グラバー園閉鎖で周辺の土産店8割休業 にぎわい消える

土産物店の約8割が休業しているグラバー園近くの通り=長崎市

 新型コロナウイルスの感染拡大予防のため、長崎市が10日、47の市有施設を閉鎖した。南山手町のグラバー園周辺では、土産物店の約8割が一時休業。残る店も順次休業に入る見込みで、県内を代表する観光地からにぎわいが消えた。一方、施設側は28日までの閉鎖期間中、従業員の研修や大規模な清掃を予定するなど、サービス向上に取り組む動きもある。
 「感染拡大防止のため、しばらくの間休業させていただきます」。同園と大浦天主堂につながる坂道にひしめく土産物店。ほとんどの店のシャッターが閉められ、同様の張り紙が並んだ。
 周辺の26事業所が加盟する南山手地区観光推進協議会の山下祐之介会長は「(休業は)各事業所の判断にお任せしている。休業補償にかかわる補助金の申請方法や注意点など、各事業所が必要としている情報は共有していきたい」と話す。
 地元画家の個展が開かれているミュージアムカフェ南山手八番館は通常営業中。店主の常川緑さん(71)は「観光客はまず来ないけれど、地元の方の発表の場として開けておきたい」。消毒、換気を徹底し、客を迎える。
 一方、グラバー園は、10日から早速、接遇マナーや外国語の研修に取り組み、今後、園内の池などの清掃にも着手する予定。「コロナが終息したら、お客さまは必ず戻ってくると信じ、力を蓄えておきたい」とピンチをチャンスと捉える。
 4月から国史跡を含む「出島」の運営主体となった長崎自動車(長崎市)の担当幹部は「出ばなをくじかれた格好。収入が無くなるのは経営上厳しいが、感染拡大を防ぐには致し方ない」と話す。手が届いていなかった部分の清掃や片付け、スタッフ全員そろってのコミュニケーションなど「前向きに時間を使いたい」と気持ちを切り替えていた。

 


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