WTCR世界ツーリングカー・カップを戦っていたセバスチャン・ローブ・レーシング(SLR)が2020年シーズンへ参戦しないことを決めたと、複数の海外メディアが報じている。この決定はチームが使用しているゴルフGTI TCRを開発・製造するフォルクスワーゲン・モータースポーツが打ち出した「今後内燃機関を使用するモータースポーツ・カテゴリーの活動にワークスとして関与しない」という方針に従ったものとみられる。
WRC世界ラリー選手権で9年連続のワールドチャンピオンに輝いたセバスチャン・ローブが2012年に立ち上げたSLRは、2015年からWTCRの前身であるWTCC世界ツーリングカー選手権にシトロエンユーザーとして参戦してきた。
2018年にTCR規定ツーリングカー最高峰のWTCRへとシリーズが生まれ変わったあとは、フォルクスワーゲンのトップカスタマーチームとして参戦。2019年シーズンはヨハン・クリストファーソンやロブ・ハフを中心に、メディ・ベナーニ、ベンジャミン・ロイヒターなどを起用し4台のフォルクスワーゲン・ゴルフGTI TCRを送り込んでいた。
とくにクリストファーソンは2019年がデビューイヤーながら好パフォーマンスを披露し、4名のうちランキング最上位となるドライバーズランキング5位を獲得。ニュルブルクリンク、鈴鹿、そしてセパンで勝利を挙げる活躍を演じた。
2020年シーズンに向けては、長年チームに在籍しモロッコ政府からもバックアップを受けるベナーニを中心としたプログラムで、引き続きWTCRを戦うものと見られていたが、フォルクスワーゲン・モータースポーツが打ち出した活動方針も影響したか、2019年限りでWTCRでのプログラムを終了。その他のカテゴリーにリソースを集中させる方針を固めたようだ。
2月3日時点でチームの公式サイト、公式SNSではWTCR撤退に関する発表はなされていないが、海外のツーリングカーレース専門サイト『TouringCarTimes.com』では、チームのテクニカルマネージャーを務めるジャン-フィリップ・ニコラオが「残念ながら、2020年のWTCRには参戦しない」と明かしている。
「シトロエンを走らせたWTCC時代を含め、過去6年間で得た経験を活かすために今後もツーリングカーレースの旅を続けていくつもりだ。現時点ですべてのオプションを検討している」