長崎県内再休校 それぞれの一日 自宅で、学童で…何をする? 感染防止 親も思い複雑

密接を防ぐため座らない場所を示す赤い「×」のテープが机に貼られていた=五島市武家屋敷3丁目、かけはし福江児童クラブ

 新型コロナウイルスの感染が広がる中、長崎県でも休校とともに外出自粛ムード一色に包まれている。子どもたちは、大人たちはどう過ごしているのか。県内全ての公立校が休校となった22日、各地の様子を追った。

 午前7時半 いつもは児童のあいさつする声が響く長崎市立諏訪小の通学路は、人影もまばら。近くに住む中尾公威さん(78)は「町に元気がなくなった」と表情を曇らせた。

 同8時20分 「このクラス、時間前なのにほとんど出席だね」。在宅学習に切り替えた諫早市貝津町の創成館高。タブレット端末を見ながら、奥田修史校長が笑顔を見せた。教諭は端末越しに生徒の出席状況を確認し、課題を送信した。

 同9時15分 長崎市の「桜町学童クラブ」に約20人の子どもが集まった。「3密」対策で保護者に自宅学習をお願いしているが、安藤寿敏代表は「それでも預けなきゃいけない家庭はある。限られた環境の中、できることをする」。

 正午すぎ 新上五島町立上郷小。いつもはみんなで食べていた給食の時間も、今日はひっそり。職員室では教諭らが寂しそうに弁当を広げた。

 午後1時 西彼長与町の自宅で男子大学生(18)がオンラインで講義を受講。入学後、休校が続き、「同級生をまだ全然知らない。休校はがっかりだけど自分だけじゃない。1人暮らしで頑張っている友達もいる」。友達との電話がささやかな楽しみ。

 同1時50分 五島市の「かけはし福江児童クラブ」。子どもたちがトランプを楽しむ机には、密接を防ぐため、赤い「×」印。市立福江小4年の荒木美香さん(9)は「コロナのせいで友達とくっついて座れないのが嫌」と不満そう。

 同2時10分 今春、雲仙市立千々石第一小に入学したばかりの溝田寿珠さん(6)が姉と自宅学習。「学校に行きたかった。でもお姉ちゃんが教えてくれるのがうれしい」

 同4時20分 長崎市内の病院で働く40代女性は仕事を切り上げ、学童保育に預けた小学2年の長男の代わりに学習塾へ課題を受け取りに。「学童の存在はありがたい。ただ、大勢が触るおもちゃでは遊ばないでねと伝えている」と複雑な思いを打ち明けた。

 同7時 仕事を終えて帰宅した諫早市の女性(44)が、小学5年と3年の子ども2人と食卓を囲む。今日の分と決めた課題は半分以上残ったまま。「だらだら遊んでいたんだろうな」と思いつつ、「明日は何をして過ごすの?」と優しく尋ねた。

朝から開所して子どもたちを受け入れている「桜町学童クラブ」=長崎市桜町

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