WorldRX世界ラリー選手権の併催イベントとして、2020年シーズンからの創設がアナウンスされている電動ラリークロス車両による選手権『Projekt E（プロジェクトE）』が、ヨーロッパ圏内で開催する全5戦の初年度カレンダーを発表した。また同シリーズに向け、ノルウェーのHolten Motorsport AS（ホルテン・モータースポーツAS）が参戦を表明し、参戦チーム1番乗りを果たしている。
FIAの世界選手権となるWorldRXの開催国のうち、欧州域内のイベントを中心にサポートレースとして開催予定のプロジェクトEは、2020年5月にベルギーのスパ・フランコルシャンを皮切りに、ノルウェー、ドイツ、ラトビア、そして未定ラウンド1戦を含む全5カ国で9月までのシリーズ戦が催される。
栄えある開幕戦となる5月16～17日のスパ・ラウンドは、トラックレイアウトの一部としてオー・ルージュを使用する。続く第2戦はWorldRXでおなじみノルウェー・ヘルで6月に開催され、開催国未定の第3戦をはさんで8月に初開催のドイツ・ニュルブルクリンクでの1戦を経て、最終戦ラトビア・リガのビケルニエキ国際スポーツベースでフィナーレを迎える。
そして、このフルEVクラスへ参入する最初のエントラントとして名乗りを上げたのは、開催国のひとつであるノルウェーに拠点を置くホルテン・モータースポーツASで、2019年9月に発表されたばかりのSTARD製フォード・フィエスタRXスーパーカーをベースとしたEVマシンを使用する。
このホルテンは、長年にわたりWorldRXや欧州選手権のEuroRXで活動を続けてきた老舗チームであり、代表のダニエル・ホルテンはドライバーとして地元ノルウェー国内選手権の2019年チャンピオンを獲得している。
WorldRXが本格的に世界選手権化する以前にも、ホルテンはエクランド・モータースポーツとのパートナーシップを通じて、黎明期のフォルクスワーゲン・ビートルを走らせてきたドライバーでもある。
ホルテン・モータースポーツASとしては、すでにマンフレッド・ストール率いるSTARDが製作したフォード・フィエスタEV RXを投入することを明かしているものの、その参戦ドライバーは追って発表するとしている。
「このProjekt Eへの移行は、私たちをEV技術開発で正しい方向へと推し進めることになるだろう」と語るのは、チームのプロジェクトマネージャーを務めるニルス・レイマーズ。
「モータースポーツが新たな自動車技術の最先端を行くのは、過去の例を見るまでもなく自明の理であり、このProjekt Eこそが変化し続ける自動車産業に関連する進歩と学習を可能にする、技術的なプラットフォームを我々に提供してくれている」
さらに、マシン供給を担うSTARDのCEO兼共同創設者であるマイケル・サコウィッツも、WorldRXプロモーターのIMGとの協業で進められたこのプロジェクトを「全力で推進している」と明かした。
「STARDとIMGによるプロジェクトEに関するプレゼンテーションはほんの数週間前に行われたが、我々とホルテンのチームはこの新しい事業に向けて着々と準備を進めているところだ」
「ホルテン・モータースポーツASが、このプロジェクトEへの参戦を公式に表明した最初のチームとなったことを光栄に思う。わずか2年前には影も形もなく、話し合いさえ始まっていなかったEVラリークロスはどんどん具現化しており、プロジェクトEの開催はすぐそこまで迫ってきた」
「2020年シーズンに向け、EVマシンのキットを購入すればすぐにでもレースに参戦できる。何も難しいことはなく至ってシンプルだ。つい先日、彼らに（STARDが拠点を置くオーストリア）ウィーン近郊でテストの機会を提供できたが、その場ですぐに購入契約を結んだよ。我々のカスタマーとして、ホルテン・モータースポーツASとともに新たな時代のモータースポーツを切り拓けることを楽しみにしている」
■2020年プロジェクトE開催スケジュール（11月22日発表時点）
Round Day Country／Circuit
1 5月16～17日 ベルギー／スパ-フランコルシャン
2 6月13～14日 ノルウェー／ヘル
3 7月18～19日 TBC
4 8月1～2日 ドイツ／ニュルブルクリンク
5 9月19～20日 ラトビア／リガ
