イチロー氏は19年3月に現役引退、前人未到の快記録を次々と生み出した
「イチローの引退」は2019年や球界屈指の大ニュースだった。年末年始に当たり、イチローがMLBで残した事績を振り返ろう。
2001年：シアトル・マリナーズ入団。背番号は「51」。4月2日アスレチックスとの開幕戦に「1番・右翼」で先発出場、7回裏にTJ・マシューズから中前安打。以後、大きなスランプもなく打率3割をキープ。オールスターにも出場しマリナーズでイチローの前に「51」をつけていたランディ・ジョンソンから一塁内野安打。マリナーズはリーグ優勝。イチローは首位打者、最多安打、盗塁王、新人王、シルバースラッガー、ゴールドグラブ、MVPを獲得。242安打は新人での最多安打記録。ピネラ監督は毎日のように複数安打を打つイチローに「やつは毎日マルチだ」と驚く。「マルチヒット」と言う言葉が日本で流行する。
2002年：208安打、打率.321（4位） ゴールドグラブ、オールスター出場
2003年：212安打、打率.312（8位） ゴールドグラブ、オールスター出場、5月16日にMLB通算500安打、10月に30歳になる。
2004年：3、4月は打率.255と調子が上がらなかった。5月21日、日米通算2000本安打。7月以降、驚異的なペースで安打を打ち、10月1日、1920年、ジョージ・シスラーが記録したシーズン257安打のMLB記録を抜く。安打数は最終的に262まで伸ばした。打率.372はMLBでのキャリアハイ。首位打者、最多安打、ゴールドグラブ、オールスター出場。
2005年：206安打、打率.303（11位） 前年MLBに移籍したヤンキースの松井秀喜（打率.305 9位）に負ける。ゴールドグラブ、オールスター出場。6月14日にMLB通算1000安打。
2006年：224安打 打率.322（6位） 第1回WBCに出場し、ベストナインに選ばれる。ア・リーグ記録の33連続盗塁成功。最多安打、ゴールドグラブ、オールスター出場。
2007年：238安打 打率.351（2位） タイガースのオルドニェスと首位打者争いを繰り広げる。最多安打、シルバースラッガー、ゴールドグラブ、オールスター出場。
2008年：213安打 打率.310（7位） 最多安打、ゴールドグラブ、オールスター出場。7月30日、日米通算3000安打。
2009年のWBC決勝では値千金の決勝打、2016年にはMLB通算3000本安打を記録
2009年：225安打 打率.352（2位） 第2回WBCに出場し、決勝の韓国戦で決勝打。ツインズのマウアーと首位打者争いをくり拡げる。9月6日、MLB通算2000安打。最多安打、シルバースラッガー、ゴールドグラブ、オールスター出場。
2010年：214安打 打率.315（7位） 最多安打、最多安打、ゴールドグラブ、オールスター出場。10年連続200安打はMLBタイ記録。デビューから10年連続で打率3割、ゴールデングラブ、オールスター出場を果たす。
2011年：184安打 打率.272（35位） 200安打、3割の連続記録が途切れる。
2012年：3月28日東京ドームでのアスレチックスとのMLB開幕戦に出場。6月19日、MLB通算2500安打。7月23日、ヤンキースに電撃トレードされる。背番号は「31」に。ヤンキース、マリナーズでの通算成績では178安打、打率.283（29位）。ヤンキース移籍後は打率.322だった。
2013年：136安打 打率.262（46位） これが最後の規定打席到達となる。8月21日、日米通算4000安打。10月に40歳になる。
2014年：102安打 打率.284 元広島アルフォンソ・ソリアーノらと併用され「第4の外野手」の位置づけ。オフにFAとなる。
2015年：1月27日にマイアミ・マーリンズ入団を発表。ナショナル・リーグは初めて。91安打、打率.229。初めてシーズン100安打を割る。
2016年：4月29日MLB通算500盗塁。6月15日、日米通算でピート・ローズの4256安打を抜く。「日米通算」に関する議論が起こる。8月7日、史上30人目のMLB3000安打。アジア人では初。95安打、打率.291
2017年：50安打、打率.255 11月3日、マーリンズからFAとなる。
2018年：3月7日、マリナーズに6年ぶりの復帰が決まる。9安打 打率.205。5月3日、選手ロースターを外れ会長付特別補佐に就任。
2019年：3月20日再びメジャー契約し、東京ドームでのアスレチックスとのMLB開幕戦に出場。3月21日、2試合目の試合中に「引退」のニュースがMLB公式サイトに掲載される。0安打 打率.000
MLBでの通算記録は2653試合出場し、3089安打（9934打数）、117本塁打、780打点、509盗塁、打率.311。首位打者2回、最多安打7回、盗塁王1回、新人王、MVP1回、シルバースラッガー3回、ゴールドグラブ10回、オールスター選出10回。イチロー氏が残したのは、まさに後世に残る記録と言えるだろう。（広尾晃 / Koh Hiroo）
