立憲と国民、合流不発に終わったこじらせの原因は? 選挙ドットコムちゃんねる #10-2

「立憲民主党と国民民主党が合流し野党が一丸となれば」、次期衆院選で自民党の議席を大きく削ることができると予測した松田氏。
そして年末、立憲と国民の合流成就の可能性を「80%」と予想した乙武氏。
ふたりの見立てをあっさり裏切り、立憲民主党と国民民主党の合流話はいったんお流れに……。
その原因は? 今後の野党共闘への影響は?

今回は、選挙ドットコムちゃんねるが行った有権者への意識調査も交えつつ、今後の2党の行方を占います。

番組の模様をダイジェストでお伝えしていきましょう。

立・国合流ならずで、赤っ恥!?

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乙武 「今回も始まりました、選挙ドットコムちゃんねる。今回のテーマは、立憲と国民は合流するの?しないの?ということですが…」

千葉 「昨年末から合流が協議されていました立憲民主党と国民民主党ですが、現段階では合流が困難という見通しになっているようですね。
今後、野党共闘があるっていうお話もあったんですが、松田さん、合流が難航している理由は何なんでしょうかね?」

松田 「昨年時点では『もう年内にでも合流するだろうという』声が多くてですね、僕もそう思っていたし、僕が取材した方や取材した方が聞いた話でも、年内か遅くても年始にはっていうことだったんですけど、予想以上に難航しましたね~」

乙武 「僕、たしか年末くらいの放送で『ズバリ合流の確率は?』って聞かれて『80%!』って言ったんですけど、完全に赤っ恥!」

松田 「いや~私も同じく赤っ恥ですよ~。合流する前提で、2月解散があった場合の衆院選議席予想もしちゃったし。

まぁでも、合流が難航した理由としてはね、解散の時期が後ろに延びたっていうのが、ひとつ遠心力として働いたのではないかと思います。

12月の段階では年明けすぐに解散で、2月に選挙という可能性が高いのではという空気があったんですけど、それが延びたとなると急いで合流する理由が薄れてしまったと。

あとは合流協議自体が、立憲の譲れない線と国民の譲れない線っていうのが、なかなか双方で折り合えなかったといういうのも、もちろんあると思います。

合流が先延ばしになったのは、資金繰りが苦しくて資金潤沢な国民と合流したかった立憲に、政党助成金が入ってひと息つけたから?

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乙武 「組んだ方が選挙は有利になるってことはもちろんだけど、それぞれの党の特色というか持ち味を考えたときに、立憲のほうは議席数が多いというのがありますよね。だから国民民主はそこと組んだ方がいろいろ国会運営の上で有利になる。

一方、旧民主党の政党後継は、国民民主党だということで、お金は国民が持っている。新しく党を興した形の立憲民主は資金繰りが苦しいから、国民と組みたいって、双方にそれぞれ理由があったと思うんですよ。

でも、年が明けたことによって党費が振り込まれましたよね。立憲はかなり議席数が多いから、わりと大きな額が振り込まれたじゃないですか。そうなると、立憲側には国民と急いで組む理由がやや目減りしたのかなと僕は見たんですが、このあたりはどうなんでしょう?」

松田 「うーん、お金の問題で云々っていうのは、僕の知っている範囲ではないですね。
たしかに毎年、けっこう多くの政党助成金が入ってくるんですけど、やっぱり2017年と19年の衆参の選挙で、たくさんお金が必要だった立憲にはまだ借金があるのではないかと言われていまして、次の衆院選を考えると、また非常に多くの資金が必要になりますから、立憲がお金がないことに関しては、政党助成金が入ったくらいじゃまだあまり状況が変わらないんじゃないかと思います。

