環境法政策学会の理事長ら 諫干の現状を視察

 環境法の研究者らでつくる環境法政策学会の会員約20人が21、22両日、諫早市の国営諫早湾干拓事業で造成された干拓農地などを視察し、営農者や漁業者が抱える課題を聞き取った。
 同学会は1997年設立。国が漁業者に開門を強制しないよう求めた請求異議訴訟で、開門確定判決を事実上「無効化」した福岡高裁判決を破棄、差し戻した昨年の最高裁判決を受け、環境法や環境政策の視点から現地調査を実施した。
 調査は漁業者側弁護団が案内。22日は営農者の松尾公春さん(63)ら2人が、農地に飛来するカモの食害や農地の排水不良に伴う農作物の生育被害を説明した。雲仙市瑞穂町の漁業者、室田和昭さん(76)ら3人は97年の堤防閉め切り後、養殖ノリの色落ち被害やアサリなどの漁獲量減少に悩まされている現状を訴えた。
 学会理事長の大塚直・早稲田大教授は「事業着工前の環境影響調査がしっかり行われていなかったことがすべての発端という印象を持った」と語った。

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