客船感染 連携体制構築へ 中村知事「リスク管理一層徹底」

定例会見する中村知事=県庁

 長崎市に停泊中のクルーズ船コスタ・アトランチカで発生した新型コロナウイルスの集団感染を受け、中村法道知事は12日の定例会見で、今後は寄港前のクルーズ船内の情報を入手できる仕組みを作り、感染症が発生した場合は関係機関が迅速に対応できる連携体制を構築する意向を明らかにした。
 知事はクルーズ船事業に不安を抱いている人が増えている可能性があるとして、「この事業を安定的に発展させるためには健康面などのリスク管理を一層徹底する必要がある」と指摘。一義的にはクルーズ会社の責任としながらも、県としても船内の実情を把握しながら受け入れなければならないとし、検疫所から事前に情報を入手するなどの仕組み作りに着手する方針を述べた。船内で大規模クラスター(感染者集団)が発生すれば多くの乗組員の国々との連絡調整が必要になるため、国の関係機関の支援が求められるとした。
 また、県内では新型コロナウイルスの感染者が4月17日の17人目以降は確認されていないが、感染拡大に備えて中等症患者を中心に受け入れる「重点医療機関」の指定に向け、県内の各医療圏ごとに調整していることも明らかにした。
 カジノを含む統合型リゾート施設(IR)誘致については、新型コロナウイルスの感染防止に国を挙げて取り組む中、国の基本方針が公表されていない上、IR事業者も海外で営業自粛・停止となり、「日本のIR事業への準備・検討が進んでいないとも聞いている」という。「国の動向や社会情勢を十分見極めながら柔軟に対応する必要がある」と述べ、民間事業者の募集要項の公表時期も予定していた「今年春から夏ごろ」がずれ込む可能性に言及した。
 九州新幹線長崎ルート(博多-長崎)の佐賀県内の未着工区間(新鳥栖-武雄温泉)の整備方式について佐賀県と国土交通省の協議が始まっていないことについては、新型コロナウイルスの影響に一定理解を示した上で「できるだけ早く協議が進められ、議論を重ねる時期が来ることを強く待ち望んでいる」と述べた。

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