自民党の支持率が下がって どこが増えたの? 最新の政党支持率をハイブリッド調査で読み解く! 選挙ドットコムちゃんねる第9回 #2

発表するたびに各方面から注目を集めている、選挙ドットコムのハイブリット調査。
今回はその最新版として政党支持率・内閣支持率の調査結果をお届けします。

他の調査に比べ、若い年代層の動向も汲み上げた結果となっている選挙ドットコムの最新政党支持率調査では、自民党の支持率が電話調査でもネット調査でも低下!

では、自民党の支持をやめた人たちは一体、どの党支持になったのでしょうか?
自民党を追求し続ける野党に流れた? はたまたN国支持に鞍替え? それとも……!?

選挙ドットコム第9回その2の番組内容をダイジェストでお伝えします。

有権者の全年代の意識をバランスよく調査できるハイブリッド調査

乙武 「今回のテーマは最新意識調査データ発表」ということなんですけれども。

千葉 「ゲストコメンテーターとしてお越しいただいている米重さんが代表取締役を務められているJX通信社ご協力のもと、ネットでも支持率を調査したデータと組み合わせて発表しています。

新聞社などの支持率調査は、電話調査のみですが、選挙ドットコムでは合わせてネットでも調査を実施しています。

電話調査とインターネット調査は、同じ設問で同時に行う方式で、幅広い年代の意見を抽出できることが大きな特徴なんですね」

乙武 「電話とネットを使うからハイブリッド調査なんだね」

千葉 「米重さんに、詳しくどんな調査なのかを伺いたいのですが」

米重 「電話調査とネット調査を組み合わせているのが、このハイブリッド調査の特徴ですが、じゃあ電話とネットで何が違うのかって言うと、一番の違いは年代構成ですね。

電話の場合は我々の調査だと、40代、50代、60代、そして70代以降がだいたい2割くらいずつサンプルとしては取れるんです。

これは比較的、投票所に行く人たちに近い構成なんですが、逆に言うと20代、30代のサンプルが電話ではあまりとれないんですね。

それに対してネット調査、グノシーリサーチさんがやられてますけど、これに関しては20代、30代、40代、50代が、1~2割くらいずつサンプルが取れますので、まあ若い世代はネット調査で、それ以上に関しては電話調査でしっかりキャッチできると。

これを合わせると、ある程度バランスよく結果を確認することができるかな、というところがありますね」

最新の調査結果では、自民の支持率が低下

乙武 「じゃ、さっそく見ていきましょうか」

千葉 「最新の政党支持率はこのようになりました」

米重 「自民党がちょっと下がってますね」

乙武 「これは電話もネットも共通で下がってるな」

米重 「立憲も同じですね」

乙武 「ほんとだ。おもしろいのは、普通、自民が下がったら、野党第一党の立憲民主党が上がってもよさそうなもんだけど、両方下がってるね」

米重 「単純に自民党がダメなら野党はその受け皿になる、っていう状況では今のところないということですね。それで、特定の政党を支持していた人が無党派っていうことになるということで、支持なしの数字が上がっている」

乙武 「これ一言でいうとさ、野党がだらしないってことなんですかね?」

米重 「そういう側面はあると思いますよ」

千葉 「支持政党なしという回答は、たしかに上がっていまして1か月前と比べてみると、こんな感じです」

乙武 「12月では支持なしが38.2%、それが今回は41.4%」

米重 「3%くらい上がってますね。この人たちは既成の政党支持層からはがれて、ここに落ちてきたということになりますね」

露出が減ると支持率も下がるのは、新興の党のウィークポイント

乙武 「ほかに何か目立った動きと言うと……。あ、れいわがけっこう落ちてきてますね」

(前回、電話調査では2.1%、ネット調査では1.9%だったが、今回は電話調査1.3%、ネット調査2.0%)

米重 「れいわ新選組は最近、露出の機会があまりないですからね。そういった意味ではほかの世論調査でもそうですけど、いっときの数ほどは支持されてないというところはあります」

千葉 「なにかマイナスなことをやったというのではなく、露出が少ないというだけでも支持は下がるってことですか?」

米重 「とくに新しい政党の場合は認知度ということが重要になるので。電話口で『どこの政党を支持していますか?』と聞かれたとき、『れいわ新選組』という名前がパッと浮かぶかどうか、想起できるかどうかというところがやはり、普段からその名前をよく見たり聞いたりできるかどうかは、できて間もない新しい党の場合は、ある程度、影響がありますね」

千葉 「なるほど」

米重 「やはりテレビや新聞などで露出が少ない時期は、支持率に影響しやすい。
れいわに限らず、新興の政党はそういう傾向にありますね」

乙武 「逆に支持を伸ばしているのがN国ですか?」

米重 「N国はネットではあいかわらず強いですね」

乙武 「比較的年代が上の層の電話調査でも、0.6が1.1になっているし」

米重 「まぁこれは1000人ちょっとの調査ですから、誤差の範囲ではあるんですけど。でもN国はネット調査では、ずっと3%台を維持しているというのは興味深いポイントですね。立憲民主党と比べても、いい勝負しているわけですから」

