原告の室田さん「開門の旗 降ろさない」 非情な判決に肩落とす

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判決後の報告集会で悔しさをにじませる室田さん=10日午後4時16分、長崎市魚の町、市男女共同参画推進センター・アマランス

 「開門の“旗”は降ろさない」-。国営諫早湾干拓事業の潮受け堤防排水門の即時開門を国に求めた訴訟。長崎地裁は10日、原告側の主張をことごとく退け、長年、海の異変を訴え続けてきた漁業者らは、司法の“非情さ”に肩を落とした。一方、開門差し止めを求める営農者らは判決を淡々と受け止め、全面解決へ国の主動的役割を求めた。
 2010年3月の最初の提訴から10年、あっけない幕切れだった。「原告の請求を棄却します」-。武田瑞佳裁判長が判決文を読み上げると、原告で唯一、法廷でその瞬間に立ち会った室田和昭さん(76)=雲仙市瑞穂町=は少し顔を紅潮させた。地裁前で敗訴を伝える旗を掲げた後、短くつぶやいた。「頭にきた」
 瑞穂漁協は、長引く漁業不振から抜け出そうと、10年、開門賛成に方針転換。開門にいちるの望みを託したのは、国が短期開門調査を実施した02年の翌年から4年続けて、アサリが育ったからだ。「開門して調整池に海水を入れることで、潮の流れがよくなり、酸欠状態だった海が回復できた」。組合員たちはそう確信し、開門の必要性を訴え続けてきた。
 室田さんは15歳から海の仕事に携わり、現在、南部排水門近くでノリ養殖を営む。「(堤防内側の)調整池からの排水が、私の漁場を目がけて流れてくる。ノリの色落ちがひどく、商品にならない状態が続いている。うちの漁場と生活を見てから判断してほしかった」。声を絞り出すように窮状を語った。
 同漁協は1989年の同事業着工前、105人の組合員が所属していたが、今では正組合員30人を含む58人。正組合員が20人を切ると漁協が消滅するため、4月に小長井、国見両漁協と合併することを決めた。「どんな形であれ、“宝の海”を子や孫に受け継ぎたい。だが、開門を求め続ける思いは変わらない」

 


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