WTCR:Lynk&Coセカンドチームの体制発表。元王者ビョーク残留もプリオールの離脱が決定

 WTCR世界ツーリングカー・カップに参戦するLynk&Co Cyan Racingは、2020年シーズンに参戦する『Lynk&Co 03 TCR』の新リバリーを披露するとともに、セカンドチームのCyan Performance Lynk&Coの体制をアナウンス。WTCC世界ツーリングカー選手権“最後の王者”ことテッド・ビョーク残留と同時に、アンディ・プリオールの離脱が発表された。

 カラーリングの変更点は2019年仕様と比較してもわずかな範囲に留められ、今季も2011年のWTCC仕様『ボルボC30』で導入された鮮やかな“シアンブルー”を基調に、イエローをアクセントに採用。加えて、アンダーボディのサイドシル部からリヤバンパー部にかけてネイビーのラインが追加された。

「この2020年は、我々を象徴する“シアンブルー”のカラーを導入して10年目を迎えるシーズンとなる。ご覧のとおり変更点はわずかながら、適切な進化を遂げている」と語るのは、Cyan RacingのCEO兼チームマネージャーのフレデリック・ウァーレン。

 2019年はトップチームを『Cyan Racing Lynk&Co』、セカンドチームを『Cyan Performance Lynk&Co』としてエントリー登録名を分けていたが、今季2020年もその体制を継続。改めて4台体制での参戦を確認したCyan Racingは、すでに“帝王”イバン・ミューラーと甥っ子ヤン・エルラシェールをチームメイトとして起用し、最強のファミリーチームを結成することを発表している。

 その一方、Cyan Performanceに関してはドライバーのアナウンスが待たれていたが、このタイミングでビョークの残留が確認されるとともにプリオールの離脱が確定。BMW時代にWTCC3連覇を果たした最高峰の実績を誇る元ツーリングカー世界王者は、彼の息子セバスチャンのキャリア支援を本格化させるため、世界的シリーズの参戦を一旦終了させる意向を示した。

 これにより、今季のビョークは新たに加入する4人目のドライバーとともに、Cyan Performanceのチームメイトとしてレースを戦うこととなった。

「テッドとアンディは、間違いなく世界で最も優れたツーリングカードライバーのコンビだった」と語るのは、Cyan Racing創業者兼CEOのクリスチャン・ダール。

「我々としては、ともに世界タイトルを勝ち獲ったテッドと成功体験を引き継ぎ、今季も協力体制を築けることをうれしく思うが、同時にアンディが去るのを本当に残念に思っている」

「しかしながら彼の決断を最大限に尊重し、将来に向け彼と連絡を取り続けるつもりだ。そして我々の新たな4人目のドライバー候補を見つけるための作業も開始している」

“シアンブルー”を基調に、イエローをアクセントに採用。加えて、アンダーボディのサイドシル部からリヤバンパー部にかけてネイビーのラインが追加された
写真は2019年仕様のカラーリング。2020年WTCRにも初年度同様4台体制で挑むことをアナウンスした

 2017年にボルボで世界タイトルを獲得し、2019年はドライバーズランキング4位となったビョークは、来たるシーズンに向け「チームのタイトル獲得こそが2020年最大の目標だ」と意気込みを語った。

「そしてもちろん、個人的にもドライバーズチャンピオンシップで前進し、再びタイトルを争いたい。ロックダウンが有効になる直前、実行できたテストはわずか数日間だったが、それでも今季に向け自信をもたらしてくれる内容だった」

「また、アンディが去ることを聞き本当に残念な気持ちだ。僕らは昨季、とても素晴らしい協力関係を築いていた。もちろん、彼の今後の活躍を心から祈っている」

 一方、Lynk&Coのプログラムに加入してマカオでの優勝も記録したプリオールは、現在開催中のeシリーズ『Pre-season Esports WTCR Championship』終了をもって、チームを離脱することが決まった。

「それは難しい判断であり、本当に心の痛む決断になった」と胸中を明かしたプリオール。

「しかし時には余計なものを持たずに、マシンを降りた世界での成功に挑戦してみることも必要だと思ったんだ。息子セバスチャンの北米での取り組みを支援する、という点においてね」と、続けたプリオール。

 WTCCのみならず、DTMドイツ・ツーリングカー選手権やWEC世界耐久選手権での豊富な経験を、すでにGTドライバーとしてキャリアを歩む息子に“一子相伝”のノウハウとして伝授していく覚悟を固めた。

「これをもって引退……というわけではないけれど、そのためにCyan Racingの目標にフルコミットできない、という立場にはなりたくなかったんだ。引き続きレースを戦い、僕が得た機会を息子セバスチャンに与えるために時間を使いたい。まさに私の父が私のキャリア初期にそうしてくれたようにね」

「それに新型コロナウイルス感染症(COVID-19)パンデミックの影響もあり、自分自身のレースシートとの両立がより難しくなった部分もある」

「Lynk&Co Cyan Racingでは、中国のマニュファクチャラー初の世界タイトル獲得に貢献できたことを光栄に思う。チームの成功を祈っているし、彼らは今年も素晴らしい結果を出すだろう。将来的には、再びともに戦えることを願っているよ」

引き続きCyan Racing残留を決めたテッド・ビョーク。Cyan Performance Lynk&Coチームからのエントリーとなる
WTCRのシートからは降りることを決めたアンディ・プリオール。「将来的には、再びともに戦えることを願っている」

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