39歳女性「安定しない収入、積立投資が続けられるか不安」

読者のみなさんからいただいた家計や保険、ローンなど、お金の悩みにプロのファイナンシャルプランナーが答えるFPの家計相談シリーズ。

今回の相談者は、夫婦別サイフで家計管理をしているというアラフォーの共働き主婦。将来のために資産運用を考えていますが、収入に波があるため毎月積立てられるのか心配だといいます。家計再生コンサルタントの横山光昭氏が運営する『マイエフピー』のFPがお答えします。

契約社員としてサービス業で働いています。繁忙期とそうではない時の残業量が大幅に異なるので、収入が安定しません。夫は正社員で同じくサービス業です。

夫婦別々に家計管理をしているので、夫のやりくりの状況はわかりません。家計費は費目により分担しており、個人で使うスマホ代や洋服代などは各自で支払うことにしています。

夫の貯金額とか、将来の備えについてどう考えているのかわかりませんが、私は老後や病気になった時のことを考えて、つみたてNISAやiDeCoをはじめたいと思っています。ただ、収入に波があるので、毎月きちんと払っていけるのか心配です。

私でもできる資産運用など、将来への備え方を教えてください。

〈相談者プロフィール〉

・女性、39歳、既婚(夫:40歳、会社員)

・職業:会社員(契約社員)

・毎月の手取り金額:21.8万円※夫は不明

・年間の手取りボーナス額:夫のみ、金額不明

・普通預金:100万円(妻名義)

・定期預金:250万円(妻名義)

【支出の内訳(18.4万円)】

・住居費:夫の担当

・水道光熱費:夫の担当

・食費:5.4万円(妻の担当、夫が時々払う外食費は除く)

・日用品代:0.8万円(妻の担当)

・生命保険料:0.4万円(各自)

・交通費:1万円(各自)

・通信費:1.6万円(各自)

・交際費:1.9万円(各自)

・被服費:1.6万円(各自)

・趣味・娯楽費:2.7万円(各自)

・その他:3万円(各自)


FP:ご相談ありがとうございます。将来へ向けての資金作りですね。急には作れないお金ですから、今のうちからゆっくりと積み上げておきたいものですよね。

「収入の波」を乗り越える工夫を

収入に波があると、不安ですよね。余裕で足りる月があれば、赤字になってしまう月もある。その状況で平均的な暮らしを見つけるのは難しいことかと思いますが、相談者さんは貯金もしっかりできています。あまり不安に思わなくてもよいように思いますよ。

今回は平均的な家計状況をお教えいただきましたが、最低はいくらほど、最高はいくらほどになるのでしょうか。そこが気になるところですが、この平均をもとにすると月に3万円ほどの余剰金ができる状況のようです。これであれば、iDeCoやつみたてNISAに取り組んでもよいと思います。

ただ、3万円を投資などに回すとなると、収入が少ないときが心配です。その心配をなくすために、毎月の支出を削減して余剰金を増やすとともに、やりくりの仕方を考えていきましょう。

毎月の支出では、通信費・交際費・被服費・趣味・娯楽費などを見直すと削減できそうだと思います。支出1つずつについて必要だったかどうかを振り返ると、次第に“必要なモノ中心にお金を使う”という支出のメリハリができてきて、支出が減り、余剰金を増やしていくことができます。

相談者さんはボーナスがないので、まとまった金額のものを購入できるよう、買い物用の貯金を作ることも必要だと思います。余剰金の一部は使うための貯金にしていきましょう。

そうすることで、毎月の生活費に波があっても、前月のマイナスを今月でトントンにすることが可能になるでしょうし、臨時支出や少し高額な買い物をする必要がある時にお金の準備できていれば、毎月の家計を乱すことがありません。

投資は少額からチャレンジを

現状では生活を守る貯金がありますので、前述したように年間で使うための貯金を作りつつ、iDeCoやつみたてNISAを並行して取り組むとよいと思います。ただ、どちらか、または両方に取り組むにしても投資や制度についてある程度知っておいた方がよいと思いますので、関連する記事や書籍を読んでおくとよいと思います。

それぞれの月の掛け金の上限は、つみたてNISAは3万3000円ほど、iDeCoは企業年金に加入していなければ2万3000円です。iDeCoは掛け金が全額所得控除されるので、所得税や住民税が安くなるメリットがありますし、なんといっても長期的な運用は貯金よりも資産を増やせる可能性があります。できれば上限近くの金額で積立てたいものです。

これらの投資制度は「初心者にも適する」といわれますが、投資は投資。「リスク」といわれる不確実性があります。その許容度がどの程度あるかにより継続が難しい場合もありますから、まずは数千円程度の少額から始めて、慣れて継続が問題なさそうであれば金額を増やしていくようなやり方でもよいと思います。

iDeCoはいったん始めると解約ができないので、つみたてNISAもしくは通常の課税口座で始めて様子を見るとよいでしょう。

少額で投資を始め、様子をみているうちに、使う貯金の必要額も把握できてくるかと思います。そうなれば、毎月の貯金と投資に充てる金額の配分も見えてくるのではないかと思います。

お金を貯めるには「夫婦別サイフ」の見直しを

夫婦別々に収入を管理する「夫婦別サイフ」は、最近多い家計の在り方となっています。自分の収入を大切にしたい気持ちはよくわかりますので、上手くやれているご夫婦にはよいと思いますが、一方でいろいろ問題を生んでいる家計管理法とも言えます。

支出の偏りや、仕事ができない状況でも生活費を負担しなくてはいけないなど、別サイフでなければ発生しないような問題を家計相談の場面でよく耳にします。

そもそも、別々に収支を管理すると不要な支出が多くなりがちで、お金を貯めるには非効率です。重複した支出が多く生まれたり、各費目の支出額が多くなりがちだったり。一緒に管理していれば最小限でおさまったであろう支出が多く含まれるのです。つまり、少し無駄が起きやすい状況になるというわけです。

また、相手のやりくりを把握してないがために、老後資金を含めどれだけ準備できているのかがわからなかったり、相手がお金に困っているときも気が付いてあげられないなどもあります。

別サイフを継続するのであれば、できるだけ共有部分を多くするとか、互いの収支を報告しあい、互いの状況を把握しあうなど、共有できるような工夫ができると、よりよくなると思います。お金もよく貯まるようになると思いますよ。

少し難しく思われるかもしれませんが、まずはご主人とお金について話し合えるように、機会を見て声をかけてみましょう。

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