一帯覆う 炎と白煙 平戸・春日集落 野焼き

ガスバーナーで枯れ草に着火する住民(手前)=平戸市春日町

 世界文化遺産「長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産」の構成資産、春日集落(平戸市春日町)の丸尾山で9日、野焼きがあり、炎と立ち上る白煙が一帯を覆い尽くした。
 丸尾山(約60メートル)は、キリシタン時代に住民を埋葬する墓地だったとされる。山頂からは周囲の棚田や小値賀、宇久島も見渡せる景勝地。野焼きは20年ほど途絶えていたが、来訪者の増加に伴い、景観維持を目的に春日町の住民らが2015年に再開した。
 この日は13人が、午前8時ごろからガスバーナーで頂上や斜面地など区画ごとに火入れ。「パチパチ」と炎が激しく音を立てて燃え広がり、約1時間半で計約1ヘクタールの枯れ草を焼いた。
 野焼きをした跡には3月中旬ごろからワラビが芽吹く。地元のまちづくり団体「安満の里 春日講」の寺田賢一郎会長(62)は「お客さんが増え、住民の意識も高まっている。今後も続けたい」と話した。

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