*選挙ドットコムがこれまでに行った3回のハイブリッド政党支持率調査のネット部門では、N国党支持率は1度も3%を下回ったことなない。
第1回 3.2%  第2回 3.1%  今回 3.4%

乙武 「立憲の3.5に対して、N国3.4か」

米重 「これはネット上では野党第一党をうかがう、みたいな数字になってます。ネット限定とはいえ、やはりこれは非常に興味深い」

すでに風前の灯火か? 社民党

乙武 「僕が個人的に気になっているのは、社民党。電話で前回0.9%だったのが、今回は0.5%。ネットでは0.2%が0.1%!なんかもう、風前の灯火ですけど」

米重 「とはいえ、しぶとい面もありまして。毎回毎回、参・衆院選になると、存続の危機とか言われるんですけど、しぶとく生き残っていますね。

ただ今、野党合流の協議真っただ中にあって、又市党首は『あくまで個人的な考え』といいつつも、『合流してもいい』と、かつ、『立憲民主という名前でもいいんじゃないか』という踏み込んだ発言をしていますからね」

乙武 「党首選も先延ばしにしてしまったもんね」

米重 「ですね。組織的には社民党は、社会党から始まって歴史が長いので地方にもいろいろな組織がありますから、その中で一定の合意形成をしないと『合流します』というのもスパッとはっきり決めることはできないわけです。最終的にはそうしたプロセスを踏んで、合流していこうという流れになるのかなとは思いますね」

千葉 「社民党の方が、この数字見たらショックですよね」

乙武 「そうだよね。この先、社民党の動きも注目ですね」

内閣支持率は微減、不支持も減。増えたのはやっぱり「どちらでもない派」

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千葉** 「今度は内閣支持率を見ていきましょうか」

米重 「内閣支持率は、先月に比べて、0.1%減ですね。その一方で不支持も2ポイント減。じゃあ、なにが変化したかというと『どちらでもない』という回答が増えたんです。

支持するわけでも、支持しないわけでもないという人たちが、前回10.9%だったのが、今回は13%。
この調査では中間の人が増えました。不支持からどちらでもない、になった人が2ポイントくらい増えたということになります。

他の調査と比べてみると、共同通信では6%支持率が回復した、JNNの調査では3%回復したなどといわれています。

これは『どちらでもない』という答えがない設問(支持する・支持しないの2択)に対して『まぁどちらかというと支持するかな』という人が『支持する』という選択肢を選んで、数ポイント増えているという調査結果になっているというわけですね。

というわけで、他社の調査では、一見すると回復しつつあるように見えますが、まだまだ落ちた内閣支持率が本格的に回復するというところまではいってないと思いますね」

乙武 「やや内閣支持率が戻ったのは、年が明けて、昨年あれだけ大騒ぎになった『桜を見る会』についての批判が、ちょっと薄らいだっていうか、ちょっと忘れかけてきたってところが理由なんですかね?」

米重 「そうですね。国会も、今は閉じていますからある意味、ここで桜を見る会について追及される機会が比較的少ないわけですね。その分、ほかのニュースなどが盛り上がっているという状況なので。

ただ1月20日から通常国会が始まりますけど、そうなると新たに追及の様子がテレビや新聞などでも報じられます。

予算委員会などでも野党はこの問題をバンバンやるということを言ってますから、そうなると支持率に影響してくる可能性はあります」

乙武 「自民党を追及することで、自民党の支持率も下がるかもしれないけど、一方で『まだあいつらやってるのか』って野党の支持率も下がるかもしれないですよね」

米重 「それはありますよね。今までも、自民党や内閣の不祥事などについて追及した結果、野党の支持率が上昇に影響したという事例はあまりないんです。どっちかというと下がるのは野党も承知。

でも、内閣支持率なり自民党の支持率を下げるのにはダイレクトに響くので、自分たちが多少下がるのも分かったうえで、大きく自民や内閣の支持率を下げる狙いでやっているんだと思いますよ」

千葉 「よくないことについて追及したからって、支持率が上がるわけじゃないんですね」

米重 「建設的な提案をする方もいるんですが、そういう発言はテレビ的にはおもしろくないでしょ。だから情報番組などで取り上げるのは、バンバン追及しているシーンだけとかになってしまうんですよね。

そうすると必然的に『野党は、揚げ足取りみたいな追及ばっかりして』っていう印象をどうしても視聴者は抱いてしまいがちですし」

支持率調査などで、各社のデータに違いが出る理由とは?

