各球団最高のデビューシーズン 2001年イチローも選出

ルーキーがメジャーデビューしたシーズンで活躍したり、トレードやフリーエージェントで獲得したばかりの選手が新天地ですぐに活躍したりするのを見るのは、野球ファンにとって非常に楽しいことである。メジャーリーグ公式サイトでは、各球団の番記者が担当チームにおける「最高のデビューシーズン」を選出。ルーキーのみならず、トレードやフリーエージェントで移籍してきた選手も含め、その球団で過ごす1年目のシーズンが対象となっている。

マリナーズ担当のグレッグ・ジョンズ記者は、2001年のイチローを選出。27歳でメジャーリーグに挑戦したイチローは、首位打者と盗塁王のタイトルを獲得しただけでなく、同一シーズンにオールスター・ゲーム先発出場、シルバースラッガー賞、ゴールドグラブ賞、新人王、MVPの5つを手にしたのは史上初の快挙だった(MVPと新人王の同時受賞は史上2人目)。ジョンズは「イチローがメジャーリーグでの最初のシーズンに成し遂げたことを超えるのは難しい」と述べている。

現役選手では、ブルージェイズでジョシュ・ドナルドソン(現ツインズ)、インディアンスでアンドリュー・ミラー(現カージナルス)、ホワイトソックスでホゼ・アブレイユ、ナショナルズでブライス・ハーパー(現フィリーズ)、カージナルスでアルバート・プーホルス(現エンゼルス)、ロッキーズでトレバー・ストーリーが選出されている。30人の番記者が選んだ選手とその成績は以下の通り。

アメリカン・リーグ東部地区

オリオールズ:フランク・ロビンソン(1966年)
155試合 打率.316 49本塁打 122打点 8盗塁 OPS1.047
レッズからトレードで加入し、三冠王でMVP。ドジャースをスイープしたワールドシリーズでもMVPに輝いた。

レッドソックス:テッド・ウィリアムス(1939年)
149試合 打率.327 31本塁打 145打点 2盗塁 OPS1.045
ルーキーらしからぬ猛打で打点王となり、MVP投票4位。64三振に対して107四球を選んだ(出塁率.436)。

ヤンキース:ベーブ・ルース(1920年)
142試合 打率.376 54本塁打 135打点 14盗塁 OPS1.379
レッドソックスからの移籍を機に打者に専念し、本塁打と打点の二冠王。ルースの本塁打数を上回ったチームはフィリーズだけだった。

レイズ:カルロス・ペーニャ(2007年)
148試合 打率.282 46本塁打 121打点 1盗塁 OPS1.037
伸び悩んでいた元有望株がデビルレイズ移籍を機に開花。本塁打や打点などの各部門で球団シーズン記録を塗り替えた。

ブルージェイズ:ジョシュ・ドナルドソン(2015年)
158試合 打率.297 41本塁打 123打点 6盗塁 OPS.939
アスレチックスからトレードで加入し、打点王でMVP。22年ぶりのポストシーズン進出の立役者となった。

アメリカン・リーグ中部地区

ホワイトソックス:ホゼ・アブレイユ(2014年)
145試合 打率.317 36本塁打 107打点 3盗塁 OPS.964
キューバから加入し、満票で新人王を受賞。6年6800万ドルという球団史上最高額(当時)の大型契約に応える活躍を見せた。

インディアンス:アンドリュー・ミラー(2016年)
26試合 4勝0敗3セーブ 防御率1.55 29.0回 46三振 2四球
シーズン途中にヤンキースからトレードで加入し、圧巻のピッチングを披露。リーグ優勝決定シリーズではMVPとなった。

タイガース:マーク・フィドリッチ(1976年)
31試合 19勝9敗0セーブ 防御率2.34 250.1回 97三振 53四球
29先発で24完投を記録し、最優秀防御率のタイトルを獲得。新人王となり、オールスター・ゲームでも先発した。

ロイヤルズ:ダニー・タータブル(1987年)
158試合 打率.309 34本塁打 101打点 9盗塁 OPS.931
マリナーズからトレードで加入し、当時の球団記録に迫る34本塁打を記録。3番打者として見事な活躍を見せた。

ツインズ:トニー・オリーバ(1964年)
161試合 打率.323 32本塁打 94打点 12盗塁 OPS.916
史上初の新人首位打者となり、新人王を受賞。ただし、1962年に9試合、1963年にも7試合に出場しており、厳密にはメジャー3年目。

アメリカン・リーグ西部地区

アストロズ:ロジャー・クレメンス(2004年)
33試合 18勝4敗0セーブ 防御率2.98 214.1回 218三振 79四球
41歳のシーズンながら自身7度目のサイ・ヤング賞を受賞。両リーグでの受賞は史上4人目の快挙となった。

エンゼルス:ブラディミール・ゲレーロ(2004年)
156試合 打率.337 39本塁打 126打点 15盗塁 OPS.989
エクスポズからの移籍1年目でMVPを受賞する大活躍。2018年新人王の大谷翔平もゲレーロには及ばなかった。

