作業は数週間、あるいは数カ月かかるだろう」

「複雑な契約であり、今後の展開を見ていく必要がある。自分たちがサインしたいかどうかを検討する。だが、今の契約よりもよい条件なので、拒否する理由はないと私は考えている。実際に承諾するまでは確実とはいえないが」

「我々は42年にわたってF1にかかわってきた。それがルノーブランドの市場価値を高める一因になっていると確信している」

 アビテブールは、日本GPで競技規則違反によって2台が失格処分を受けたことが、本社の決定に大きな影響をおよぼすことはないと考えている。

「9ポイント(を失ったこと)に基づいてルノー社が決断を下すとは思わない」とアビテブールが述べたとロイターが伝えた。

「ルノーのF1における長期的戦略には影響しないだろう」
「これからのプロセスを注視していく必要があるが、楽観的に考えようではないか」

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