1打席目に安打も「思ってるところと違うとこに飛んでいます」
■レイズ 9-7 ヤンキース(オープン戦・日本時間24日・シャーロット)
DeNAからタンパベイ・レイズへ移籍した筒香嘉智外野手が23日(日本時間24日)、本拠地ポートシャーロットでのヤンキース戦に「5番・左翼」でスタメン出場。2回の第1打席で投手強襲安打を放ち、オープン戦デビューを1打数1安打1四球の内容。安打は反省材料に、四球は安心材料となった。
2回無死一塁。一塁手が牽制球に備えてベースに付くため、一、二塁間を抜く“引っ張り”が求められるこの場面で、2番手右腕ヘールの150キロ外角速球を打ちグラブを弾く中前打で実戦初安打を記録。塁上で一塁手ボイトから「ようこそアメリカへ!」の言葉を贈られたと明かす一方で、「本当はゴロになってはいけない球」と打ち損じを認め、「そんなに感情はないです」と切り捨てた。
グラブに収まっていれば、併殺となる最悪のケースになっていた可能性が大きかった実戦初安打に感慨がないのも頷ける。打者優位のカウント2-1から引っ張り切れなかったのは、その前に2球続けて見せられた変化球の残像が影響していたはず。微妙に狂わされたタイミングが投手への打球に表れていた。
「もちろん一、二塁間を狙いにいくイメージはあるんですけど、全然思ってるところと違うとこに飛んでいます」
一方で、四球で歩いた2打席目は自己評価につながった。
2打席目の四球は、追い込まれてからファウルで凌いだ末に選んだ
4回裏、先頭で迎えた打席は相手に8球を投げさせて出塁。カウント2-2から外に沈む143キロのシンカー、156キロの速球をファウルで凌いだ。追い込まれたカウントからスピード、軌道の異なる球で攻め立てる配球に対応できたことが大きい。筒香は言う。
「2ストライク後のファウルを打つには、僕の中では技術を使う部分があるので。それができたという点では良かったです。ああいうファウルを打てているのは自分の中で安心材料」
マリナーズの会長付特別補佐兼インストラクターのイチロー氏は、オープン戦を迎えると、打席の中で「真っすぐ待ちの変化球対応から、変化球待ちの真っすぐ対応」へと段階を踏んで体の反応を蘇生させていく作業を行っていたが、それは筒香が使った「技術」を具体的にしている。
イメージ通りのスイングにはまだ時間はかかるが、「今の段階、体の状態からすれば十分」と頷いた筒香は、今後を見据えた。
「まだ1試合目ですし良い投手もこれからたくさん出てくると思うので、そういう中で日々起きることをしっかり修正しながらやっていきたいと思います」
意識と裏腹のヒットと意味のあるファウル――。筒香が初実戦で立った2打席は実りあるものとなった。(木崎英夫 / Hideo Kizaki)