横浜F・マリノスの優勝で幕を閉じた今年のJリーグ。
昨年からの大きな変化として、外国籍枠の拡大が挙げられる。この規制緩和によって、リーグ全体の外国籍選手の数は増え、外国籍枠を巡ったチーム内競争など、新しいJリーグの楽しみ方もあった。
また、DAZNマネーの流入も相まって、助っ人外国人の質も年々確実に高まっている。そこで今回は、今年のJリーグにおいて、獲得が大成功だったといえる外国籍選手を紹介する。
イサック・クエンカ(サガン鳥栖)
今シーズンの成績:32試合6ゴール
序盤は少し出遅れるも、4月にはスタメンに定着。その後は年間を通してフル稼働を見せた。
FCバルセロナの下部組織で育ち、トップチームでもそれなりの出場歴のある経歴を思い出させる一瞬のキレがある反面、バルサ退団後は欧州クラブを転々としているのが頷けるようなプレイの淡泊さもあり、実力通りの活躍だったと評価するべきだろう。
同胞のルイス・カレーラス前監督が早々に解任され、決して環境には恵まれていなかったはずだが、サイドで崩して中で仕留める金明輝監督のサッカーでは重要なタスクを担い、左サイドから何度も決定機を演出した。
終わってみればチームで2番目のゴール数を記録。移籍の噂もあるが、来シーズン以降も必要な駒である。
エジガル・ジュニオ(横浜F・マリノス)
今シーズンの成績:16試合11ゴール
歓喜の瞬間はピッチで味わえなかったが、横浜F・マリノスの優勝はこのストライカー抜きでは語れない。
キャリア初の国外でのプレーになったが、開幕戦からゴールを記録。順調なシーズンに思われたが、第20節のヴィッセル神戸戦で負傷し、無念の長期離脱。その時点で得点ランキング単独トップ、直近の8試合で8ゴールを決めていたことを考えると、自身にとってもチームにとっても悲劇的な出来事だった。
見た目からはあまり想像できないが、足元が器用でテクニックに優れ、周りの選手を活かすことができる。しかし、最大の長所は決定力で、後ろからしっかりとパスを繋いでゴールを目指すマリノスのサッカーでは仕上げ役として機能した。
気は早いが、来シーズンの得点王候補の一人だ。
ダンクレー(ヴィッセル神戸)
今シーズンの成績:29試合0ゴール
マルティン・カセレスとの契約交渉が合意直前で破綻し、その代役としてリーグ戦開幕後に獲得されたセンターバック。
加入後即デビューとなった第2節のサガン鳥栖戦では攻守に最高のパフォーマンスを見せ、リーグ全体に衝撃を与えた。強さ・高さ・速さの全てを高水準に兼ね備え、加えて中盤を省略する鋭い縦パスを通すこともできる。
集中力の欠如からピンチを招くこともあるが、その高い守備力をもって自作自演で済ませられる。今シーズンはチアゴ・マルチンスがよりクローズアップされたが、個人能力にそこまで大差はなく、むしろ両者の移籍金を考慮すればコスパは上といえる。
ただ、今後はチームにおける外国人枠の制度の次の犠牲者になる可能性も。
シマオ・マテ(ベガルタ仙台)
今シーズンの成績:29試合3ゴール 序盤から黒星を重ねていたベガルタ仙台が調子を取り戻したのは、この男をセンターバックに据えてから。
ボランチから最終ラインにポジションを下げてからはチームの失点数が大幅に減少し、また、終盤戦はゲームキャプテンも担い、クラブのJ1残留に大貢献した。
対人バトルに滅法強く、敗れはしたが第22節のFC東京戦のディエゴ・オリヴェイラとの激しいマッチアップは印象的だった。また、攻守において空中戦も武器となっており、今シーズンのJ1のアシストキングに輝いた永戸勝也の10アシストのうち、3つはマテがコーナーキックをゴールに沈めたものである。
リーグ初のモザンビーク人がこれだけ活躍したことで、Jの新しい補強ルートが開拓されるかもしれない。
マルコス・ジュニオール(横浜F・マリノス)
今シーズンの成績:33試合15ゴール
2度目のラブコールが実って横浜F・マリノスに加入した、ブラジルの世代別代表に選ばれた経歴を持つ実力者。
出場停止の1試合を除いて全ての試合でスタメン出場を果たし、豊富な運動量でピッチを縦横無尽に走り回った。周りと連動したプレイが得意で、リーグ最多得点を記録したマリノスのゴールの多くに絡んでいる。
PKで稼いだものも多いが15ゴールを奪って得点王を獲得し、ベストイレブンも納得の選出だった。終盤戦は疲労が蓄積したのか、仲川輝人に主役の座を奪われた感もあるが、序盤戦から中盤戦にかけて見せたハイパフォーマンスを考えればMVPに推したくもなる。
相手のマークが厳しくなるであろう来シーズンは、何回かめはめ波が披露されるだろうか。