14日から「ロボコン」九州大会 五島・奥浦中「全国目指す」 そもそも五島の中学校はなぜ強いのか? 地区大会で切磋琢磨 上位入賞常連に

九州大会に向けて練習に取り組む(左から)坂本さん、海氣さん、平山教諭、檮木さん=五島市立奥浦中

 中学生が自作ロボットの性能や操縦技術を競う「ロボコン」の九州大会(14、15日・佐賀県)に、長崎県五島市立奥浦中の3年生が出場する。五島市内の中学校は長崎県トップレベルの実力があり、同校も過去に全国優勝を経験した伝統校。練習に打ち込む生徒の姿を取材した。

 4日の放課後、モーター音が響く技術室。「もう少し下から」「ナイス!」。生徒たちが熱心に言葉を交わしながら、ロボットを操縦していた。メンバーは坂本尊琉さん(15)、海氣咲希さん(14)、檮木隼大さん(14)の3人で、技術科の平山俊之教諭(58)がそばで見守る。

 3人が出場する「活用部門」は、相手チームと1対1の対戦形式。1分30秒以内に、穴の開いた発泡スチロール製の立方体を、ゴールの棒により多く差し込んだ方の勝ちだ。立方体を素早く正確に運ぶ機体の性能はもちろん、操縦技術や戦略の立て方、チームワークなども勝敗を左右する。

 ロボットは、大きさ(高さ45センチ以内、幅・長さ30センチ以内)や、モーター4個以内といった条件を満たせば、作り方は自由。7月に授業で製作を始め、夏休みや放課後も使いながら機体の改良や練習を重ねている。

 同校は15年ほど前から、長崎県代表として九州や全国の舞台にほぼ毎年出場。2007、08、11年度には全国優勝を果たしたほか、上位入賞も数多い。

 なぜ強いのか。長崎県内の他の市町では地区予選なしで県大会に出場できるケースも多い中、離島の五島市では本土への遠征費がかさむこともあり、2003年から代表選考会を兼ねた市大会を開催。結果的に各校が切磋琢磨(せっさたくま)し、五島市全体のレベルが向上したとみられる。

 かつて同校生徒を全国優勝に導いた経験もある平山教諭は「奥浦では先輩が代々活躍していて、後輩たちには、先輩を超えようという気持ちが伝統として根付いている」と語る。

 リーダーで操縦を担当する坂本さんは「技術室に置かれた先輩のロボットを見ると、頑張ろうと思う。落ち着いてミスがないように操縦し、全国を目指す」と意気込む。アシスタント役の海氣さんは「アイデア次第でロボットの動きが変わるのが面白い」と魅力を語り、練習で相手ロボットを操縦する檮木さんは「リーダーを上達させられるよう頑張りたい」と話した。

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