WRC:2021年からワンメイクタイヤ供給のピレリ「F1で培ってきたノウハウを開発や輸送などで活用」

 ピレリのレーシング部門を取りまとめるマリオ・イゾラは2021年からWRC世界ラリー選手権のワンメイクタイヤサプライヤーとして活動する際、これまでF1で培ってきたノウハウを活用できると語った。

 WRCではコスト削減策の一環として2021年シーズンからワンメイクタイヤが導入され、その供給メーカーとしてピレリが選出されている。

 2008~10年もWRCでワンメイクタイヤサプライヤーを務めていたピレリは、2011年からフォーミュラレースの最高峰であるF1にもワンメイクタイヤサプライヤーとして関与。ピレリのイゾラは、これまでF1で培ってきた経験や知識をWRCでも活かせるとWRC公式サイト『WRC.com』に語っている。

「これまでF1に参画して非常に多くのことを学んできたし、現在も学びを続けている途中だ」とイゾラ。

「F1で学んできたものはWRCにも応用できる。それはタイヤ開発だけでなく、効率的な輸送法や自分たちの働き方といったものも含まれる」

「ピレリにとってラリー競技は大きな遺産であり、会社のDNAに組み込まれているような存在だ。だから、ラリー競技最高峰への復帰は、我々にとって大きな意味を持つことなんだ」

ピレリが開発した2021年WRC用スパイクタイヤ『Sottozero Ice J1タイヤ

 本来であれば、この時期は2021年1月のシーズン開幕に向けてタイヤ開発作業も忙しくなる期間だが、ヨーロッパを始め世界中で脅威となっている新型コロナウイルス(COVID-19)の影響もあり、本格的な作業は中断を余儀なくされているとみられる。

 イゾラはF1でのノウハウを活かせると語る一方で、「F1の場合、シミュレーターのおかげで実際にコースを走る前にさまざまな作業を行うことができるが、ラリーではそうはいかない」とラリー競技ならではの難しさも明かしている。

「グラベル(未舗装路)やそのほかの路面コンディションをシミュレートするのは難しいんだ。もちろん、それでも事前にやることはあり、開発作業の第一歩としては最適だ」

「だが、できれば可能な限り早く実地試験を本格化させてタイヤの検証を進めたい」

 またイゾラは2021年の最上位クラスに向けたタイヤ開発に加え、現在タイヤを供給しているWRC2、ジュニアWRCでの活動も維持する意向を示してる。

「WRC2について、我々はすでに参戦するすべてのマシンにタイヤを供給している。つまり同クラスを戦う四輪駆動ラリーカー用タイヤは手元にある状況なんだ」

「今、我々は同クラス用タイヤのパフォーマンスを引き上げつつ、耐久性も向上させるべく作業を進めている」

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