アスレチックス:フランク・トーマス(2006年)
137試合 打率.270 39本塁打 114打点 0盗塁 OPS.926
終わった選手と思われていた元MVPが新天地で大暴れ。カムバック賞を受賞し、MVP投票でも4位にランクインした。

マリナーズ:イチロー(2001年)
157試合 打率.350 8本塁打 69打点 56盗塁 OPS.838
不動のリードオフマンとして史上最多タイの116勝をマークしたマリナーズを牽引。MVPと新人王をダブル受賞した。

レンジャーズ:ジョシュ・ハミルトン(2008年)
156試合 打率.304 32本塁打 130打点 9盗塁 OPS.901
レッズからトレードで加入し、打点王のタイトルを獲得。ホームラン・ダービー1回戦では28本ものアーチを架けた。

ナショナル・リーグ東部地区

ブレーブス:ロジャース・ホーンスビー(1928年)
140試合 打率.387 21本塁打 94打点 5盗塁 OPS1.130
在籍期間は1年だけだが、そのインパクトは強烈。打率.387、出塁率.498、長打率.632はいずれもリーグ1位だった。

マーリンズ:イバン・ロドリゲス(2003年)
144試合 打率.297 16本塁打 85打点 10盗塁 OPS.843
正捕手として圧倒的な存在感を発揮し、チームのワールドシリーズ制覇に大きく貢献。リーグ優勝決定シリーズではMVPに輝いた。

メッツ:ドワイト・グッデン(1984年)
31試合 17勝9敗0セーブ 防御率2.60 218.0回 276三振 73四球
19歳の新人が奪三振王となり、新人王を受賞。新人記録の53本塁打を放った昨年のピート・アロンゾもグッデンには及ばない。

フィリーズ:ロイ・ハラデイ(2010年)
33試合 21勝10敗0セーブ 防御率2.44 250.2回 219三振 30四球
ブルージェイズからトレードで加入し、最多勝でサイ・ヤング賞。レギュラーシーズンで完全試合、地区シリーズでノーヒッターを達成。

ナショナルズ:ブライス・ハーパー(2012年)
139試合 打率.270 22本塁打 59打点 18盗塁 OPS.817
19歳でメジャーデビューし、オールスター・ゲーム選出。新人王を受賞し、MVP投票でも2ポイント(30位タイ)を獲得した。

ナショナル・リーグ中部地区

カブス:エド・ロイルバック(1905年)
34試合 18勝14敗1セーブ 防御率1.42 291.2回 152三振 73四球
防御率1.42は規定投球回以上の新人投手ではベストの数字(1900年以降)。29先発で28完投をマークした。

レッズ:フランク・ロビンソン(1956年)
152試合 打率.290 38本塁打 83打点 8盗塁 OPS.936
20歳でメジャーデビューし、38本塁打を放って満票で新人王を受賞。今回の企画で2球団からの選出はロビンソンだけ。

ブリュワーズ:ロリー・フィンガース(1981年)
47試合 6勝3敗28セーブ 防御率1.04 78.0回 61三振 13四球
カージナルスからトレードで加入。両リーグ最多の28セーブを挙げ、MVPとサイ・ヤング賞をダブル受賞した。

パイレーツ:ホーナス・ワグナー(1900年)
135試合 打率.381 4本塁打 100打点 38盗塁 OPS1.007
打率.381、45二塁打、22三塁打、長打率.573、OPS1.007はいずれも両リーグ1位。この年は遊撃ではなく外野を守っていた。

カージナルス:アルバート・プーホルス(2001年)
161試合 打率.329 37本塁打 130打点 1盗塁 OPS1.013
一塁、三塁、左翼、右翼と4つのポジションを守りながら新人離れした強打を発揮。満票で新人王に選出された。

ナショナル・リーグ西部地区

ダイヤモンドバックス:ランディ・ジョンソン(1999年)
35試合 17勝9敗0セーブ 防御率2.48 271.2回 364三振 70四球
防御率と奪三振の二冠に輝き、自身2度目のサイ・ヤング賞。チームを創設2年目でのポストシーズン進出に導いた。

ロッキーズ:トレバー・ストーリー(2016年)
97試合 打率.272 27本塁打 72打点 8盗塁 OPS.909
開幕戦でのザック・グレインキーからの2発を含め、最初の6試合で7本塁打。「鮮烈デビュー」という点で最高峰の選手と言える。

ドジャース:ジャッキー・ロビンソン(1947年)
151試合 打率.297 12本塁打 48打点 29盗塁 OPS.810
盗塁王のタイトルを獲得し、新人王を受賞。しかし、初の黒人メジャーリーガーとしての功績の大きさは数字だけでは計れない。

パドレス:ケビン・ブラウン(1998年)
36試合 18勝7敗0セーブ 防御率2.38 257.0回 257三振 49四球
「優勝請負人」に異名に違わず、見事な活躍を披露。エースとしてチームを14年ぶり2度目のリーグ優勝へと導いた。

ジャイアンツ:バリー・ボンズ(1993年)
159試合 打率.336 46本塁打 123打点 29盗塁 OPS1.136
本塁打と打点の二冠に輝き、2年連続3度目のMVP受賞。前年90敗のチームを103勝の強豪へと変貌させた(ただし地区2位)。

© MLB Advanced Media, LP.