新幹線長崎ルート  国交省が佐賀県に5択協議提案 フル規格含め並列

 九州新幹線長崎ルートで未着工となっている新鳥栖-武雄温泉の整備方式を巡り、国土交通省は16日、佐賀県に対し、フル規格に加え、ミニ新幹線など別の四つの方式を含めて協議することを提案した。フル規格前提の協議には応じないとする佐賀県側に譲歩した格好。佐賀県側は提案を慎重に判断する考えを示した。
 国交省鉄道局の足立基成幹線鉄道課長らが佐賀県庁を訪ね、南里隆地域交流部長らに今後の協議の進め方を申し入れた。両者の面談は冒頭を除き非公開。国交省側は、実務者協議を月1、2回程度、知事と鉄道局長の協議を1、2カ月に1回程度とし、必要に応じて両者合意の下、長崎県とJR九州に参画を求めることを提案した。
 終了後、足立課長は報道機関に、「(フル規格が適当とした)与党の方針を重く受け止めるが、五つを並列に並べて真摯(しんし)に議論したい。佐賀県の合意なく進めることはない」と述べ、今月中に協議に入りたいとの意向を示した。一方、南里部長は「急いで議論するつもりはない」と今月中の協議入りを否定した上で、「与党検討委の基本方針を前提とした協議には入れないと伝えた。今日の話を分析整理した上で改めて質問したい」と述べた。
 未着工区間を巡っては昨年8月、与党検討委員会が「フル規格での整備が適当」との基本方針をまとめ、国土交通省、長崎、佐賀両県、JR九州の4者による協議を求めた。しかし、多額の財政負担や並行在来線の経営分離を懸念する佐賀県はフル規格前提の協議に反発。整備方式について、スーパー特急方式やフリーゲージトレイン(軌間可変電車)、新幹線と在来線を乗り継ぐリレー方式、ミニ新幹線を加えた5択を主張していた。事態打開のため、赤羽一嘉国交相が佐賀県の山口祥義知事と会談。協議の進め方について事務レベルで確認することで一致していた。

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