【新型コロナ】人影さらに少なく 緊急事態宣言 神奈川で休業要請始まる

利用者が大幅に減った横浜駅の中央通路=11日午後1時10分ごろ

 新型コロナウイルス特措法に基づく緊急事態宣言を受けた休業要請の対象期間が11日、県内で始まった。各地の繁華街には食品などを求める客が足を運んだものの、シャッターを下ろす店が増え、週末のにぎわいはさらに遠のいた。この状況を耐えれば、感染の拡大を防げるのだろうか─。人影のまばらな街で、先行きを案じる声が相次いだ。

 午後1時すぎ、横浜駅東口と西口の地下街では、大半の店がシャッターを閉めていた。普段は方向を変えると人にぶつかってしまうほど利用者が多い中央通路は、人影がまばら。百貨店の地下食料品売り場も、買い物客の姿は見られたが、いつもの客足からはほど遠い状態だった。

 中学校に通う子どもの塾の手続きのため、東口を訪れた同市戸塚区の女性会社員(42)は「人がすごく少ない」と驚いた。休校から1カ月余り。「はじめの1か月はゆっくりすればいいと思ったが、さすがに2か月目になると学力に差がつかないか焦ってきた。だから急いで申し込みに来た」という。

 普段は人通りがひときわ多い西口のパルナード通り周辺も、にぎわう量販店があったが、多くの店が臨時休業した。

 用事があって西口を訪れたという川崎市幸区の女性看護師(22)は「このまま患者が増えたら大変なので外出自粛は仕方ない。平日は毎日仕事だが、とてもこわい。院内感染が起こると大変」と不安を口にした。

 近くに住む80代の男性は自宅でテレビを見るだけの生活はよくないと毎日1時間以上散歩しており、この日は駅の人出を見に来たという。「いつもより8割ぐらい人が少ない。早く活気が戻ってほしい」

 京急線横須賀中央駅近くの横須賀中央大通り。目抜き通りだが、パチンコ店や飲食店には、休業を知らせる紙が張られていた。近くの三笠ビル商店街でも約70店舗のうちインターネットカフェや喫茶店など10店舗ほどが休業。時間短縮で営業する飲食店も増えた。

 日中は生鮮食品や日用品を求める買い物客の姿が見られたが、「いつもとは違う客も多い」と同商店街で衣料品店を経営する男性(51)。地元以外からの来客ではないかと推測しつつ、「それでも通常の土日よりは少ない」と影響を実感していた。

 都内で休業要請となる可能性が取り沙汰された理美容店にも客が訪れた。

 座席の間隔を空けるなど感染予防対策をしているという美容室の女性経営者(70)は「予約はたくさん入っているし、毎週シャンプーに来られる方もいる。簡単には休業はできない」と忙しそう。別の美容室を利用した女性(73)は「予約していたので、(休業になるか)気になっていた。髪が伸び、白髪も目立ってきたのでストレスだった。きれいになってよかった」と喜んでいた。

 横須賀中央駅近くの老舗酒販店は、併設している立ち飲みの「角打ち」スペースを臨時休業に。経営者の男性(65)は「飲む時はマスクをしないし、立ち飲みはお客さんと従業員の距離が近い」と継続を断念した。本業の酒販も「飲食店に客が少なく、宴会もキャンセル続き。4月に入り目に見えて売り上げが落ちている。今後どうなるか」と不安を募らせた。

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