WRC:トヨタ首脳、若手ロバンペラ好成績の秘訣は「完走を念頭に置いたマシンづくり」

 WRC世界ラリー選手権を戦うTOYOTA GAZOO Racing WRTのテクニカルディレクター、トム・ファウラーは弱冠19歳のカッレ・ロバンペラ(トヨタ・ヤリスWRC)を「彼より10年以上キャリアを積んだドライバーのような成績とフィードバックを残す」と絶賛している。

 元WRCドライバーのハリ・ロバンペラを父に持つカッレは2000年10月1日生まれのフィンランド人。12歳からラリードライバーとして活動を開始し、2018年にはシュコダのワークスドライバーに昇格、翌年にWRC2でチャンピオンを獲得すると、2020年からはシリーズ最上位クラスを戦うトヨタの一員に加わった。

カッレ・ロバンペラはWRC最上位クラス参戦2戦目のラリー・スウェーデンでポディウムフィニッシュを飾った

 WRC最上位クラスを戦うのは2020年シーズンが初めてだが、デビュー戦となった第1戦モンテカルロでは総合5位、続く第2戦スウェーデンでは最上位クラスで初のステージ優勝も飾る快走で総合3位表彰台を手にした。

 新型コロナウイルス(COVID-19)感染拡大の影響で会期が短縮された第3戦メキシコでは総合5位に入り、ここまでの3戦すべてでポイントを獲得。ドライバーズランキングではトップのセバスチャン・オジエ(トヨタ・ヤリスWRC)と22ポイント差でランキング4位につけている。

 ルーキーイヤーながら、自身よりキャリアを積んでいるオジエやエルフィン・エバンス(トヨタ・ヤリスWRC)とそん色ない戦いをみせているロバンペラをファウラーは絶賛。WRC公式サイト『WRC.com』に「彼のテストに対する取り組み方に驚かされている」とコメントしている。

「これまでに行われてきたテストすべてで彼の走りを見てきたが、その取り組み方には驚かされた。特にラリー・メキシコに向けたものではね」

「カッレからもたらされるフィードバックは、彼より10年以上キャリアを積んでいるドライバーからもたらされるような内容であり、テストに対するアプローチ法も適切なものだった」

「彼はラリー完走を念頭に置いてマシンを仕上げていて、だんだんマシン自体にも慣れてきている」

「もちろん、あくまでテスト環境での話ではあるが、それでも彼はあらゆることを考えに入れている。例えばセットアップに複数の選択肢がある場合『こっちのセットアップのほうが速さはあるけれど、つねに100%の自信を持って走ることは難しいかもしれない。だからより安全だと思うセットアップを使いたい』とコメントするんだ」

「エンジニアもカッレの考えに触発されていて、カッレがより快適に、そしてリスクを負うことなく操れるようにマシンを仕上げている。リスクを負う必要のないセットアップがしてあるとわかっているから、カッレはここまで安定した走りができているんだ」

カッレ・ロバンペラが操るトヨタ・ヤリスWRC

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