「核使用の敷居高く」 教皇被爆地訪問で研究報告 長大レクナ

教皇の被爆地訪問について話す(右から)四條氏、広瀬氏、山口氏=長崎市、長崎大文教キャンパス

 長崎大核兵器廃絶研究センター(RECNA=レクナ)は4日、昨年11月のローマ教皇フランシスコの被爆地長崎・広島訪問を巡るポリシーペーパー(政策研究報告)を発表した。広瀬訓・副センター長は、教皇が演説で強調した核兵器の使用も保有も「倫理に反する」という意識が世界に広がることで、「核使用の敷居が高くなる」と意義づけた。
 研究報告に寄稿した広瀬氏や長崎大多文化社会学部の四條知恵客員研究員、レクナの山口響客員研究員らが、長崎市の長崎大文教キャンパスで記者会見し内容を説明した。
 広瀬氏は、教皇が世界13億人のカトリック信者の最高指導者で、バチカンの元首でもあり、幅広い情報網と提言力を持つ政治指導者だとして「教皇と敵対するような言動を避けたいと考える指導者は少なくないはずだ」と指摘した。
 核廃絶を訴える教皇の姿勢が、核軍縮を求める人には大きな追い風になるとして、核兵器禁止条約の批准国が増えることに期待感を示した。教皇は核兵器の使用・保有が倫理に反するという考え方を、信者に対する教理の手引「カテキズム」に盛り込む意向を示しており、「今後への影響は大きい」と分析した。
 四條氏は、教皇来日に伴う日本カトリック教会の動向を、山口氏は、教皇と面会した安倍晋三首相の発言を取り上げた。ポリシーペーパーはレクナのホームページに掲載している。

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