合流するメリットとして一番大きいのは、やっぱり選挙で有利になるってことじゃないかと。
同じ選挙区で分裂してたら、野党側は自・公の候補に勝てませんよね」

松田「候補者の一本化調整というのは過去の選挙でも何回かやってきたんですけど、その調整も別の党同士で調整するよりも、当然ひとつになってやってしまったほうがスムーズで、当然議席も伸びますよね。
あとは『ドント方式』という比例代表の配分方式では、各政党に投票してもらうんです。各政党が取った票に応じて議席を配分するんですけれども、数学的にですね、数学者の方が証明してくれた記事もあるんですが、要は立憲と国民が別々の党として得票するよりも、ひとつの党になって得た票で議席を分配した場合のほうが、1ないし2くらい議席が増えるそうなんです。

比例票の分配の時点でも合流したほうが、議席が増えるという、制度的なメリットも非常に大きいんです。だからお金の問題も合流のメリットのひとつではあると思うんですが、これがひとまずなんとかなったからって、合流が破綻したということにはならないと思います」

乙武 「なるほどね。資金繰りに有利かどうか以上に、選挙に有利ってところの方がメリットは大きいと。でもそういったデータは当然、どちらの政党にも伝わっているというか知ってると思うんですけど、それでも組めない理由っていうのはどこにあるんですか?」

松田 「なんですかねえ。プライド?わかんないんですよね。どっちの党が難色を示しているのかっていうのも、よくわからない。それぞれの立場の人がそれぞれいうので。

『国民のせいでできなかった』『立憲のせいでできたなかった』っていうのが両方から聞こえてくるんで、まぁどっちもどっちっていうか。

2017年の分裂時の感情的なしこり云々というのもよく語られることですし。またこれは連合という労働組合の支援組織との絡みでの問題なんですが、政策的なところでも脱原発の部分などもありますね。

いろいろ問題はあるわけですが、最終的にはそのへんをなんとか飲み込んで合流するだろうと、さすがにみんな思っているんですがね。

やっぱり今回、合流しなかったのは、国会の解散がしばらくないという状況なのかなと僕は思いますけど」

乙武 「国民民主側が、対等合併じゃなきゃイヤだっていうのが一番の理由かなっていうふうにも見えたんですが」

松田 「そいいう見方もありますね。でも僕から言わせればね、たしかに立憲には議席はあるけど支持率って言ってももう1桁しかないわけじゃないですか。かつての民進党時からどんどん目減りしていって、参院選でも全然票が伸びなかった。

まあ前回の衆院選ではちょっとバブルでブームみたいな感じになって多少よかったんですけど、最近は全然ダメ。野党第一党でこの程度かと。なので、なんで立憲がそんなに偉そうにしているのかわかんない。(笑)

候補者調整をして共産党も国民も降りてね、与党と一騎打ちになれば衆院選挙で勝てる選挙区もたくさんあると思いますけど、前回の参院選なんか野党共闘をしても、無所属の野党共闘ってやった候補が当選して、立憲民主党公認ってやった候補がバタバタ落選したんですよ。

だから立憲も支持率たいしたことないですし、けっこう嫌われていると思います。国民はそれ以上に支持されてなくて1%を切る勢い。

なんかね弱い者たちが夕暮れ、さらに弱い者たちを叩きあったって仕方ないじゃないですか、本当に何やってんだろうなって思います」

選挙直前合流のほうがフレッシュで話題にもなるから有利!?

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千葉 「松田さん、本音炸裂ですね!私は一国民として見ていて、合流するんなら早くすればいいのにって思うんですけどね」

松田 「そうですね。ただ選挙的には逆のことを言う人もいるんですよ。
選挙直前に新党になると、目新しさがあって多少、支持が伸びるんじゃないかって」

乙武 「でもそれじゃ逆に名前が浸透しないっていう見方もあるんじゃないですか?」

松田 「政党名は浸透しづらいでしょうが、選挙区的には2大政党的な野党対与党の闘いになるとね、どっちを選ぶかってことになるので、党名自体が浸透しなくてもある程度、票が取れるんじゃないか、フレッシュな方がいいんじゃないかっていう人もいるんです」

自民のオウンゴールで議席取ってるだけじゃ、大勝はできない!

