SUVの一大革命を巻き起こしたトヨタの2台とは
SUVジャンルを一気に大衆化させたRAV4
SUV(Sport Utility Vehicle:スポーツ・ユーティリティー・ビークル)という言葉はもともとアメリカ発祥の言葉で、レジャー用途車両を指す。中でもトヨタ ハイラックスサーフや三菱 パジェロは日本でも大ブームとなり、SUVはいちジャンルとして定着していく。
革命が起きたのは1994年。一般的な乗用車と同じFF・モノコックボディを用いたトヨタ RAV4がデビューしたのだ。走破性や実用性はそのままに、小型・軽量だから燃費に優れ走りも軽快。スポーティなスタイリングも支持され、ヒット作となった。
これが転機となり、堅牢な梯子型フレームを持つ従来型の重厚なSUVは、悪路の走破性や耐久性を重視する一部の特殊なモデルに限られていくのだった。
SUVに高級というエッセンスを加え大ヒットとなった初代ハリアー
と、前置きが長くなったが…RAV4を生み出したトヨタは、1997年12月に初代ハリアーを“発明”した。
こちらもRAV4同様のモノコックボディだが、実用性の高さが支持されたSUVの世界に、高級というもうひとつのエッセンスを加えた。日本以外ではレクサス RXとして売られるため上質な内外装で仕立てられ、静粛性も高い。
高級SUVの世界ではまだフレーム付の重厚なモデルが主流だったから、ハリアーのスマートさはひときわ光った。北米では、ベースとなったセダンタイプのES(日本名ウィンダム)を超え、レクサスでダントツTOPの販売台数を稼ぐほど、急激に売れ行きを伸ばしていった。
世界を巻き込むムーブメントを生み出した初代ハリアー
大小さまざまなSUVがバカ売れし、一大マーケットを有していたアメリカだが、これはライトトラック(とその派生型SUV)が税制面で優遇されていたことが一因。したがって1990年代当時、北米BIG3以外で参入できたのは、ベースとなるピックアップトラックを生産する日本メーカーが主流だった。欧州メーカーの多くは、この美味しい市場もただ指をくわえて見ているしかなかった。
欧州メーカーも「この手があったか!」と気が付いた
ところがRAV4やレクサス RX(初代ハリアー)の大ヒットで「この手があったか!」と、2000年代になり欧州メーカーも参入。中でもBMWやボルボなどのプレミアムブランドが、プラットフォームを乗用車と共用する高級なSUVをいち早く仕立て北米市場に参入。それぞれヒットを飛ばしている。
その後北米以上の規模へと拡大する中国市場でもSUVは主流となり、今ではスポーツカーしか造っていなかったポルシェなど世界中の高級車・スーパーカーメーカーがSUVを用意するまでに。
そんな世界を巻き込むムーブメントのきっかけを作り出したのが、ニッポンが誇る初代ハリアーだったのだ。
[筆者:トクダ トオル(MOTA編集部)]