「NEXTジダン」になれなかった7名の選手たち

現在はレアル・マドリーの指揮官として知られるジネディーヌ・ジダン氏。

フランス代表の「将軍」としてチームに多くの成功をもたらし、その優雅で巧みなテクニックで常にサッカーファンを楽しませた名選手だった。

その存在感の大きさから、似た出自やスタイルを持った若手が「新しいジダンになるのでは…」と評価されたが…。

今回は『Planet Football』から「NEXTジネディーヌ・ジダンと呼ばれた7名の選手はどうなったか」を紹介する。

ムラド・メグニ

フランスを2001年FIFA U-17世界選手権の優勝に導いたアルジェリア系の攻撃的MFは、その高いテクニックから「プチ・ジダン」と呼ばれた。

名門カンヌの下部組織から16歳でセリエAのボローニャへ移籍し、その後ラツィオでもプレーしたが…度重なる怪我もあって一貫性が乏しい選手となってしまい、27歳でカタールへと渡ることとなった。

ブルーノ・シェイルー

2002年に彼をリヴァプールに引き抜いたジェラール・ウリエ監督は「ブルーノをジダンを比較することはできないが、似たタッチとスタイルがある。ボールを持っているときには、二人は多くの類似点がある。違いは年齢と経験だ」と話した。

ただ、それが唯一の違いではなかった。シェイルーは最初の2年間で印象的なプレーを見せられず、マルセイユとボルドーへローン移籍したあとレンヌへ。フランス代表にも2004年以降一度も呼ばれずに終わっている。現在はスポーツキャスター。

アントニ・ル・タレク

シェイルー以上に「ジェラール・ウリエ監督の失敗補強」とされているル・タレク。彼がル・アーヴルからリヴァプールにやってきたのは2001年で、従兄弟のFWフローラン・シナマ=ポンゴルとともに獲得された。

この二人はU-17世界選手権で大活躍をした前線のコンビだった。高いテクニックから決定的なパスとシュートを放つル・タレクは、まさにジダンの後継者かと思われたが…プレミアでもフランスでもなかなか成功できず。34歳になった今季はフランス4部のアヌシーでプレーしている。

ヨアン・グルキュフ

そのプレースタイルの類似性から、おそらく「NEXTジダン」というレッテルに最も苦しめられた選手だろう。レンヌでデビューした際のインパクトは極めて強く、若くしてACミランに引き抜かれることになった。

そこでカカとのポジション争いに晒された彼はイタリアを離れ、ボルドーで復活。優勝を果たしてリーグMVPを獲得し、フランス代表でも司令塔を任された…ものの、2010年のW杯ではジダンのようにチームを決勝へ導くこともないまま退場処分に。その後移籍したリヨンでは怪我が相次ぎ出場すらままならず…。

まだ33歳であるにもかかわらず、2019年にディジョンを離れて以来所属するクラブがない状況が続いている。

サミル・ナスリ

マルセイユで彼を指導したアルベール・エモンは「ナスリはジダンと同じように試合を読むことができる」と評した。アルジェリアにルーツを持ち、マルセイユで育ち、貧しい出自であった。その類似点は明らかなものである。

2008年にアーセナルへ移籍する前、ナスリは「17歳の時、人々が僕とジダンを比較しているのを聞いた。ショックを受けたが、それはすぐにすべて忘れることにしたよ」と話した。

もちろんプレーのクオリティには全く疑いのない彼であったが、態度や怪我、そしてドーピングと問題が多い選手でもあった。今季はシティ時代の同僚ヴァンサン・コンパニが率いるアンデルレヒトに所属したが、負傷で大部分を欠場している。

カリム・ベンゼマ

『Bleacher Report』のクレマン・アンドルー記者は、チャンピオンズリーグでリヨンがマンチェスター・ユナイテッドを破ったあと、このように書いた。「ベンゼマはジネディーヌ・ジダンを忘れされてくれるかもしれない存在だ」と。

ベンゼマはジダンほど優雅な選手ではないが、レアル・マドリーで多くの成功を収めた。そしてより多くのメダルを手にすることができた。ジダンになる必要もない選手であったし、彼もそれを目指してはいなかった。

アデル・ターラブ

「彼がここに来たとき、みんなが『NEXTジダンだ』と言っていたよ。彼はまだジダンがいるリーグにはいないが、その能力を持っている天才だ。いつかそこへたどり着くだろう」

これを言ったのはトッテナムを率いていたハリー・レドナップだった。当時先輩だったジャーメイン・ジーナスも「彼が来た16~17歳の時、『ジダンだ!ジダンがいる!信じられない、すごいことになるぞ!』と思った」と語っていた。圧倒的なドリブルテクニックを武器にした彼のプレーは魅力的だったが、プライベートの問題があまりにも多く…。

その評価を素行の悪さとワガママさで吹き飛ばしてしまった彼が、まさか30歳になってベンフィカのボランチに転身して再ブレイクするとは…誰も予想しなかったはずだ。

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