災害ボランティア、情報共有手探り 支援不足防止へ会議

被災者のニーズを踏まえ、支援の調整に当たる川崎市の災害ボランティアセンター=同市中原区

 台風19号で深刻な被害が出た川崎市や相模原市などで活動する災害ボランティアが連携に向けて動きだした。現場で得た情報と課題を共有し、支援の過不足やミスマッチを防ぐためだ。19号の来襲から間もなく1カ月。これまでに延べ3600人以上が支援に入ったが、浸水した住宅は泥などの除去後も消毒や乾燥といった作業が必要とされ、長期的な視点で被災者の生活再建を後押しできるかが問われている。

 震災や風水害が各地で続発する中、支援の経験を積んだ個人のボランティアやNPO、企業などの役割は拡大。行政だけではカバーできないがれきの撤去や物資の提供、見守りといった活動は近年、被災地の復興に欠かせないものとなっている。

 一方、多様な主体が加わることで、支援の重複や調整不足などが生じる場合がある。被災者や地域の主体的な再建の取り組みを妨げないようにしながら、いかに効果的な活動を展開できるかが鍵とされている。

 こうした背景から、19号の被災各都県で支援調整の場が設けられている。神奈川は遅れていたが、NPO法人「神奈川災害ボランティアネットワーク」の呼び掛けにより、14日に横浜で情報共有会議が開かれることになった。7日には連携強化に向けた準備会合を開き、現場で直面した課題を出し合った。

 被災した住民から寄せられる支援依頼の把握と活動に当たる人材の派遣は、被害の状況などに応じて市町村ごとに設置される「災害ボランティアセンター」が担う。県内では、川崎、相模原両市で地元の社会福祉協議会が中心となってそれぞれ10月半ばに開設し、宅地の被害が限定的でニーズが少なかった小田原市と箱根町はセンターを設置せずにボランティアを派遣した。

 川崎市のセンターは今月7日現在で延べ1142人のボランティアを派遣し、計344件の派遣依頼に応じた。多摩川の増水などに伴う広範囲の浸水で床上まで漬かった住宅が多い中原、高津両区を中心に活動。市社協によると、「宅内からの泥出しやぬれた家具の移動が主な作業内容」という。

 相模原市は7日までで276件の依頼に対し、延べ2518人で作業した。市社協は「崖崩れで土砂が流れ込んだ住宅や畑が北部に点在している。1カ所に大勢のボランティアに入ってもらうことが多い」とし、川崎とは状況が異なると説明する。

 災害ボランティアセンターは1995年の阪神大震災以降に定着した仕組み。しかし、神奈川では大規模災害がなかったため、県社協によると、センターの開設は今回が初めて。そのため、運営側の人材確保や活動調整の工夫も課題となっている。

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