共有感満載の80年代洋楽ヒット!ビルボード最高位2位の妙味 vol.4
Longer / Dan Fogelberg
日本でも長く愛さるダン・フォーゲルバーグ「ロンガー」
ビルボードのメイン・シングルチャート Hot 100 にて、80年代突入以降最初に誕生したナンバー2ソングは KC&テリー・デサリオ「イエス・アイム・レディ」だったわけだが、2番目に誕生したナンバー2ソングといえば、それはダン・フォーゲルバーグの「ロンガー」(79年初出 / 80年2位)である。
93曲を数える80年代ナンバー2ソングの中でも5本の指に入るくらいの地味なヒット曲であり、50代以上の認知度もおそらく50%前後であろうと思われるが(それでも今の洋楽ヒット感覚に当てはめれば50%はかなり高い)、ダン・フォーゲルバーグのレパートリー中、ここ日本では不思議と最も長く愛され聴かれ続けている作品である。
真摯な歌声、オーソドックスでどことなく安心感を与えてくれるメロディ、何よりも抒情性豊かで物語要素を擁した歌詞世界が混然一体となった、ある意味非常に健康的なダン・フォーゲルバーグの音楽は、保守的なアメリカの片田舎でこそ厚い支持を得ていたのだろう。75年から80年代中盤にかけて、トップ40ヒット11曲、うちトップ10ヒット4曲を輩出というのは、かなり立派な実績だ。
イーグルス育ての親アーヴィン・エイゾフとの出会い
ダン・フォーゲルバーグはイリノイ州出身のシンガーだが、イーグルスを中心とする米ウェストコーストミュージシャンとの交流も、その人気の一端を担っていた。
そもそも、後にイーグルスの育ての親となるアーヴィン・エイゾフが見出したアーティストがダンだったという経緯があったわけで、彼の初期ヒット曲「パート・オブ・ザ・プラン」ではジョー・ウォルシュ(イーグルスのギタリスト)やグラハム・ナッシュ(CSN、あるいはCSN&Y)が、そして、やはりカリフォルニア出身のフルート奏者ティム・ワイズバーグとタッグを組んだ「パワー・オブ・ゴールド」ではドン・ヘンリー(イーグルス)が、さらに、「ロンガー」以降のトップ10ヒット「ハード・トゥ・セイ」ではグレン・フライ(イーグルス)が参加している。
豪華絢爛、錚々たる人脈といえよう。イーグルス、ひいては米ウェストコースト・ロック(特に70年代)は日本での人気も高く、「ロンガー」への根強い支持はそんなところにもあるようだ。後の J-POP シンガーソングライターへの影響も見逃せない。
※ KARL南澤の連載「共有感満載の80年代洋楽ヒット!ビルボード最高位2位の妙味」
ジャンル、洋邦、老若男女を問わないヒットソングにある ‟共有感”。米ビルボードのチャートがほぼそのまま日本における洋楽ヒットだった80年代。ナンバーワンヒットにも負けず劣らずの魅力と共有感が満載の時代に生まれたビルボードHOT100 2位ソングを紐解く大好評連載。
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etc…
※2016年6月4日に掲載された記事をアップデート
カタリベ: KARL南澤