読者のみなさんからいただいた家計や保険、ローンなど、お金の悩みにプロのファイナンシャルプランナーが答えるFPの家計相談シリーズ。
今回の相談者は、毎月赤字で貯金ができないという42歳の専業主婦。5人家族で貯金は15万円。この先もこの状態が続くとキケンだと、FPの横山光昭氏は警鐘を鳴らします。
毎月支出が多く、赤字続きです。きちんと貯金ができるようになりたいです。
お給料日には「今月はこうやって使おう」と決めるのですが、週末に家族で買い物に行くと、つい食材などを買いすぎてしまいます。計画が上手くいかないと思うと、それをきっかけにズルズルとお金を使い過ぎてしまい、毎月赤字になってしまいます。
来年から三女が幼稚園に入園します。保育料はかかりませんが、給食費やその他で多少支出が増えますし、上の子たちをはじめ、3人の教育費を貯められるかどうかも不安です。どのように貯めていくとよいでしょうか。
<相談者プロフィール>
・女性、42歳、既婚(夫:38歳、会社員)
・子ども3人:長女(小5)次女(小2)三女(3歳)
・職業:専業主婦
・毎月の手取り金額:35.2万円
・年間の手取りボーナス額:90万円
・貯金:約15万円
【支出の内訳(36.2万円)】
・住居費:7.7万円
・食費:7.6万円
・水道光熱費:2.6万円(水道の基本料金が高い地域)
・生命保険料:1.4万円
・通信費:2.8万円(キャリアスマホ2台)
・日用品代:0.7万円
・教育費:3.7万円(給食費、習い事)
・自動車ローン:1.2万円
・自動車維持費:2.7万円
・お小遣い:3万円(夫のみ)
・その他:2.8万円
横山:ご相談ありがとうございます。「今月は貯めよう」と思っても貯められず、赤字になるというご家庭は多いものです。どういった部分を改善すると貯められるようになるのか、一緒に考えてみましょう。
貯蓄が少なくキケン!!早急な見直しを
毎月の赤字も改善しなくてはいけませんが、ボーナスが年間90万円ほどあるのに貯金と言っている金額は15万円。これでは貯金とは言い難いですよね。ボーナスが赤字の補てんなどでなくなっていることがわかります。
そして毎年この金額が増えていかないとなると、お子さんの教育資金だけではなく、生活防衛資金もない、キケンな状態であると言えます。あまり大きな金額ではないと思われる幼稚園への支出も、今の赤字状態であれば大きな負担となるでしょう。
これから様々なことに対してお金がかかることもあるでしょう。今からお金を貯める習慣づくりができるように、お金をかけすぎな部分を明らかにし、今のうちに赤字家計を黒字化できるようにやりくりしてみましょう。
当たり前だと思っている支出を疑って
家計表を拝見すると、通信費や教育費といった固定費が高めだと思えることに加え、食費や水道光熱費といった変動費の負担も大きいようです。まず、これらの支出が妥当かということを考えてみましょう。
通信費は、プランの見直しと変更で安くなったり、格安業者への乗り換えで安くするということもできます。お子さんが大きくなると自分用のスマホを欲しがるようにもなるでしょうから、今のうちに「我が家の使い方」から、どのような契約が最も妥当なのなのかを検討してみてください。
教育費は習い事などはきちんと意味があるのか、食費は無駄にしている食材がないかといった、当たり前を時には疑ってみましょう。また、お子さんが小さいお宅にありがちですが、水道光熱費が高くなる原因の一つに「洗濯機の回しすぎ」があることもあります。“汚れたらすぐ洗う”では電気代も水道料金も上がってしまいます。使い方に少し気を配ると、もともとの基本料金が高い地域でも、多少の節約につながると思います。
少々細かいことをお伝えするようですが、「必要」で購入しているのか、「欲しい」で購入しているのかを考え、支出の優先順位を考えられるようになると、支出は減らせると思います。
まずは生活防衛資金から、生活費7.5ヵ月分を貯める
支出を減らすことができ、黒字化したら、まずは生活防衛資金を貯めることを目標にしましょう。
ただ、生活防衛資金の前に、イレギュラー支出にも対応できる、ゆとりある毎月の生活費を確保することが先になります。その目安は、毎月の生活費の1.5ヵ月分。日々の暮らしに使い、給料が入ると1.5ヵ月分に近づく、または超えることが特徴です。この金額をすべて使って暮らしてよいわけではありません。万が一急にお金が必要になった場合でも、生活防衛資金を崩さずに暮らせることを目的に、多めに設定しています。
次に生活防衛資金として、生活費の最低6ヵ月分を貯めます。それでは不安という場合は、6ヵ月分以上、1年分などを準備しても構いません。これは本当に必要な時にしか引き出すことがない、貯めることが目的の部分です。
この2つを合わせると、7.5ヵ月分が必要になります。相談者さんの場合は、およそ263万円。これを目標に貯めていくと、貯める習慣もできるでしょうし、教育費も貯めていくことができるのではないかと思います。
また、児童手当を貯めていくことができれば、さらに教育費は貯めやすくなります。そうやって家計を整えていくことができれば、不安も随分と軽くなると思います。