【高校野球】「来年の選抜も…」「時期をずらして…」 甲子園は開催すべきか、全国の監督たちの本音

中止か、延期か、無観客か、全国の野球部監督にアンケートを実施

「今年はもう無理」「引退試合すらダメなのか」 各地の監督が本音を激白

新型コロナウイルス感染拡大で、全国高校体育連盟は高校総体の中止を決定。様々なスポーツやイベントが中止や延期に追い込まれるなか、高校野球は夏の地方予選、甲子園を開催できるのか……。Full-Count編集部では全国各地の現場監督に匿名で緊急アンケートを実施。選手の思いを間近で知る監督たちが語った本音とは――。

中止か、延期か、無観客か。一足先にインターハイ等の中止を発表した高体連の決定に、高野連も難しい判断を迫られている。では、選手を預かる立場の現場の監督は現状をどう捉えてるのか。

関東のある監督は「選手には言えませんが、正直なところ今年はもう無理でしょう」と本音を漏らす。「感染が拡大している地域と、してない地域、収束が始まったところと、これから増えていくところがある。そんな状況で全国大会はできませんよ。ただ、それをどうやって選手に伝えていいものか……」と頭を悩ませている。

未曾有の事態の中、一番はやはり命の大切さだろう。九州地方の公立校の監督も「やっぱり一番は命が大事。ただ、命に影響のない範囲でやらせてあげることはできないのか。うちの県では感染はほとんどないですし、晴れた日には公園で子どもたちが遊んでる。例えば無観客で地方大会だけ、引退試合の1試合だけやらせてあげることすらダメなんでしょうか」と訴える。

一方で春、夏ともに晴れ舞台を奪われることに危機感を覚えている指揮官も。西日本の強豪校監督は「春に泣いた分、夏はやらせてあげたいのが本音。時期をずらして、今回だけ特別に12月、1月の練習試合ができない時期を有効活用して試合をやらせてあげたい」と救済案を提案。「野球だけじゃない、全ての部活動を集めて大きな大会を集大成としてやってあげたい」と高体連、高野連の垣根を越えて開催すべきだと主張する。

また、東北地方の私立校監督は「仮にやるのであれば通常開催であるべき。それができないのなら、やるべきではないでしょう。国体でとか、1試合だけでもとか言ってますが、選手たちにとって甲子園の代わりになるものなんてありえないんです。そんなものならないほうがいい」と、通常開催以外の代替え案には否定的だ。

「野球だけ特別じゃない」という世論、開催はプロ野球の動向次第?

自粛が長くなり準備期間の無さも問題視される。西日本の別の監督は「すでにもう2か月の練習中止が決まっている。夏の大会まで、やっぱり最低3か月は追い込み期間が必要なんです。ただでさえ近年は記録的な猛暑。ある程度暑さに慣れたり、耐えられるだけの体力をつけておかないと、怪我人や熱中症が続出するでしょう」と、コロナ以外の健康管理の面でも慎重論を唱える。

北陸地方のある監督は「インターハイよりも、プロ野球が無観客で開催できるのかが一番大きな判断材料になるのでは。同じ野球なら安全対策は同じ方法が取れますし、今は『野球だけ特別じゃないぞ』という空気でも、プロができるのなら『なんで高校生はダメなんだ』という方に世論が傾くこともあるのでは」とプロ野球側の動向を気にかける。

だが、なかにはこんな話も聞こえた。東海地方のある監督は「来年の選抜も危ういのではないかとも思う。早いところでは甲子園大会中の8月から秋季大会が始まるので、それがどんどんずれ込んで秋季地区大会ができなくなれば、選抜出場校の判断材料がなくなるわけですから」と声を潜める。

いずれにせよ、どの監督も「選手のために、何とか野球をさせてあげられないか」という思いは一緒。はたして、高野連の決定はいかに。(Full-Count編集部)

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