乙武 「ところで支持率調査みたいなデータって調査機関によってポイントにばらつきがあったりしますよね。どうしてなんですか?」

米重 「理由は簡単で、各社質問の選択肢と質問の文章が全然違うからです。例えば今回の選挙ドットコムと我々の調査だと、回答の選択肢が5択になっています。

『強く支持する』『どちらかといえば支持する』『どちらともいえない』『どちらかと言えば支持しない』『全く支持しない』の5択ですね。

『どちらかと言えば』という中間的な選択肢が、通常よりも多く設けられていて、微妙なニュアンスもくみ取る工夫をしています。

それに対して大手報道機関の調査の場合は、3択というケースが結構多いんです。『支持する』『どちらでもない』『支持しない』の3つ。

もしくは『支持する』『支持しない』の2択という場合もあります。まあ2択だと白黒はっきり出ますけど、3択の場合はきっぱり言い切れない場合は『どちらともいえない』にながれて、支持・不支持の数字が少し下がるという傾向があります。

このように、どのような選択肢を使ってどのように質問しているかで、調査結果というのは結構変わってくるわけです。世論調査とか支持率調査などを見る場合、この辺は頭に入れておいた方がいいかもしれないですね」

どの新聞の購読層かによっても、支持率は大きく変わってくる

乙武 「これは世論調査や支持率調査とは違うけど、例えば朝日新聞の購読者と産経新聞の購読者に同じ質問をしたら、だいぶ答えは変わってきますよね」

米重 「それはあります。1年ほど前、我々が都民を対象に調査した時、新聞の購読状況についても聞いたんですよ。『普段あなたはどの新聞、どのニュースサイトを見ていますか』というような形で。で、新聞の読者ごとに政権の支持率を調べてみたんです。

そしたら産経新聞の読者層では、政権支持率は8割以上。一方、東京新聞読者で政権支持の人は5%くらいにとどまりました」

千葉 「えええっ、そんなに違うんですか?」

米重 「そういう違いが数字ではっきり出てきまして、世間的にもかなりわかりやすい結果になったと、非常に話題になったんです。今の安倍政権は、かなり長期政権なので、報道機関の色によって購読者に与えている印象というのも数字上に表れるのかなとは思います」

政党・内閣支持率以外にも、こんなデータが見てみたい

乙武 「僕はどの政党が支持されているかももちろん大事な情報だと思うんですけど、有権者がどんな政策を支持しているのかってところを、毎月じゃなくてもいいんですけど、時々チェックしたいなとは思いますね」

米重 「選挙の時は、支持する政策の内容についても、たとえば憲法改正とか社会保障とか、医療福祉、教育、子育てなど項目を立てて、どういう政策をトリガーにして有権者の方が投票に行くかということを調べたりもするんですけど、今後はそういう項目をこの意識調査に入れていってもいいかもしれないですね」

千葉 「私は選挙に行く人がなんで行くのかという理由と、逆に行かない人がどうして行かないのかっていう理由が、知りたいです」

米重 「その辺は難しくてですね……。選挙に行くって電話調査で答えた人が、本当に行くわけではないっていうケースも多いんです。けっこう調査と投票結果にはズレが生じることが多いんですよ。
とくにこの投票に行くかという態度表明の部分では、ズレが出る。

このへんを、改めて丁寧に掘って調査してみると、おもしろいかもしれないですね」

投票率UPを狙うなら、選挙は平日にすべし!?

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乙武** 「当日の天候なんかも影響しそうだしね」

米重 「あるでしょうね。一般的には当日、くもりっていうのが、投票率が高くなると言われています」

千葉 「え、くもりが高いんですか? 晴れの日は投票率が高いと思ってました」

乙武 「晴れだとさ、遊びに行っちゃうから。日曜日だから」

米重 「そうなんですよ。正直、選挙より面白いイベントが、世の中には山ほどありますからね。晴れて気持ちいいから、選挙よりビアガーデンに行こうかなとか、そういうテンションの人はいっぱいいますから」(爆笑)

千葉 「そっか、くもりがいいんですね。確かに雨だと行きたくない気がしますけど」

米重 「晴れでも雨でもだめで、くもりぐらいが選挙にはちょうどよくて、選挙行こうかなって感じになるんでしょうね」

乙武 「いっそ投票日は平日を休みにしてやるっていうのはどうなの」

米重 「そうですね、海外では、イギリスとかもそうですけど『この日は投票日』ということで平日を休みにしちゃう国もあります。ただ日本はずっと基本的日曜日が投票日なんですよね。

こういうところは日本も、今後議論していってもいいかもしれないですね」

*編集部注:アメリカでは大統領選挙の投票日は、1845年に連邦法で『11月の第1月曜の次の火曜日』と制定。韓国では水曜日、イギリスでは木曜日が投票日。

乙武 「選挙や支持政党調査の意外に知らない話がたくさん聞けたね。では、今回はこのへんで。次回もお楽しみに!」

 

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