現代野球で更新は可能か? 84年の球史で“1人”しか達成していない偉大な投手記録

歴代最多400勝の金田正一氏(左)と407セーブの岩瀬仁紀氏【写真:細野能功、荒川祐史】

勝利数、投球回、奪三振…金田正一氏の記録は現代では更新不可能

新型コロナウイルスの感染拡大の影響で開幕が延期となっている日本のプロ野球。交流戦、オールスターの中止は決まり、試合数も143試合から減少する見込みとなっている。これに伴い、選手の通算記録にも大なり小なり影響を受けることになるだろう。

未曾有の事態となっている2020年だが、これまで長い歴史を紡いできたプロ野球84年では数々の偉大の記録が生まれてきている。この中にはもはや現代野球では到達不可能とも言える超人的な記録もある。そこで、84年のプロ野球の歴史で、ただ1人しか、その節目に到達できていない数々の偉大なる通算記録をクローズアップしてみたい。今回は投手編だ。

・400勝(金田正一:400勝)
・5500投球回(5526回2/3)
・1500与四球(1808与四球)
・4000奪三振(4490奪三振)

84年の歴史で投手として数々の記録を打ち立ててきたのが金田氏だ。1950年に国鉄(現ヤクルト)に入団した金田氏は巨人への移籍を経て1969年まで20年間、現役でプレーした。そして、その成績はとにかく凄まじい。

現代と違って金田氏の現役当時は投手が先発もリリーフを担う時代。そのため金田氏も毎年のように先発で30から40試合、リリーフでも10から20試合程度登板している。1951年から14年連続で40試合超に登板し、全てで20勝以上をマークし、1958年には31勝を挙げている。2位は米田哲也氏で350勝となっている。

5500投球回を超えているのも金田氏ただ1人。金田氏は1951年から14年連続で300イニング以上、1955年には400イニングに投げている。また奪三振でも年間200個は当たり前。400イニングを投げた1955年には350奪三振という信じられないような数字を残し、それに伴って四球の数も多い。

現代では先発投手は200イニングを投げれば一流とされる時代で、最多勝となるには15勝から20勝が基準となる。400勝には単純に20年連続で20勝が必要。15勝ならば27年かかるという記録。5500投球回は200イニングを27年半続けてようやく届く数字だ。時代も大きく変わっており、金田氏の記録はもはや更新不可能と言えるだろう。

岩瀬の1000試合は燦然と輝く大記録、宮西はあと6年で到達?

・1000試合登板(岩瀬仁紀:1002試合)
・400セーブ(岩瀬仁紀:407セーブ)

数々の偉大な記録の多くは、1950年代などの選手たちが樹立したものになる。投手分業制が進んだ現代では更新不可能といえるものが多いが、その中で燦然と輝くのが岩瀬氏の打ち立てた2つの記録だ。通算1000試合登板は84年の歴史でただ1人しか達成していない。

1998年のドラフト2位で入団すると1年目から勝利の方程式を担った。1999年から2013年まで15年連続で50試合以上に登板。5度の最多セーブに輝くなど、2004年からは守護神として長らくチームを支えてきた。1002試合登板は2位の米田哲也氏の949試合に53試合差。また407セーブは2位の高津臣吾氏(現ヤクルト監督)に121もの差をつけている。

・300ホールド(宮西尚生:337ホールド)

現役投手で歴代最多記録を持つ日本ハムの宮西。ホールドは1996年にパ・リーグで初めて採用されたまだ新しい記録だ。2008年に日本ハム入りした宮西は1年目から50試合に登板。入団からリリーフ一筋で12年連続50試合以上に登板している。岩瀬と違いセットアッパーを担い続けており、ホールド数を積み重ねてきた。現在684試合に登板しており、1000試合登板まで残り316試合。このペースであと6年投げ続ければ、2人目の1000試合登板、そして“岩瀬超え”が見えてくる。

・150与死球(東尾修:165与死球)

1969年に西鉄(現西武)に入団し、引退する1988年まで20年間プレーした東尾氏。通算251勝をマークする大投手だが、キャリアで与えた165死球が歴代最多記録となる。東尾氏に次ぐ2位は渡辺秀武氏の144死球。投球回や勝利、四球などでトップの金田氏だが、死球数は通算で72個と東尾氏の半分にも満たない。

84年の長いプロ野球の歴史でも、ただ1人しか達成していないこれらの記録。金田氏の持つ記録の数々は更新は不可能だろうが、その他の記録には更新の可能性もあるだろう。20年以上の長い現役生活でほぼ怪我なくコンスタントに投げ続け、その上で結果を出し続けることが必要ではあるが、こうした記録を打ち立てる選手の登場を期待したい。(Full-Count編集部)

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