HIMO - 幸福に向かってぶっちぎるだけ

普通の人たちが好きなんですよ

──HIMOの結成の経緯を教えてください。

syucream:もともとatsuki,kaminariの三人で19歳ぐらいからパンクバンド、USパンク、アメリカのハードコア的なものをやってたんです。

atsuki:そこからバラバラになったりもして…違うバンド組んでいても結局、仲が良いから友達みたいな感じで関係は続いてたんですが。最初、俺とkaminariでジャンルにこだわらず俺が最初からやりたかったものをストレートにやってしまいたいと思って。二人で籠って曲作りながらどんどん集まっていって。

──ベースとドラムで曲を?

syucream:途中俺が一年間ぐらい抜けたときがあって。

atsuki:俺が足りないところに行く感じでしたね。ギターのnknsが入ってもう10年ぐらい経つかな?

nkns:7、8年ぐらいかな。

──同級生のつながりとかなんですか?

atsuki:syucreamとkaminariは専門の同級生。俺とsyucreamとは地元が近い感じですね。俺が栃木で…

syucream:俺が北埼玉ですね。結構、昔からの付き合いです。

──三軒茶屋やSAPPORO CITY HARDCOREなどはありますが HIMOの「北新宿ハードコア」とは、どういう意味が込められているのですか?

atsuki:元々、住んでるところが落合だったり北新宿だったりしたんで。もう無くなってしまったんですけどスタジオテレコムってとこでずっと入り浸っていて。

syucream:東京ロッカーズあたりの人も使っていた、結構、古いスタジオなんですよね。

atsuki:後々知ったんだけどね(笑) 。そこでライブやってる人はいなかったんだけど、頼み込んでやらせてもらって、そこのイベントを北新宿ハードコアにして。

syucream:企画名から始まったようなものですね。ライブハウスでも友達がいなかったらから自分たちで、とりあえずスタジオでやろうってことで。企画名として、「俺らここでやってるから」的な。

atsuki:だから仲いい奴らはそこで出会って培ったみたいなもんで。そこが家というか。何もないんだけど、自分たちの落としどころというか。で、付けた感じですかね。

──その当時は基本的にテレコムで活動してたんですよね。今は二万電圧とかが多いですか?

syucream:去年、一昨年ぐらいまでは結構やってたんですけど、なかなか二万電圧も人気があって押さえられなくて(笑) 。半年前から押さえないといけないし、タイミングが合わなくてなかなかやれないんですけど。もちろん好きなライブハウスです。

──メンバーそれぞれの好きなバンドなどをお聞きしたいです。

atsuki:有名なバンドはたくさんいるけども、やっぱり自分らがつるんでるバンドがかっこいいと思うね。でも一番かっこいいのは自分ら、HIMOが一番だと思う。

syucream:一緒にやってきた中で衝撃的だったのが「灰汁」っていうヒップホップグループがいて。その出会いは衝撃的でしたね。ヒップホップってオラオラっていうかパーティ系っていう根付いたものがあったけど、そういうイメージが覆されましたね。

atsuki:言葉の大切さを知ったのはその灰汁だね。

syucream:俺らもバンドバンドしてないですけど、彼ららも所謂ヒップホップではなくて、生活のっていうか、その感じに共感しましたね。結構バンドしてます、ロックしてますってのが苦手で生きてきたんで…普通の人たちが好きなんですよ。

一生懸命やる、だけです

──11月16日のMOON STEPから発売を開始したHIMOのニューアルバム『PROTECT US』のことを聞いていきたと思います。今回のアルバムのPROTECT USのレコーデイングスタジオでの手応えや空気感はどうでしたか?

atsuki:曲作りの段階では、今まではライブとかやりながら作ってきて、急いでる感じがあったんですよ。それを今回、大切に作るというか、それをやろうってことにしましたね。

syucream:去年の暮れぐらいにライブを一旦やめてじっくり半年ぐらいかけて作りましたね。ライブをやめてってのはなかったんで新鮮でしたね。

──HIMOの楽曲はどのように製作しているのですか?

syucream:音は出さずに皆、座って考えてから始めますね。

atsuki:原案を持って行って、おおざっぱに「こんな感じ」って振っていって各々がそれを咀嚼して作っていきますね。

──歌詞からできたりもするんですか?

syucream:そのパターンもありますね。

atsuki:でもなんとなく同時進行で進んでいきますかね。

──レコーディングで苦戦した曲などありましたか?

atsuki:ないですね。レコーディングの段階で難しくなっちゃうとちゃんとできないからね。

syucream:曲作りの段階で時間かかったのってあったっけ?

