2020年代のエース候補 フラハティとビューラー

20世紀初頭のクリスティ・マシューソンとモーデカイ・ブラウンに始まり、サンディ・コーファックスとボブ・ギブソン、トム・シーバーとスティーブ・カールトン、ロジャー・クレメンスとペドロ・マルティネスのように、時代はいつも「二大エース」によって彩られてきた。そして、メジャーリーグ公式サイトのマット・ケリーが「2020年代の二大エース」の候補に挙げるのがジャック・フラハティ(カージナルス)とウォーカー・ビューラー(ドジャース)の2人である。

現在24歳のフラハティは2017年9月1日にメジャーデビュー。その6日後、現在25歳のビューラーもメジャーデビューを果たした。昨年までの両者の通算成績は

フラハティ
67試合(うち66先発) 368.2イニング 防御率3.20
WHIP1.06 奪三振率10.6 WAR7.0(FanGraphs版)

ビューラー
62試合(うち53先発) 329イニング 防御率3.12
WHIP1.04 奪三振率10.3 WAR7.9(FanGraphs版)

と非常に似通ったものとなっている。また、成績予想システム「ZiPS」では、今年のフラハティの比較対象にクレメンス、今年のビューラーの比較対象にはシーバーが挙げられており、両者の今後3年間の成績予想は以下のようになっている。

フラハティ
100先発 570イニング 防御率3.06
WHIP1.04 奪三振率11.2 WAR14.9

ビューラー
86先発 500イニング 防御率3.20
WHIP1.06 奪三振率10.9 WAR12.4

フラハティは、ビューラーのように最速100マイルに迫るような速球はないものの、威力抜群のスライダーが打者をねじ伏せる最大の武器となっている。昨年はスライダーで被打率.185を記録し、空振り率は約45%という高水準。コンスタントに95マイル前後を計測する速球にこのスライダーを交えられると、打者は手も足も出ない。このスライダーこそが、今後3年間の成績予想でフラハティがビューラーを上回る最大の理由になっていると考えられる。

一方、名投手クレイトン・カーショウからエースの座を奪いつつあるビューラーは、平均96.5マイルの速球に威力のあるカーブ、スライダー、カッターを交え、まさに「本格派」というピッチングを展開する。力だけで相手打線を圧倒できる数少ない投手の1人であり、打撃や守備においてチームの戦力が充実していることを考えると、今後も長きにわたって球界を代表するエースとして活躍することだろう。

ビューラーは2015年にトミー・ジョン手術を受けており、2018年には肋骨の損傷による故障者リスト入りも経験。一方のフラハティはメジャー昇格後、一度も戦列を離れていない。この点も「ZiPS」の成績予想に反映されていると見られる。故障さえなければ、名門球団カージナルスとドジャースのエースとして、レギュラーシーズンのみならず、ポストシーズンでの投げ合いが何度も実現するに違いない。

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