トミカ化される車種はどのように決まる?
50年の間に発売されたトミカは通称赤箱と呼ばれる通常トミカだけで1000車種以上になる。凄い数だが、実際に販売された自動車の種類はもちろんこの何倍もの数になる。
「トミカ化」される車、されない車はどのようにして選ばれるのか。タカラトミー広報室に聞いてみたところ、以下のような回答を得た。
「子どもたちがよく見かける(普段の生活環境や映像、本等も含む)ような車種や子どもが好きなテーマ(動物・食べ物・乗り物)を取り入れたもの、人気が高い車種、世間で話題の車種などから広く選定しています。」
「これまでトミカ化を計画していながら、発売されなかった車種も存在しています。たくさんの車種から商品化を検討しておりますが、実際に商品化できる数には限りがありますので、見送らざるをえない車種もございます。」
トミカ化への計画が進んでいても、実際にはどこかのタイミングで商品化が見送られた車種も少なくないようだ。
最近ではどのような車種が発売されているのだろうか?
2019年1月から2020年4月まで。上から新着順で発売されたトミカは32種類。
GRスープラやジムニー、フェラーリF8トリブートなどは、新車発売と近い時期にトミカとして発売されている。
トミカの場合、企画から完成までに9~10か月以上の時間が必要とされているので、中には実際の車が発売される1年以上前から企画開発が進められることも珍しくないそうだ。
50年間で最も売れたトミカのベスト5は一体!?
こうして発売されてきたトミカは50年間で販売台数は累計約6億7000万台を超えた。
50年間で最も売れたトミカは以下の車種だ。
番号がついている1,3,5位は現在も「新車」として販売されている。あとの2台は絶版だ。
1970~2009年の歴代販売車種ベスト5
4位のトヨタ2000GTは1970年8月に発売されたトミカ最初の6台のうちの1台。ヤフオクなどでは、数万円というかなりの高値で取引されている。
常時1~140車種をラインナップ
通常のトミカは『トミカの日』としておなじみ、毎月第3土曜日に発売されている。
現在、1番~140番までをラインナップしており、内訳は
ロングタイプは、トラックなど働くクルマの他に、ヘリコプターや機関車、さんふらわあ(フェリー)など車以外もある。
新車種が出るということは廃盤になる車種も…
1~140番は常時生産、販売が行われているが、新しい車種が発売されると、入れ替わりでいずれかの車種が「廃番」となる。
では廃番になるトミカはどんな条件で消えていくのだろうか?
もちろん、人気がなくなって販売台数が落ちていく…ことも理由のひとつだろうが、実はもう一つ、絶対的な理由がある。それは「安全基準」なのである。
ミニカーにも子どもが遊ぶおもちゃとしての厳格な安全基準があるのだ。
以前、トミカの開発スタッフの方に聞いたところ、
「長く製造し続けられるかどうかは金型の安全基準が関わっています。売れている車種でも安全基準が更新されて適合しなくなると製造販売できなくなることもあります」
と教えてくれた。
超ロングセラーのトミカは何?
このような厳しい条件の中で、もっとも長い間、通常トミカとしてラインナップされ続けてきたトミカの車種はロンドンバスである。 発売は1977年というから、実に43年もの間、「新車」として販売されてきたことになる。(PET WORLDの部分は数回変更あり)
「ロンドンバスは、子どもたちの人気車種のカテゴリーのひとつ(バス)であること、そして、二階建てバスという珍しいスタイルの車両であることから発売当時から現在まで人気だと考えています。
トミカは日本だけではなく、販売される国それぞれの安全基準を満たして商品化されています。STだけではなく、トミカ(タカラトミー)基準での安全性も確保しており、その基準も、年々変化しています。」(タカラトミー広報室)
トミカは日本国内だけで販売されるわけではなく、欧米やアジアなど多くの国で販売されている。その国々の安全基準を満たさないと販売ができないというわけだ。まさに実車と同じで興味深い。
まあ、トミカはとくに、対象年齢が3歳~となっているので、耐久性や塗料や素材などの安全性はもちろんかなりの高水準となる。ご存知の方も多いと思うがトミカにはドアミラーがない。突起物で子どもがけがをしないようにという配慮だ。
単にドアミラーを無くすだけではなく、ドアミラーがなくてもバランスの取れた美しいデザインであることもトミカの高性能のひとつなのである。
[筆者:加藤 久美子]