atsuki:それもないね。じっくりって言ったけど結局いつもと変わらず。10数年続いてるからね。でも時間があった分、各々が自分のビジョンを見つめ直したりとかはあったんじゃないかな。

syucream:それが一番大きかったのかもね。他のバンドがどれくらいストイックにやってるか知らないし、比べるものでもないと思うし。

──アルバムのタイトルは誰がつけてるんですか?

atsuki:俺ですけど、だいたいボブ・マーリーからつけてますね。3rdの『could you be loved』もそうですし。LOVEがテーマというか。一番最後の曲の前のとろろに“positive vibration”をサンプリングしてるんですよ。自分ではどうにでもならないことが多いけど見守ってくださいというか。

──歌詞も書かれてるんですか? また、一貫して伝えたいことはありますか?

syucream:俺とatsukiさん、7対3ぐらいですかね。もちろんそれを元に、ということもあるんですけど。

atsuki:日本語で愛って言ってしまうと各々の愛の概念も違うだろうけど。違う人が言えば宇宙って言うかも知れないし。そういう意味のことですかね。うちらのマーク、丸に点があるものなんですよ。一元論の一元、モナド。そこに皆向かってるし、皆そこにいる。よく歌詞にも出てくるけど、「俺がお前で、お前が俺で」。

syucream:自分のことと、このへんの人、過去、現在。違うこと言ってるようでも同じことしか言ってないと思います。

──何度かライブを見てますが、ライブの表現力が高いバンドだと思います。ライブでこだわっていることはありますか。

atsuki:それは1つだけですね。一生懸命やる、だけです。

syucream:だいぶ昔は自分たちの好き勝手にやってたんですけど、ある時から少ないながらも来てくれる人のため、ではないけど、それも確かにある。来てくれてるんだから、ってのは絶対に無視しちゃいけないなと。前は酒を飲んでやってたんですけど、今は絶対飲まないですね。

──今回のPROTECT USアルバムのツアーなどは行くのでしょうか?

syucream:そこらへんは行き当たりばったりなんで、声かけてくれる人がいれば。九州、大阪とかいますし、早いもの順で行ってもいいですけど。あんまり計画立てては行ってないですね。

atsuki:世話になってるところには行きたいですね。郡山とか。

幸福に向かってぶっちぎるだけ

──2020年1月4日に自分のイベント『東京STREET』で新宿LOFTに出演してもらいますが、新宿LOFTにどんな印象がありますか?

syucream:老舗なイメージ。前のロフト(移転前・西新宿時代)の近くでバイトしてたんですけど、そのときも見に行ってたりして。親近感はありますね。この前も出させてもらいましたけど、もう少し、ベースが出てればね、どうしてもうちの肝だから。

atsuki:一緒にリフ弾いたりはしないから。ドラムとベースで軸作っていく感じだから、ベースが小さかったりすると上物だけが鳴ってる感じになっちゃうからね。

nkns:ベースが大きくても他が揺れるってことはうちはないからね。

syucream:なので次は是非(笑)。

──2020年の活動の展望などありますか?

syucream:あんまりないですけど、曲は常に作ってますからね。

atsuki:落ち着かない内に何かしようとは思ってますけど。曲作りが自分の精神安定剤みたいなとこありますから(笑) 。変な話、アイディアと言ったら聞こえがいいですけど、そういう頭の中のものをアウトプットしておかないと便秘になっちゃうんですよね。

syucream:曲作りをしてないとダメなんですよ。そのおかげでずっと新鮮でいられると思うんですけどね。同世代のバンドは一旦落ち着いたりもしてるけど、俺ら1回もブレイクもしてないんで。

──最後になりますが、PROTECT US のリリースに伴いRooftopの読者にメッセージをお願いします。

atsuki:聴いてもらえればいいかな。

syucream:それでライブに来てもらえばいいね。

atsuki:知識先行の世の中になって精神的なものが軽視されつつあります。必死で物事に取り組む人間には人の心や運命を動かすパワーが宿ります。最近ですとラグビーワールドカップやWBC。興味の無い人にも感動を与える事が出来ます。感動は生きるパワーです。オリンピックも然り。運営側の云々で否定されがちですが世界中から一流が集まるわけですから物凄いエナジーの塊です。競技そのものは否定されるべきでは無いと思います。わかりやすく芸術やスポーツがありますがこの世にはそういったものがあちこちに存在します。僕らのライブも然りです。必死ですから。客と僕ら、お互い必死に求め合い、ポジティブなエナジーが世界に遍満すれば奇跡が起きるかもしれない。完璧なる幸福、完璧なる平和。人類はそろそろそこに行かなくてはいけない。マジで。打倒すれば打倒される。間違いない。僕等は労力を否定に使う暇は無いので、幸福に向かってぶっちぎるだけです。

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