オーストラリアスーパーカー王者がインディカーをテストドライブ「首がねじ切れそう」

 2018年にフォード・ファルコンFG-Xで、2019年は新型マスタングでVASCヴァージン・オーストラリア・スーパーカー連覇を果たしたスコット・マクローリンが、アメリカに上陸。フロリダ州セブリングで開催されたインディカーの新人評価テストに参加し、チーム・ペンスキーのマシンをドライブした。

 オーストラリア大陸ではDJRチーム・ペンスキーのエースとして活躍し、2年連続でVASCシリーズチャンピオンに輝いた26歳のマクローリンは、タイトル獲得のご褒美という意味合いも兼ねて、チーム・ペンスキーのシングルシーター初体験の機会を獲得。

 北米最速フォーミュラを操るチームのレギュラー、ウィル・パワー、シモン・パジェノー、ジョセフ・ニューガーデンらが見守るなかで本格的フォーミュラ初走行に臨み、興奮のひとときを過ごした。

「とにかく非現実的で、このクルマはまさに“野獣”だね。それらは全部、僕がつねに夢見ていたもので、ここへ来てシートに座ることを許し、ドライブする機会を与えてくれたロジャー(・ペンスキー代表)とチーム全員に感謝したい」と、初体験の喜びを語ったマクローリン。

「初走行ではあったけど、今日は141周ものラップをこなすことができた。今は首がメチャメチャ痛くてねじ切れそうなほどだよ(笑)。でも、最後まで死力を尽くしてロングランを敢行し、マシンに関するすべての感触を得ることができたと思う」

「全開アタック領域に踏み込んだ予選シミュレーション、レースペースの確認、ロングランでのドロップ、燃費走行と消費量の相関、そしてピットアウトを含めた作業確認など、本当にクールな出来事の連続だったよ」

今季からVASCに投入された新型フォード・マスタング・スーパーカーで、年間18勝の圧倒的強さを発揮した
初のインディカーながら、いきなり141周を走破。予選アタックやロングランなど充実のメニューをこなした

 ニュージーランド出身のマクローリンにとって、これまででもっとも速いシングルシーター経験はフォーミュラ・フォードだったが、かねてからアメリカでのレースに興味を示しているダブルチャンピオンは「今回のテストを経て、さらにここで走る機会が増えることを願っている」と続けた。

「僕の手の内にさらなるグリップがあって、それを信頼するべきだということを学んだのが、おそらく今日最大の収穫だった。過去10年間、スーパーカーをドライブしてきた習慣から抜け出すのは、ものすごく困難な作業だった」

「でも、このマシンでコーナーに飛び込むと、数百ポンドのダウンフォースが異次元のコーナーリング速度を実現してくれる。本当にクールでエキサイティングな体験だったよ」

「願わくば、また次の機会があることを望んでいる。まだ何とも言えないけれどね。今回の経験を心から誇りに思うし、インディカーこそ、僕の“やりたいことリスト”の間違いなく最大の目標になった」

「そして(インディ500で4勝の)伝説的ドライバーであるリック・メアーズや、ペンスキーのドライバーたち、そして40名のチームクルーの存在に心から感謝したい。とくにシモン(パジェノー)は、僕が望む方向に進みたいと思ったとき、どんなふうにフィードバックすべきかについてアドバイスをくれて、それが最後まで本当に大きな助けになったんだ。とにかく今は、圧倒的な達成感で一杯だ」

「このダウンフォースは本当に異次元だった」と、印象を語ったマクローリン
「彼らは家で休んでいることもできた。米・豪ペンスキーの団結に感謝する」と、クルーへの謝意を述べた

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