BTCC:フォード陣営のモーターベース、2020年は第4世代フォーカスSTにスイッチ

 BTCCイギリス・ツーリングカー選手権に参戦するモーターベース・パフォーマンスは、2020年シーズンに向け4代目『フォード・フォーカスST』を投入するとアナウンスした。3月の開幕に向け、3台のNGTC車両製作を急ピッチで進めている。

 ブリティッシュGTのチャンピオン獲得経験を持ち、BTCCでは長年フォード陣営のインディペンデント系チームとして活躍してきたモーターベース・パフォーマンスは、すでにアナウンス済みだった2020年向け新型シャシーが「第4世代フォーカスになる」ことを改めて確認した。

 新シーズンでは2019年のインディペンデント王者に輝いたロリー・ブッチャーと、残留組のオリー・ジャクソン、そして未発表である3人目のドライバーが、この新型NGTCマシンのステアリングを握る。

「BTCCのチャンピオンシップに向け新たなクルマにスイッチすることは、そうそう軽々しくできる決断ではないんだ」と語るのは、チーム代表を務めるデビッド・バートラム。

「それは高くつく決定であり、かつ迅速に達成されなくてはならない。これは独立系のチームとしては非常に難しいハードルでもある」

「それでも我々モーターベースはNGTC規定でこのタスクを実行し、マニュファクチャラーの公式な支援を受けずに活動を続けてきた数少ないチームのひとつでもある。2012年に自社開発の『フォーカスST』でデビューして以降、ふたたびメーカーの支援なしに新たな車両を設計し、構築するという困難なチャレンジに挑んでいるんだ」

「2020年シーズンに向け、迷うことなく『フォード・フォーカス』を継続使用することを選択したが、この新型モデルではまったく新しい第4世代の“ST”仕様を採用した。我々としても、第3世代のST、RSと戦った2016~2018年は素晴らしいシーズンを過ごせたので、2019年に向けても高い期待を抱いていた。しかし実際にはそうならなかった」

ドライバー契約発表時から「2020年は3台のシャシーを新造する」と明かしていた
イギリス市場では2019年モデルとして登場した第4世代の『フォード・フォーカスST』

「我々のチーム哲学として、勝てない状況を良しとするなんてことは有り得ない。2019年のシャシーも新たに製造したものではあったが、基本設計自体は8年が経過しており、そのこと自体が不満要素となったことは間違いない」

「当然、マシン自体はシーズンごとに進化を重ねてきてはいたが、いかんせん古さは隠せなかった。とくに競合のほとんどが新型車だったという事実からは逃れることができない。ホンダ、BMW、トヨタといったところがグリッドに新たな車種を持ち込んでいたからね。そこで我々は、シーズンの早い段階で2020年向けの新ベースモデル選定に入ったんだ」

 BTCCにNGTC規定が導入される以前はセアトやBMWを走らせたモーターベースだが、2011年シーズン以降はWTCC世界ツーリングカー選手権にも参戦したアリーナ・モータースポーツから購入したS2000規定車両をベースに、NGTC仕様の『フォーカスST』を製造。以降はフォード系チームとして活躍を演じ、2018年からはトップグレードの“RS”をシーズンに投入してきた。

「10年間、フォードの車両を走らせてきたが、メーカー自体と公式な関係はないため、客観的に見ればふたたびフォードを選ばなくてはいけない義理はない」と付け加えたバートラム代表。

「しかし直近の1年でフォードが新型モデルを発売したこともあり、我々はこのシャシーを評価し検討することにした。新型フォーカスは単なるマイナーアップデートではなく、シャシー構造はBTCCの規定に最適だという結論に達した」

「それは設計面でいくつか先進的なデザインを含み、従来までとは非常に異なるレベルのシャシーを備えていたんだ。もちろんNGTCの前後共通サブフレームを使用することで先代のノウハウを引き継ぐが、新型は素晴らしい素性を備えており、上手くいけばその部分が2020年型に現れることになるだろう」

2019年シーズンは未勝利に終わり、チームランキングでも7位に留まった
ファクトリーには、ドイツから新型フォーカスSTのホワイトボディが続々到着している

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