三菱 新型eK スペース/eK クロス スペースに試乗|実際にテストしてわかったターボとノーマルの違い

三菱 新型 eK X(クロス) スペース/ekスペース

日本の乗用車で最も売れているスーパーハイト軽カテゴリーに、三菱から新たなモデルが登場

三菱 新型 eK X(クロス) スペース/ekスペース
三菱 新型 eK X(クロス) スペース/ekスペース

クルマにはさまざまなカテゴリーがあるが、今最も好調に売れているのは、全高が1700mmを超える背の高い軽自動車だ。最近では「軽スーパーハイトワゴン」などと呼ばれている。

車内が広く4名乗車も快適で、後席を畳めば自転車なども積める広い荷室になる。後席左右のドアはスライド式だから、乗り降りもしやすい。

そこで2019年1~12月、2020年1~3月の国内販売ランキングを見ると、1位はホンダ N-BOX、2位はダイハツ タントであった。両車とも全高が1700mmを超える軽自動車だ。

2020年3月には、このカテゴリーに属する三菱 新型eKスペース/eK X(クロス)スペース、そして姉妹車の日産 ルークスが一斉にフルモデルチェンジを受けて販売を開始した。

車両の概要は「三菱 新型eKスペース/eKクロス スペース 新型車解説」に掲載したので、今回は実際に試乗して分かった運転感覚などを中心にお伝えしたい。

660ccのエンジンはノーマルとターボの2種類|ベースのeKスペースでもターボが選択可能

三菱 新型 eK X(クロス) スペース/ekスペース
三菱 新型 eK X(クロス) スペース/ekスペース

三菱 新型eKスペース/eKクロススペースに搭載されるエンジンのラインナップからご紹介していこう。

eKスペースとeKクロススペースの両方に、ノーマルタイプ(ノンターボ)とターボエンジン車をそれぞれ用意した。

ちなみに姉妹車の日産 ルークスでターボを選べるのは、上級グレードの「ハイウェイスターG ターボプロパイロットエディション」のみだが、eKでは標準ボディのeKスペースにもターボエンジンを搭載する「T」を設定した。運転支援機能のマイパイロット(日産では「プロパイロット」)を含めて、eKスペースは、エンジンや装備の選択肢がルークスよりも豊富だ。

今回試乗出来たのは、ノーマル(ノンターボ)エンジンを搭載する「eKスペース G」(154万2200円・FF)と、ターボエンジン搭載の「eKクロススペース T」(185万9000円・FF)であった。

登坂路ではややパワー不足だが、街中などでは扱いやすいノンターボエンジン

三菱 新型 eK X(クロス) スペース/ekスペース

eKスペース Gに載るノーマルの660ccエンジンは、幅広い回転域にわたり動力性能が不足気味だ。

車両重量が950kgに達するので、登坂路などではパワー不足を感じやすい。それでも軽自動車のノーマルエンジンとしては、実用回転域の駆動力に余裕がある。

最大トルクは6.1kg-mにとどまるが、頻繁に使われる3600回転で発生するから、意外に運転しやすい。ノイズと振動も抑えられ、パワーは不足気味でも上質な走りを楽しめる。

街中から郊外路、そして高速道まで全域で扱いやすい660ccターボエンジン

三菱 新型 eK X(クロス) スペース/ekスペース

一方ターボのeKクロススペース Tでは、動力性能が大幅に向上する。

最大トルクは10.2kg-mだから、ノーマルエンジンの1.7倍で、街中から郊外路、そして高速道での領域をカバーする2400~4000回転で幅広く発生するから加速に余裕がある。

高回転になるほど加速が活発化するターボのクセを少し感じるが、高速道路や峠道を頻繁に走るユーザーに適する。

全高1700mmを超える軽スーパーハイトワゴンとしては走行安定性も良好

三菱 新型 eK X(クロス) スペース/ekスペース

背の高い三菱 新型eKスペース/eKクロススペースで特に気になる走行安定性についてはどうだろうか。

実際に試乗してみたところ、全高が1700mmを上まわり、車両重量も900kgを超える背の高い軽自動車としては良好な部類に属する。

カーブを曲がる時には操舵感が少し鈍く感じるが、後輪の接地性は高い。下り坂のカーブを曲がる時も不安を感じにくく、直進安定性が高いから高速道路も走りやすい。

後席に大切な家族を乗せるから・・・気になる乗り心地は!?

三菱 新型 eK X(クロス) スペース/ekスペース
三菱 新型 eK X(クロス) スペース/ekスペース

後席に大切な家族を乗せることも多いクルマだから、乗り心地もしっかり確認したい。

その印象は、装着されるタイヤによって異なる。14インチタイヤ(155/65R14)を装着したeKスペース Gは、路上のデコボコを拾いやすいものの、硬さをあまり意識させない。

15インチタイヤ(165/55R15)のeKクロススペース Tは、eKスペース Gに比べて操舵感が少し機敏になるが、乗り心地に硬さが目立つ。

段差を通過した時には突き上げ感も伴い、もう少し穏やかに仕上げて欲しい。

このように、背の高い軽自動車に求められる走行安定性と乗り心地のバランスは、14インチの方が良さそうだ。

ちなみに指定空気圧は、転がり抵抗を抑えるために前後輪とも240kPaと高めの設定とした点も、乗り心地の硬さに影響を与えている。

[筆者:渡辺 陽一郎/撮影:森山 良雄・MOTA編集部・三菱自動車工業]

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