旧佐古小解体訴訟 市民団体の請求棄却 長崎地裁判決

 旧長崎市立佐古小校舎の耐震補強と解体工事は違法な支出として、市民団体「養生所等遺跡の完全保存を実現する市民の会」の共同代表2人が、田上富久市長に補強・解体費計約2億7600万円の補塡(ほてん)を求めた住民訴訟の判決で、長崎地裁は14日、原告の請求を棄却した。
 訴状などによると、市は文部科学省の補助を受けて2011年に旧佐古小校舎の耐震補強工事を実施。しかし約半年後には他校との統廃合に伴い校舎の立て替え方針を決め、16年には旧佐古小校舎の解体工事に着手した。原告はこれら工事費用が「税金の無駄遣い」として、田上市長に市への費用補塡を求めていた。
 判決で土屋毅裁判長は「旧佐古小敷地を新設校の設置場所とした決定の判断は不合理とまではいえない」と指摘。「田上市長が市に対して責任を負うものとはいえない」として、原告の訴えを退けた。
 旧佐古小跡地では、日本初の西洋式近代病院「小島養生所」の遺構が出土したが、市は仁田佐古小の新校舎を建設している。市民団体の鮫島和夫共同代表は「判決文を見て控訴するか検討したい」と話した。

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