元巨人盗塁王・藤村の現役時代と異なる魅力 ファンイベントで注がれた拍手

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ファンイベントに登場した巨人・藤村大介3軍内野守備走塁コーチ【写真:松本洸】

よみうりランドで畠、若林、北村と恒例のトークショーに出演

「真面目なことばっかりですみません…コーチになると、ふざけたこと言えないんですよね……」

 多くのファンが見守るステージ上で、申し訳なさそうに話すと、温かい拍手が送られた。コーチに就任して約1年が経った巨人・藤村大介3軍内野守備走塁コーチは畠世周投手、若林晃弘内野手、北村拓己内野手の3選手と一緒に毎年恒例、よみうりランドで行われたファンイベント「ジャイアンツデースペシャル2019」トークショーに出演した。

 藤村コーチは現役時代から8年連続で同イベントに出演。選手、ジャイアンツアカデミーコーチ、そしてファームコーチと立場は変わったが、選手とファンを結ぶ大切なイベントととらえ、出演しては若手選手の引き立て役や盛り上げ役となってきた。

 トークショーはまず、今季を漢字一文字で表すと? というテーマでスタート。イースタン・リーグで最高出塁率.414をマークし、1軍初出場もした北村は「出」。今季は2年目で77試合に出場し、6月7日の交流戦ロッテ戦(東京ドーム)ではプロ初本塁打も放った2年目の若林は「増」。結婚を発表し、来季はローテーション入りの期待のかかる畠は「結」と記した。そして、藤村コーチは「学」とペンを走らせた。

「コーチをすることになって1年、自分が教えるというよりは学ぶことが多かったかなと思います。3軍は19歳や20歳の若い選手たちがほとんど。若い選手ってこんな考え方なんだ、と。あとは、教え方などを監督やコーチから学びました。自分の経験だけじゃなく、外の情報も取り入れて、教える自分の引き出しにしようと、そういうのを学べたし、もっと学びたくなりました」

7年前の2012年。最初にこのイベントに来た時は、日本一のパレードの後だった

 藤村コーチは07年に高校生ドラフト1巡目で熊本工から巨人入り。2011年に俊足と広い守備範囲を武器に頭角を現し、盗塁王を獲得した。試行錯誤を繰り返し、その後はタイトルを獲得するほどの活躍はできなかったが、選手の期間で得た苦い思い出も経験値とし、後進の指導にあたっている。

 12月。選手はオフだが、育成選手は練習が待っている。藤村コーチも若手と一緒に汗を流す。

「選手のオフのテーマが練習ならば、僕は勉強しようと。たくさん本を読んだり、外の情報を取り入れて来季に生かしたいです…。すみません。まじめで…」

 ファンを喜ばすために面白いことを話そう、と考えながらも、素直な気持ちをストレートに表現してしまい、“謝る”藤村コーチには、温かい拍手が再び注がれた。

 思い返せば、7年前の2012年。最初にこのイベントに来た時は、日本一のパレードの後だった。

「あの時は午前中に銀座で優勝パレードを終わってから宮国投手と来ました。『パレード、すごかったですね』という話をした記憶があります。今年はリーグ優勝をしましたが、(パレードを)体験できなかった。来年はパレードをして、そのメンバーがここでトークショーできたらなと思います。そうなるようにサポートをしていきたいと思います」

 18歳で東京に出てきて、右も左もわからないまま、常勝軍団に飛び込み、戦い続けた。タイトル、優勝、日本一、そして1、2軍を行き来する苦悩。憧れだった巨人以外のユニホームを着ることは考えられず、引退を決意した。

 そんな藤村コーチは今年の7月で30歳になり、指導者となった。ただ立場は変わっても、ファンを喜ばそうとすることを第一に考えている姿は、この日の言葉の選び方で伝わってきた。「学」んだ1年で、また違った魅力を披露した。(楢崎豊 / Yutaka Narasaki)