トヨタ・パナ連合PLT、請負から街づくりや海外シフト

トヨタ自動車、パナソニック、三井物産が出資し、トヨタホーム、ミサワホーム、パナソニック ホームズを傘下に置くプライム ライフ テクノロジーズ(PLT、東京都港区)は4月30日、2030年度までの長期ビジョンと2020~22年度までの中期経営計画を発表した。新築請負事業偏重から脱却し、ストックや街づくり、海外などにシフトしていく方針を明らかにした。

2022年度に売上高が2019年度比3.9%増の1兆600億円、営業利益は136.8%増の450億円、営業利益率は生産性向上や付加価値拡大により2.4ポイント増の4.2%を目指す。他事業の伸長により、新築請負事業の売上比率は7ポイント減の54%までの引き下げとなる見込み。

新築請負事業は2022年度に売上高が2019年度比6.4%減の5700億円、営業利益は169.5%増の186億円を目指す。収益改善の他、首都圏の戸建てはミサワホーム、愛知県の戸建てはトヨタホーム、多層階を中心とした東京の賃貸特建住宅はパナソニック ホームズが強いなど、エリア特性と各社の強みを生かしていく。従業員24万人を抱えるトヨタ自動車グループなど法人への働き掛けも強める。

ストック事業は売上高21.4%増の2200億円、営業利益は121.6%増の133億円の計画。非戸建て・非住宅のリフォームにも注力。賃貸管理戸数は2万戸増の14万戸とし、売買仲介や買取再販なども行っていく。親会社のトヨタ自動車やパナソニックのIoT(モノのインターネット)や5G技術も活用した不動産テックや空き家・団地・分譲地再生も手掛ける。単なる不動産管理から経営的視点に立って土地や建物、設備運営を行うファシリティマネジメントの視点を重視する。

街づくり事業は売上高19.6%増の1200億円、営業利益は163.6%増の58億円を目指す。販売用在庫は2019年度の3200億円から2022年度は3500億円に増加するが、割合を分譲系は74%から58%に減らし、保有系は26%から42%に増やす。3年間で分譲系5700億円、保有系に1400億円を投資し、それぞれ6100億円、700億円の回収の計画。大阪府吹田市や福島県伊達市での大型開発をグループで進める。トヨタ自動車がNTTなどと静岡県裾野市で進めるスマートシティ計画については、具体的なことは現時点では決まっておらず、今後、PLTでも何らかの形で関わっていきたいという。またアセットマネジメント、プロパティマネジメントや不動産証券化にも注力する。

海外事業はミサワホームが米国や豪州の戸建て事業を伸長している他、パナソニック ホームズがインドネシアやマレーシア、台湾で分譲事業、トヨタホームがインドネシアで住宅部材販売や分譲事業を行っている。インドネシアでグループ協業を進める。売上高を2022年度には2019年度比85.9%増の530億円、営業損益は2019年度は12億円の赤字だが、33億円の黒字化の他、2030年度には海外事業のコア事業化を目指す。

新型コロナウイルスの影響については、2020年度第1四半期について影響は大きくないが、足元で受注に影響が出ており、第2~3四半期以降への影響については精査中。影響が最小限で済むように各社で協力して対応するという。PLTの北野亮社長は4月30日の説明会で「これまでは新築請負事業に偏重していたが、ストック事業や建設事業を伸ばし、街づくり事業や海外事業の仕込みを進める」と説明。2030年度に売上高1兆2000億円と利益率10%を目指すとした。

PLTの北野社長は2022年度までの中計を説明した

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