長崎の被爆者、来月派遣 体験講話事業で初 池田さん新潟へ

 被爆の実相を伝えるため、国が費用を負担し被爆者の家族らを講師として派遣している事業で、被爆者本人も講師として派遣されるようになり、長崎から初めて被爆者の池田松義さん(81)が2月に新潟県柏崎市へ試験的に派遣されることが21日、分かった。
 同事業は2018年度に始まり、初年度は423件の利用があった。被爆講話を希望する国内外の学校や団体に講師を派遣しているが、講師は被爆者本人の体験を受け継ぐ「家族・交流証言者」らに限定していた。
 厚労省は新年度、同事業の予算として前年度比約500万円増の約5100万円を確保。被爆者の要望を受け、新年度から被爆者本人も講師として派遣する。昨年12月、試験的に広島の被爆者を東京に派遣していた。
 池田さんは爆心地から約0.7キロの長崎市城山町で被爆し、原爆で家族6人を亡くした。厚労省は派遣に当たり、旅費と謝金を支給する。池田さんは「国内外に平和を伝えるためには費用面は重要な課題。国の援助は大変ありがたい」と話した。

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