長崎大の新学部 大村移転へ協議入り決定 土地など無償貸与目指す

覚書に署名する河野学長(右)と園田市長=大村市役所

 長崎大が4月に新設した情報データ科学部の大村市への移転について、同大と市は18日、正式な協議に入るための覚書を締結した。同市植松3丁目に建設中の九州新幹線長崎ルート新大村駅(仮称)東側を候補地に、土地や設備などの無償貸与に向け必要な手続きを進める。
 候補地は新駅東側で進められている土地区画整理事業区域内。市は民間主導による商業施設などの整備を計画しており、この民間施設区域約2.5ヘクタール内を予定している。
 覚書では、新キャンパスに必要な土地を含む施設設備を市が整備し同大に無償貸与するほか、近隣の県有地も学生宿舎用地として無償貸与することを目指している。移転時期は2025年9月を予定しており、遅くとも22年までに検討・協議を終え、協定書を締結したい考え。
 同大などの説明によると、情報データ科学部の学生は2年前期まで文教キャンパスで学び、後期から大村のキャンパスへ。24年度入学生の2年後期から利用を開始し、最終的に2~4年の約330人が学ぶことになる。市は学生による消費支出を基にした経済波及効果を年間5億円と試算しており、担当者は「若者人口の増加や企業誘致などさまざまな要因を考えれば、その数倍の効果が期待できる」としている。
 18日に市役所であった締結式には、園田裕史市長と河野茂学長が出席。河野学長は「文教キャンパスが狭隘(きょうあい)で新学部は既存の建物に分散していた。大村は新幹線や空港、自動車道など交通の要衝にあり、県工業技術センターなど高度な技術集団もあることから教育研究の場にふさわしい」、園田市長は「歴代市長や市民の長年の悲願だった大学の誘致に向け断固たる決意で協議を進めていく」とそれぞれ述べた。


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