僕としては、さっさとひとつの党になって、国会でも野党が連携して与党と対峙すると、国会に緊張感がうまれるみたいなことに期待したんですけどね。この通常国会で野党が何かしら実績を出して、それで選挙と。

言ってみれば、今までずっと与党のオウンゴールで議席取っているだけだったんだから、そうじゃなくて野党がちゃんと自分でゴールを決めて、国民の評価が高まるという形にしないと、やっぱり大きくは勝てないと思いますから。

そういう意味では千葉ちゃんがいうようにとっとと合併して、一緒の党で国会でもしっかりやって実績出して選挙になるのが、野党にとってはいいんじゃないかと思うんですけど」

みんなが「秋だな」と思うと、意表をついて選挙が早まるケースもある

乙武 「どうやら冒頭解散はなさそうだということになってくると、現実的にはオリパラが終わった9月以降、10月あたりというのが最も早いタイミングなのかなということになってきますが、そうなると合流もくすぶり続けたままで、いったん夏を越すのかなあという感じになってくるんですかね」

松田 「大方の見方としては、オリンピック・パラリンピックの後というふうに言われますよね。でもみんながそう思っていると、逆に早くなるんじゃないかっていう声もあって」

乙武 「あ~。都知事選のあたりとか?」

松田 「都知事選のタイミングか、もしくは4月。予算が通ったあたりとか」

乙武 「じゃあまだ予断は許さない?」

松田 「けっこう4月説を唱える方が増えてきてはいます。ただこれは国会運営の中でもまた変わってくるのではと。安倍政権はこれまでも官僚が辞任したりして苦しいときに解散総選挙をして、そのことで一回リセットしてですね、また持ち直すって言うのをやってますから。
今回も、その時期を慎重に見極めているんじゃないかと言われているんですよ」

有権者の本音は「野党合流? どーでもいーわ」!?

乙武 「野党再編についての有権者調査の結果があるんですよね」

松田 「ああ、選挙ドットコムがやってましたね」

乙武 「これは合流したほうがいいか、しない方がいいかという風に聞いた調査ですね」

千葉 「青が合流したほうがいい。赤が合流しないほうがいいということで」

乙武 「電話調査だと青と赤はけっこう拮抗しているんですね。ところがネット調査になると、たしかに拮抗はしてるけど、どちらともいえないっていう回答がすごいボリュームになる。
これ一言でいうと『どーでもいーわ』ってことですかね?」(笑)

松田 「ネット調査の場合はやっぱり、無党派層が6割を超えているという形なので、普段あんまり政治に関心がない方も意識調査で回答してくださっているのでね、正直『よくわかんない』ってところもあるのかなと思いますけど。

電話調査、ネット調査どちらもあり・なしが拮抗してますが、ポイントとしては、やはり自民党支持が3割超えているというのを考えると自民・公明支持層は基本的にやっぱり合流しないほうがいいと考えるのではないかと」

乙武 「そらそうですね。選挙で不利になるもんね」

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松田 「そういう自民党支持層を除いた野党の支持層で見ると、立憲・民主の支持層は7割近くが合流したほうがいいと。で、無党派層に関しても合流したほうがいいが25%で、しないほうがいいが15%なので、自公支持層を除いた立憲民主の支持層や野党支持層、無党派層だけで考えれば、合流したほうがいいと考えている方のほうが明らかに多いと読み解けるわけです」

乙武 「そうやってみていくと自公支持層以外は確かに、合流したほうがいい、が明らかに多くなるね」

松田 「だから僕らも合流するんじゃないかと思ったわけですけど、人がやってることだから難しいですよね」

乙武 「思惑がいろいろあるんでしょうね」

松田 「ただまた選挙が近くなったら、合流するだろうなという見立ては多いし、僕もそう思います」

千葉 「引き続き注目ということですね」

乙武 「というわけで今回はこの辺で!」

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