豪州SC:ケリー・レーシング、2020年仕様『フォード・マスタング』公開。ハイムガートナーも残留へ

 VASCヴァージン・オーストラリア・スーパーカーに参戦するケリー・レーシングは、これまでのニッサンからフォードへのスイッチを表明した2020年のチャンピオンシップに先立ち、引き続き大手石油企業のカストロールをメインスポンサーに据えた『マスタング・スーパーカー』のレンダリング画像を公開。さらにふたり目のドライバーにアンドレ・ハイムガートナーを継続起用することもアナウンスした。

 2018年でファクトリー契約が終了し、2019年シーズンはプライベーターとして4台の『ニッサン・アルティマL33』を走らせてきたケリー・レーシング。しかしエースのリック・ケリーを筆頭に、ハイムガートナー、シモーナ・デ・シルベストロ、そしてルーキーのギャリー・ヤコブセンともにトップ10圏内に顔を出すのも難しい、苦しいシーズンを過ごしてきた。

 チーム代表を務めるトッド・ケリーは、すでに弟であるリックの来季残留を発表しているが、そのエースカーには引き続きカストロールの支援があることを表明するとともに、自社開発エンジン搭載の新型モデルは2020年初頭のシェイクダウンになるだろう、と見通しを語った。

「フォードベースのエンジン開発を進めているが、その作業を急いでマシン完成を早めることにあまり大きな意味はないと考えている。なぜなら、エアロ規定がいつの段階で確定するか、まだ誰にも確かなことが言えない状態だからね」と説明するトッド・ケリー代表。

「空力テストがいつ行なわれるのか、どのコンポーネントが変更される可能性があるのかを理解し、そこから作業を進めてマシン開発を軌道に乗せる必要がある。その機運を見極めつつ、今はエンジン開発を中心に製作を進めていくよ」

 さらに、フォードへのスイッチに伴い2台体制に移行するチームは、その最後のレースシートに引き続きハイムガートナーを座らせることを明らかにした。

2台体制となる2020年最後のレースシートはアンドレ・ハイムガートナー(右)が残留する
第4戦フィリップアイランドで表彰台を獲得するも、ランキングでは17位に留まる厳しいシーズンを過ごした
11月8〜10日開催の第14戦サンダウン500は、例年おなじみの“レトロ・リバリー”イベントとなる

「アンドレが将来に向け、我々とともに戦ってくれるのは素晴らしいことであり、2020年に向け2台のマスタングと強力なドライバー体制を構築することができた。まだ24歳ながら、アンドレはここまで素晴らしい飛躍を見せてきたからね」と続けたトッド・ケリー。

 そのハイムガートナーは2018年シーズンからチームに加入し、ケリー・レーシングと複数年契約を結んでトップカテゴリーを戦ってきた。

「ケリー・レーシングは僕がスーパーカーに本格参戦する扉を開いてくれたチームであり、将来を確約してともに旅ができるのは最高の栄誉だ。ここまでサポートしてくれた彼らを最優先に考えるのは自然なことだったし、来年は本当に『the icing on the cake(さらに重ねての喜び)』だよ」と、期待を語るハイムガートナー。

「なぜなら、あのフォード・マスンタング・スーパーカーへのスイッチが決まっているんだからね! フォード・パフォーマンスと協力してシリーズを戦うことにチーム全員がワクワクしている。今からあのクルマのステアリングを握る瞬間が待ち遠しいね」

「とはいえ、シーズンを終える前に重要な仕事がいくつか残っているし、カレンダー終盤のチャレンジングなイベントを可能なかぎり好成績で終え、良い位置で来季に繋げたい。幸い、直近の性能調整でレースペースには手応えを得ているから、今週末のサンダウン、最終戦のニューキャッスルともに強いポジションで戦えると思うよ」

 2019年シーズンも残すは2戦。ともに長距離戦に適応されるセカンドドライバー共闘の“エンデューロ・カップ”フォーマットでのレースが予定されている。そして、この週末11月8~10日開催の第14戦サンダウン500は、例年おなじみの“レトロ・リバリー”イベントでもあり、各陣営とも往年のマシンカラーをトリビュートした懐かしのデザインでレースを戦うことになっている。

エレバス・モータースポーツは、1987年にBMW M3で王座に輝いたJPS(ジョン・プレイヤーズ・スペシャル)カラーに
WAUウォーキンショー・アンドレッティ・ユナイテッドは1999年にマーク・スカイフ、クレイグ・ラウンズの伝説的ドライバーがドライブしたカラーリングを採用した
マーク・ウインターボトムのTeam18は、NASCARトリビュートのデザインとなった

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