TCRオーストラリア:2020年12月開催バサースト500km、55台の参戦目指し世界中からゲスト招聘へ

 2019年創設のTCRオーストラリア・シリーズを運営したオーストラリア・レーシング・グループ(ARG)は、2年目のシーズンとなる2020年に向け新たにカレンダーに組み込まれた同国を象徴するトラック、マウントパノラマでのレースフォーマットの詳細を発表。国際的なチームとドライバーによる500kmレースを、ノン・チャンピオンシップ戦として開催するとアナウンスした。

 ARGによって年2回のバサースト戦が組み込まれた2020年シーズンは、そのフィナーレとなる12月のイベントに向け、55台のフルグリッドを埋めるエントラントを世界中から招待することを目指すとともに、TCR規定で争われる地域選手権、国内選手権のエントラントに広く門戸を開くことが確認された。

 このバサースト・インターナショナル戦の週末には、TCRの500kmイベントに加えて豪州大陸史上最速の触れ込みで2019年にスタートした新フォーミュラ選手権『S5000』や、LMP3シリーズ、オーストラリア・ツーリングカー・マスターズやNASCAR方式のシルエット・ツーリングカーによるTA2 Racingシリーズなどが併催される。

 ARGのレースディレクターを務めるマット・ブレイドは、このイベントがバサーストにふたたび国際的な雰囲気をもたらすことを期待しており、同じくマウントパノラマで争われるその他4つの国際的イベントを補完する役目を担うだろうとしている。

「ARGグループは、マウントパノラマで新たに開催されるバサースト・インターナショナル・イベントを発表できることをうれしく思う」と、ステートメントで述べたブレイド。

「このイベントは、バサーストに新たな国際的焦点をもたらす真の機会として提示されたもので、これまでグローバルに活躍するドライバーたちが彼らの慣れ親しんだ道具、マシンで戦う機会を本当の意味で提供することになるだろう」

「バサーストを代表するグローバルなイベントとしてVASCヴァージン・オーストラリア・スーパーカー(バサースト1000)と、GT3規定による12時間耐久が存在しているが、これに加えてほとんどの世界的シリーズのカレンダーが終了した12月に、ドライバー、チーム、そしてTCR車両を招き、豪州を代表する有力選手と対戦する機会を設けることが可能になるのだ」

 2019年にTCRオーストラリアの初代チャンピオンに輝いたHMOカスタマー・レーシングのウィル・ブラウンも、TCR規定の“ホットハッチ”がマウントパノラマのレーストラックにマッチすることを期待しており、地元のドライバーと国際的なドライバーとの戦いがイベントの焦点になるだろうと予測している。

TCR500kmレースには、WTCRを頂点に、ヨーロッパなどの地域選手権、各国内選手権から広くゲストを募るという
2019年から始まった『S5000』は、リジェ製のシャシーに570PSを発生する5リッターV8自然吸気エンジンを搭載する
初年度開催となった2019年のTCRオーストラリアで、初代王者に輝いた、新鋭ウィル・ブラウン

「バサーストは説明するまでもなく、世界的なモータースポーツシーンを代表する象徴的なレーストラックで、この新たなイベントにより世界最高のツーリングカードライバーやチームと競争する機会を持つことに、心から興奮している」と、期待を語ったブラウン。

「TCR規定ツーリングカーはこのマウントパノラマに向いていると思うし、とくに山頂のマウンテンセクションは最高にワイルドなフィーリングだと思う。そこでのドライブやバトルは、多くの参加ドライバーやファンを驚かせることができると思う」

「初年度だったTCRオーストラリアでも、ジャン-カール・ベルネイやネストール・ジロラミ、そして多くのVASCレギュラー勢など、ワールドクラスの選手たちと対戦する機会があったけれど、そのたびに彼らがどれほど速く、優れた才能を有しているかを目の当たりにしてきた」

「もちろん、最初のうちは地元ドライバーたちにアドバンテージがあるとは思うが、最初の数回のプラクティスを経れば僕らの利点なんて早々に吹き飛んでしまうと思うよ。つまり僕たちは最高のゲームを戦う必要があって、それだけでもワクワクするね」

 ARGはこの新規国際イベントを2020年12月4~6日のスロットで開催予定としているものの、このスケジュールは2020年のVASCカレンダー最終戦“ニューキャッスル500”とのバッティングが判明しており、あらためて日付の変更が検討されている。

 そして11月15~17日の週末にベンド・モータースポーツパークこと“ザ・ベンド”で開催された2019年TCRオーストラリアの最終戦は、すでに初代王者となったブラウン(ヒュンダイi30 N TCR)がポールシッターのディラン・オキーフ(アルファロメオ・ジュリエッタ・ヴェローチェTCR)を捉えてレース1を制圧。

 続いて、オーレリアン・コンテがドライブするDGスポーツ・コンペティションのプジョー308TCRもデビューを果たしたレース2では、メルボルン・パフォーマンスセンターのアーロン・キャメロン(フォルクスワーゲン・ゴルフGTI TCR)がシリーズ初優勝をマーク。そしてシーズン最終となるレース3は、ブラウンのチームメイトであるネイサン・マルコム(ヒュンダイi30 N TCR)が勝利を飾っている。

 これで2019年初年度シーズンの幕を閉じたTCRオーストラリア・シリーズは、来季3月のF1併催ノン・チャンピオンシップ戦で幕を開け、2度のバサースト・ラウンドを予定。シリーズチャンピオンには新たにWTCR世界ツーリングカー・カップへのワイルドカード参戦や、TCRヨーロッパ・シリーズへの参戦権など豪華なプライズが用意される。

TCRオーストラリア最終戦のR1は、新王者のヒュンダイi30 N TCRが貫禄の逆転勝利
金曜から電気系トラブルで走行機会を失い、急遽フランスから部品空輸でR2に間に合わせたDG Sport Competitionのプジョー308TCR
2020年からは、新たにWTCRへのワイルドカード参戦や、TCR主要シリーズへの参戦権など豪華なタイトル獲得プライズが用意される

© 株式会社三栄